もともと、「個人専用」のサービスとして始まったEvernoteですが、最近は「内に向いた」使い方だけでなく、ノートやノートブックを共有するという「オープンな」機能が充実してきています。今回はこの共有ノートブックについて、Dropboxとの比較を含め、使い方を説明しましょう。

得意なことが異なるEvernoteとDropbox

Evernoteを「共有ツール」として利用しようとすると、難しいのが「Dropboxとの使い分け」です。

どちらもここ最近の代表的なクラウドサービスで、共に共有の機能を持っていますが、実はそれぞれが得意とすることは異なります。

Dropboxが共有できるのは「ファイル」であり、Evernoteが共有できるのは「ノート」です。こうした両者の特性を考えてみると、Dropboxが向いているのは「リアルタイム」の共有であり、Evernoteが向いているのは「記録」および「記憶」の共有です。

言葉だけの説明では曖昧なので、もう少し具体的に考えてみましょう。

素早いファイルの交換はDropbox

Webサイトの制作など、複数人でコラボレーションして何かを作り上げるような場合は、Dropboxでフォルダごとデータをすべて共有してしまうのが最もシンプルで、データのやり取りもスムーズに行えます。

基本的に、PC上で何らかの制作物を作り上げていく場合はDropboxを利用したほうが便利で快適なことが多いです。

これは、共有だけではなく、そもそものDropboxとEvernoteの使用においても同じようなことが言えます。

では、Evernoteでの共有ノートブックに価値はないのかと言うと、そうではありません。

先ほどにも出てきたような「記録」を共有する場合に、Evernoteは大きな力を発揮するのです。

Evernoteによる「記録」の共有の利用例

例えば、会議の議事録。これは、Evernoteを使用すれば会議に使った資料、記録した音声、ホワイトボードに書かれた内容の写真、これらすべてを1つのノートにまとめ、さらに自分の手で「メモ」を追加しておくことも可能です。

ほかにも、見積書や請求書などののうち、すでに使い終わり、当面は利用しなくても大丈夫なもの。こうしたものもチームごとに1つの共有ノートブックに保存しておけば、突然それが必要になった時も目的のものを素早く探し出すことが可能です。

イメージとしては、ファイルに綴じて保存しておく資料(必要ないかもしれないが処分できないもの)は基本的にEvernoteに入れておき、チーム全体で「記録」を共有しておく。

「フォルダ」を使わなくて済むものや使わないほうが便利なもの、こうしたものの共有にはEvernoteが便利なのです。

五藤隆介(ごとう りゅうすけ)
1980年愛知県生まれ。愛知県在住。
ブログ「goryugo, addicted to Evernote」主宰。「ライフログ」をキーワードにEvernoteにすべてを記録することの試行錯誤とその成果などをブログで公開中。

ブログメディア「シゴタノ! 仕事を楽しくする研究日誌」にも寄稿中。
著書『たった一度の人生を記録しなさい -自分を整理・再発見するライフログ入門-』が2011年9月30日に発売予定。

筆者ブログ「goryugo.com」、ツイッターのアカウントは

@goryugo