まいど、"相場の福の神"こと藤本誠之です。この連載では、上場企業の経営者との面談から気づいた、藤本がすごいと思った、ユニークなビジネスモデルの企業をご紹介します。第10回は、『本社が渋谷区原宿から、長野県北安曇郡白馬村に』です。

スキー場の運営と総合コンサルティング

今回ご紹介する日本スキー場開発(6040 東証マザーズ)は、東証1部上場の日本駐車場開発(2353)から生まれたスキー場の運営及びスキー場の運営に関する総合コンサルティング会社です。

同社は「自然、お客様、地域社会の"HAPPY"を創出」を経営理念とし、新規にスキー場を開発するのではなく、既存のスキー場を買収して、再生しています。2017年10月25日に、東京都渋谷区原宿から長野県北安曇郡白馬村に本社を移転したばかりです。

日本スキー場開発(6040 東証マザーズ) 公式サイトより

1980年代後半からのバブル時代、スキーは一大ブームを巻き起こしました。その後バブル崩壊とともに次第に元気が失われています。「レジャー白書2013」(日本生産性本部)によると、スキー・スノーボード人口は、1998年に1,800万人に達しましたが、 その後は減少傾向で推移し、2013年ではスキー・スノーボード合計で770万人と、ピーク時の4割強まで減少しているそうです。その後は横ばい推移で、急激な減少から回復途上のようです。

また、「スポーツに関する世論調査」「体力・スポーツ世論調査」(文部科学省)によると、スキーの実施率は1994 年の10.9%をピークに、減少傾向となり、2013年は5.9%に。若者のスキー離れが進み、スキー場の経営は厳しいようです。

国内最大級のスキー場・積雪情報サイト「SURF&SNOW」では、491カ所のスキー場が掲載されています。国内のスキー場は地方自治体や第三セクターの経営や小規模なスキー場が多く、集客力を高めるための積極的な設備投資が難しいのです。

インバウンドの集客も強化

日本スキー場開発は、降雪に恵まれ魅力的な立地のスキー場を買収して、新たな設備投資を行い、集客力を高めて再生しています。スキー場は、雇用を生み出すとともに周辺産業にも収益をもたらし、地域経済の活性化に重要な役割を果たしてきました。スキー場の再生は周辺地域経済の再生と一体的に行っています。

大都市圏から近距離にあるスキー場や、大規模なゲレンデを有し過去にオリンピック会場となったスキー場など、特徴あるスキー場を取得。関東甲信越を中心に、白馬八方尾根など国内有名スキー場を8カ所保有しています。合わせて訪日外国人観光客のインバウンド需要の取り込みにも注力している同社。外国語で指導するスキースクールを開催、また、海外での展示会に参加してインバウンドの集客を強化ししており、既に、白馬では訪日外国人観光客の比率が10%に迫る割合となっています。

またスキーのオフシーズンであるグリーンシーズンの集客にも注力、山頂からの絶景を活用したテラス事業などが、人気です。竜王マウンテンパークの標高1,770mにあるサンセットテラス 「SORA terrace」(ソラテラス)は、特に山々に沈む夕日はとても幻想的で、雲海に沈む夕日が見られる日もあり、「インスタ映え」する写真が撮れるとして、女性に圧倒的な人気があります。

福の神の「ここがすごい」
地方にあるスキー場を買収し、積極的な投資を行うことで集客力を高める、地方創生・インバウンドの2つの国策に沿ったオンリーワン企業。スキー場だけではなく、その地域の魅力を高めることが顧客の満足度を高めるため、周辺地域経済の再生と一体的に行い、その地域の人材の有効活用を優先している。 また株主優待では、100株保有でスキー場・レンタルショップの半額券、また1,500株保有すると、同社保有の5つのスキー場で、1シーズン、リフト乗り放題、滑り放題のウィンターシーズン券がもらえるので、スキーヤー、スノーボーダーにもおススメ。
日本スキー場開発 (6040)東証マザーズ

■株式データ
株価 1,618円
単元株数 100株
予想PER(連)51.86倍
実績PBR(連) 2.69倍
予想配当利回り 無配
時価総額 約129億円

* 株価データは2017年11月17日終値ベース
* 本サイトで紹介する意見や予測は、筆者個人のものであり、所属する会社や会社のアナリストとしての意見や予測を表すものではありません。また、紹介する個別銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資に当たっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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執筆者プロフィール : 藤本誠之

「相場の福の神」と呼ばれるSBI証券客員マーケットアナリスト。 年間200社を超える上場企業経営者とのミーティングを行い、個人投資家に真の成長企業を紹介している。「まいど! 」の挨拶、独特の明るい語り口で人気。日興證券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。ラジオNIKKEIで3本の看板番組を持ち、その他テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。 日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジストAll About株式ガイド。 著書:『難しいことは嫌いでズボラでも 株で儲け続けるたった1つの方法』(SBクリエイティブ)など合計15冊