前回の復習

まいど、"相場の福の神"こと藤本です。前回は、『NISAって何?』と題して、「NISA(少額投資非課税制度)」の概要を解説しました。

そのポイントを再掲載すると以下の通りです。  

ポイント

  • NISAに対応する証券会社・銀行・投信会社などのいずれかに専用口座を開設

  • NISA口座を開設できるのは20歳以上の成人で、1人1口座まで

  • 投資金額は年間100万円まで

  • 対象商品は、上場株式(上場投信(ETF)、不動産投信(REIT)を含む)と株式投資信託

  • 売却益や配当金などの利益の税金がゼロ

  • 期間は、最長5年まで

20歳以上の成人が、1口座だけ年間100万円の投資金額が非課税になるのが、「NISA(少額投資非課税制度)」です。

「NISA」って誰が一番得をするの?

マイナビニュースをお読みの皆様の中には、「100万円なんてないよ」「投資ってお金持ちのするものだろう」などと思われる方も多いと思います。

投資・資産運用は、「お金持ちだけがするもの」ではありません。「お金持ちになるためにするもの」なんです。

今まで金融資産を1,000万円以上持っていた方の、昨年の税率は、10.147%でした。それが今年からは20.315%の約2倍になっています。ただし、NISAが始まったことにより、そのうち100万円だけは非課税になります。

投資金額1,000万円の場合の税率は?

  • 昨年 1,000万円全額 税率 10.147%

  • 今年 100万円(NISA口座) 非課税(0%)、900万円 税率 20.315%

になってしまいます。

昨年は、アベノミクス相場で日経平均株価が、下記のように56,7%も上昇した記録的な年でした。

  • 2012年12月末終値10,395円18銭

  • 2013年12月末終値16,291円31銭

  • 上昇幅 5,896円13銭 56.7%

日経平均株価が56.7%上がったということは、株式を保有していた投資家は、平均的には、同じ位儲かったはずです。

※ 直接的に、「日経平均株価」という銘柄に投資することは出来ません。しかし、日経平均株価に連動する投資信託や、上場投信(ETF)に投資することによって、日経平均株価とほぼ同じような投資収益を得ることは可能です。

先ほどの投資金額1,000万円の投資家が、1年間に56.7%儲かった(手数料など考慮せず)と仮定すると、

昨年であれば、

  • 税額 1,000万円×56.7%×10.147%(税率)=575,334円

しかし今年であれば

  • 税額 100万円×56.7%×0%(非課税)=0円 NISA口座分、900万円×56.7%×20.315%(税率)=1,036,674円

となり、昨年よりも、461,340円多く税金を払うことになります。

しかし、投資金額が100万円の場合の税率は

  • 昨年 100万円全額 税率 10.147%

  • 今年 100万円全額(NISA口座) 非課税(0%)

税額は、

  • 昨年 100万円×56.7%×10.147%(税率)=57,533円

  • 今年 100万円×56.7%×0%(非課税)=0円

となり、昨年よりも57,533円税額が減少することになります。

この例は、極端な例ですが、100万円の投資資金を持つ投資家が、今回のNISA口座で最も得をする投資家とも言えそうです。

しかし、100万円にとらわれないで

現在の銀行の1年物の定期預金金利は、大手メガバンクで0.025%です。1年間、預けていてもたった250円しか、増えません。しかもそこから20,315%課税されるので、50円が課税され手取りはたった200円です。

ということは、定期預金だけで100万円貯めようと思えば、ほとんど全額を汗水垂らして働いたお金を預金する必要があるのです。

資金が少なく、今から増やそうとする方の場合、

「100万円を貯めてから」ではなく、「100万円にするために」に、是非、活用して欲しいのが、NISA(少額投資非課税制度)なのです。

NISAの場合は合計の投資金額が100万円になるまでは、NISA口座で自由に売買が可能です。

ということは、10万円しかない投資家の場合、

100万円÷10万円=10回

なので、10回も売買することが可能です(損益・手数料を考慮せず)

10万円で、株って買えるの?

株式は、すべての銘柄が1株から売買できるわけではありません。単位株といって、銘柄によって1株とか100株など売買単位が決まっています。

だから、

最低投資金額=株価×単位株数、となります。

現在、個人投資家が投資可能な日本の個別銘柄・上場投信・不動産投信は、約3,700銘柄あります。

投資金額別に投資可能な銘柄数は

  • 100万円:3,600銘柄(97.3%)

  • 30万円 : 2,803銘柄(75.7%)

  • 10万円 : 1,273銘柄 (37.1%)

  • 5万円 : 648銘柄(17.5%)

  • 1万円 : 71銘柄(1.9%)

になっています。さすがに、1万円未満では、全体の2%未満の銘柄しか投資できませんが、10万円あれば、全体の3分の1以上の銘柄に投資可能です。

例えば、10万円以下で投資可能な主な銘柄としては、三菱UFJフィナンシャルグループ、日産自動車、ヤフーなどがあります。

今回のまとめ

  • 100万円の投資資金を持つ投資家が、今回のNISA口座で最も得をする投資家とも言えそうです

  • 「100万円貯めてから」ではなく、「100万円にするために」NISA口座を上手く活用しよう

  • 全体の3分の1以上の銘柄が、10万円で投資可能

(※株価・金利などは2014年2月17日現在)

執筆者プロフィール : 藤本 誠之

SBI証券投資調査部 シニアマーケットアナリスト。日本証券アナリスト協会検定会員。自称、「相場の福の神」。関西大学工学部電子工学科卒。日興證券(現SMBC日興証券)入社、個人営業を経て、機関投資家向けのバスケットトレーディング業務に従事。1999年、日興ビーンズ証券設立時より、設立メンバーとして転籍(その後、日興ビーンズ証券はマネックス証券と合併)。2008年7月、マネックス証券から、カブドットコム証券に移籍。2010年12月、トレイダーズ証券に移籍。2011年3月、同社を退職。のちに独立、マーケットアナリストとして活躍。2012年からマネーパートナーズのスタッフとして活動。2013年7月1日より現職。著書に 『ニュースを"半歩"先読みして、儲かる株を見つける方法 』(アスペクト)、『株で儲けるニュースの読み方 相場のプロが教える「先読み&裏読み」の極意』(ソフトバンククリエイティブ)、 『儲けに直結!株価チャートドリル』(成美堂出版)がある。
※ 本コラムで紹介する意見や予測は、筆者個人のものであり、所属する証券会社の意見や予測を表わすものではありません。また、紹介する個別銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。