本コラムでは、企業で働くプログラマーだった筆者が、起業するまでの道のりや起業してからの日々についてお話します。前回、ひょんなことから出会った営業マンさんのお陰で無事に在宅プログラマーになれた経緯などをお話しました。今回は、独立を考えているけれど今はまだ会社勤めをされている方のために、独立する前(つまり、会社に勤めているうち)にやっておいたほうがよいことについてお話します(フリーの身になってからでは遅いこともあるのです……)。

会社名義のクレジットカードを申し込んだけれど……

起業してから個人的に一番困ったことは、どんなことだと思われますか? 私の場合、お金にまつわることでした。「もちろん会社を運用していくにあたっては資金が不可欠」ということで、常にお金には悩まされるのですが、会社以外のプライベートでも、お金にまつわること関しては、会社勤めの時には考えもしなかったさまざまな盲点がありました。

例えばクレジットカード。会社の備品を揃える時、Webを利用して安価なものを翌日配達してもらえれば、「コストも抑えられるしラクだし一石二鳥!」ということで、購入しようとした店舗がクレジットカードでの支払いしか対応していませんでした。

最近では、店頭よりもWebでの買い物率のほうが高いくらいの私は、この事実に特に抵抗もなく自分名義のクレジットカードで購入しようとしました。しかし、「会社のモノを買うんだから、会社名義のカードがあったほうが経理上いいんじゃないかしら?」ということにはたと気付いたのです。

そこで、個人名義のカードを使ってのWebでの買い物を諦め、ちょっと割高の近所の文房具店で備品を購入して領収書をもらいながら、「次こそは楽で安いWebショッピングだ!」と心に誓い、早速クレジットカードが作れるWebサイトへGo! そして、数日間何の疑いもなく審査の結果が出るのを待ちました。

クレジットカードの作成、住宅の購入はお早めに

…しかし、答えはNGでした。

よ~く考えてみたら、起業したばかりの小さな会社の一体どこに信用があるのか?! おそらく、そういう理由で審査が通らなかったのだと思います。半年後にもう1度試してみましたが、やはりダメでした。その時に「もしかしたら会社名義じゃなくて個人名義なら大丈夫なのでは?」と淡い希望を抱いてトライしましたが、同じく「設立が間もなく信用のない会社に勤める会社役員」では審査が通るはずもありませんでした。

会社員の時は何の問題もなく作ることができたのに、今はこんなにクレジットカードを作ることが難しいなんて……。恥ずかしながら、私は身をもって知るまで、起業することでこのような困ったことが起こるとはまったく考えが及びませんでしたし、周りにそのような経験をした人もいなかったので知る由もなかったのです。

以来、会社勤め時代に作ったクレジットカードを今も愛用しています。サービスが違うという理由から、同じ会社のカードを2枚作ってしまったことがあり、整理したいと思うのですが、何となく怖くて、使わなくても持っている始末です。

ちなみに、会社は今年で創立3年目に入りましたが、備品の購入は銀行引落しが可能なカウネットで購入し、カードの審査はまた審査が通らなかったら、そろそろシャレでは済ませられなくなりそうなので怖くてまだ試していません(笑)。

お金と言えば、住宅などのローンも同様です。個人事業主のための住宅ローンもあるようですが、会社員時代と同じ収入で算出しても、利子が高かったり、出資限度額が低めだったりするようです。したがって、すでに家やマンションの購入を決めているのであれば、独立してから数年は厳しいと思うので、会社員のうちに購入しておいたほうがローン額や条件などの制限が独立した後よりも楽でよいかもしれません。

ネコとシゴトとワタシ

  
    

電車の中でソフトキャリーから頭をズボッと出してしまった愛猫

里親さんのお宅にお邪魔してから1ヵ月後。長男猫を引き取りに行った日のことです。前回お邪魔した時に里親さんと音楽の話ですっかり意気投合した私達夫婦は、お食事までいただくことに!(何と図々しいことか・笑)。 しかし、お陰で里親さんとはその後も交流が続き、以降のお話にも登場します。
さて、猫を連れて帰るためにソフトキャリーを持って電車で向かったので、帰りも当然電車で帰ることに。猫を良く知る人なら、借りてでも車で行くべきだとおっしゃるでしょう……。しかし、まったくの"猫素人"である私達。夜の田園都市線は大変混雑していて、「このままでは子猫が潰れてしまう」と。早速途方にくれてしまいました。
何とかして、やや高い位置に御神輿のように担いでスペースを確保。「これで安心?」と思ったら、慣れない音やママ猫から離された不安で仔猫が鳴き出してしまいました。「ミィ!ミィ!」という声に、社内の(特に男性たち)が一斉にこちらを見ました。
小さい声でなだめるものの効き目はなく、仔猫はソフトキャリーのジッパーの隙間から頭をぐんぐん押して、顔だけズボッ!と出してしまったのです。夜の通勤電車に不似合いな仔猫の顔の登場に、乗客は怒り心頭で「ひたすら謝るしかない!」と覚悟したところ、皆、一瞬すごく驚いた顔の後、すぐに「ホワ~ン(はぁと)」という顔になって、私達が降りるまでずっと仔猫をなだめるかのように、無言で笑顔を送り続けてくれていました。猫好き族にとって心温まる一夜でした。
次回は猫が我が家に来たときのお話の予定です。

執筆者プロフィール

藤城さつき(Satsuki Fujishiro)株式会社タンジェリン代表取締役。
在宅勤務に重点を置き、全国各地の技術者やデザイナー(在籍250名以上)を臨機応変にチーム編成しながら、豊富な質と量の技術力を提供する。今のところ、在宅勤務に対する障害・偏見は多いが、今の日本人にとって絶対に必要なワークスタイルの1つと信じて日々邁進中。
一方、会社員時代に設立した、コンピュータ関連業界で働く女性のためのコミュニティ「eパウダ~」を運営。男性が多いこの業界における女性の人間関係・働き方・生き方についても日々模索中。旦那1頭と兄弟猫2頭の4頭家族。