まいど、"相場の福の神"こと藤本誠之です。この連載では、上場企業の経営者との面談から気づいた、藤本がすごいと思った、ユニークなビジネスモデルの企業をご紹介します。第8回は、『電気代・ガス代・ガソリン代不要で住める一戸建て住宅』です。

電気・ガス・ガソリン代不要の住環境とは

人間が生きていくには、「衣・食・住」が必要不可欠です。その中でも「住」については、購入する場合、ほとんどの方にとっては、一生の中で最も高い「買い物」になることが多いでしょう。多くの方が住宅ローンを組んで購入するのですが、ローンの返済額があまりに多いと家計を圧迫してしまいます。

また、居住するにあたっては、電気代・ガス代・水道代などの光熱費が不可欠です。都心であれば電車・バスなどの公共交通機関が発達していますが、地方においては生活の足として乗用車が必要不可欠となっている場所も多いです。その場合は、乗用車のガソリン代も必要となります。ですから、「住」の場合、ローン返済額だけでなく光熱費・ガソリン代などの毎月掛かる費用も大切なポイントとなってきます。

今回ご紹介するのは、電気代・ガス代・ガソリン代不要で月々数万円程度の負担で住める住環境を提供可能なサービスを提供しているフィット(1436 東証マザーズ)です。東京、徳島に本社を持ち、太陽光などクリーンエネルギーを活用したエナジー事業、住宅事業を展開している企業です。

フィット(1436 東証マザーズ) HPより

エナジー事業では、地方の耕作放棄地を始めとする、坪5,000円~1万円程度の格安の土地と小規模太陽光発電システムをセットにして、個人投資家に販売しています。収益シミュレーションでは2,000万円程度の投資に対して、年間約200万円程度の売電収入が見込めるそうです。自然災害に対しては、保険で対応しています。賃貸住宅のように、空室リスクがないので、首都圏を中心に顧客は増加しています。

住宅事業は、本社のある徳島県を中心に地方で展開しています。屋根に小型太陽光発電システムを搭載し、徹底的に規格化し、建材、施工などのコストを抑えた住宅を低価格で販売するビジネスモデルです。

通常の住宅の屋根に小型太陽光発電システムを設置する場合、屋根の補強工事など、非常に多額に設置コストがかかるのですが、フィットの提供する住宅では、小型太陽光発電システム設置を前提条件として設計し、短い建設期間で建設可能な規格化された住宅のため、圧倒的にトータルコストが安くなるのです。

たとえば、屋根に小型太陽光発電システムを搭載した25坪プランなら、太陽光発電6.195キロワット標準装備で、税込み1,078万円のプランからあります。オール電化の住宅プラス太陽光発電で、この価格です。この発電容量であれば、通常の家族4人程度の電気使用量と、EV(電気自動車)またはPHV(プラグインハイブリッド)1台なら十分に賄えるそうです。余った、電気は売電収入を得ることも可能です。

地方で坪10万円~20万円程度の50坪の土地に建てた場合、全額ローンで購入しても、毎月のローン返済額は、4万円~6万円程度となります。EV又はPHVを乗用車にすれば、電気代・ガス代・ガソリン代不要が不要となるので、年収が低めの方でも、購入しやすく人気となっています。

どちらの事業も、太陽光という再生可能エネルギーを活用して地方で行うビジネスで、「再生可能エネルギー」「地方創生」といったアベノミクスの国策に沿ったビジネスです。今後大きな成長が期待できそうです。

福の神の「ここがすごい」
少子高齢化で空室率が高くなり、空き家問題が大きな問題となっている。しかし、地方の空き家は、古くて住みにくく、月々の諸経費も高くついてしまう家がほとんど。 フィットは、小型太陽光発電システムを搭載し、徹底的に規格化し建材、施工などのコストを抑えた低価格住宅によって、新築で住みやすく、電気代・ガス代不要で、売電収入も見込める家を提供する。トータルの月にかかるコストを考慮すれば、新築できれいで住みやすい家に、比較的月額の負担額を少なくして住むことが可能だ。日本の人口の約3分の2は、都心部でなく、地方に居住している。都心部にいるとわかりにくいが、地方ならではのニーズを満たす凄いビジネスモデルと言えるだろう。
フィット(1436)東証マザーズ

■株式データ
株価 1,357円
単元株数 100株
予想PER(連)7.96倍
実績PBR(連) 1.34倍
予想配当利回り 1.92%
時価総額 約58億円

* 株価データは2017年11月2日終値ベース
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執筆者プロフィール : 藤本誠之

「相場の福の神」と呼ばれるSBI証券客員マーケットアナリスト。 年間200社を超える上場企業経営者とのミーティングを行い、個人投資家に真の成長企業を紹介している。「まいど! 」の挨拶、独特の明るい語り口で人気。日興證券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。ラジオNIKKEIで3本の看板番組を持ち、その他テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。 日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジストAll About株式ガイド。 著書:『難しいことは嫌いでズボラでも 株で儲け続けるたった1つの方法』(SBクリエイティブ)など合計15冊