【コラム】
2月15日から18日まで、モバイル業界恒例のイベント「Mobile World Congress 2010」がスペイン・バルセロナで開催された。今年は大型の発表が多かったせいか、昨年よりも活気を感じだ。今回は4日間のイベントの感想を書きたい。
MWCは毎年、前夜の英Sony Ericssonと韓国Samsungのプレス向けイベントでスタートする。今年はSamsungが初の自社OS「Bada」搭載機となる「Samsung Wave」ほか複数の新製品を発表、一方のSony Ericssonは3機種中2機種が"mini"を冠した小さなスマートフォンだった。
Sony Ericssonは、日本でも話題の「Xperia X10」を前面に押し出した。X10は同社初のAndroid搭載機で、数あるAndroid端末の中でもAndroidらしくない独自UIが好評だ。Sony EricssonのX10を主力端末と位置づけており、そこで登場したのが、「X10 mini」と「X10 mini pro」だ。ともにクレジットカードサイズの携帯電話だ。
miniといえば、Nokiaが2009年にN97のミニ版「N97 mini」を発表している。Nokiaのminiはそれほど小さくなった感じがしなかったが、Sony Ericssonのminiはずいぶんと小さくなった。うまく入力できるのだろうかと素朴な疑問がわくが、反応はよかったようだ。
台湾HTCも「HD mini」を出しているし、韓国LGは「LG mini」を展示。今後、miniがブームになるのかどうか - 世界には「iPhone mini」というのもあるらしいので。
スマートフォンではもう1つ、トレンドを感じた。SamsungのBada端末やHTCのBREW搭載機「HTC Smart」など、スマートフォンがミッドレンジに拡大しつつあるというトレンドだ。スマートフォンの定義はそれぞれだが、日本の端末メーカーが世界展開できていないところが残念だ。
「Android」が順調なGoogleは、アプリケーションコーナーで「Nexus One」を配っていた。Androidは今年の主役だったが、Androidのフォークを指摘する声もきかれた。
そのGoogleのCEOであるEric Schmidt氏が2日目に基調講演を行った。想定どおり、Androidを前面に出すことは少なく、おだやかな話しぶりで40分ほどのスピーチを終えた。だが、スピーチ後のQAでは、会場からGoogleへの疑問 - 不信感や反感といってもよいだろう - が噴出した。詳しくはレポートを読んでいただきたいのだが、モバイル業界にとっていまのところGoogleは好ましい"ニューカマー"とはいえないようだ。質疑応答の終わり近く、(中国での行為に対するものだったが)「Googleは"Don't be evil"というスローガンをもつが、大企業が傲慢にふるまうのは歴史からいえることだ」というコメントまで出た。
無線通信技術の標準化をいち早く行った北欧はじめ欧州全体には、協力や協調というメンタリティがある。自国の市場は小さく、リソースが限られているからだ。事業構造もオペレータ主導の米国や日本とは異なり、端末とSIMは基本的に分離している。そういった背景も手伝ってだろう、GoogleやMicrosoftのような大きな企業に対しては、無意識に懐疑心を抱いてしまうようだ。実際、北欧ベースの某大手通信機器メーカーの社員は、自分たちのシェアが大きくなることが怖いと言っていた。
また、モバイル業界はPC業界の変遷を見てきたきた。IntelとMicrosoftが最終的に独占してしまったPC業界のようになることは、業界がもっとも恐れていることだ。モバイル向けOSが依然として統合に向かわない(それどころか増えている)のは、単にオープンソースモデルの成功とWebの普及だけが原因ではないかもしれない。たとえばNokiaのオープンソース傾倒について、"本拠地のあるフィンランドが1917年に独立した若い国であり、自由と独立を尊重するDNAがあることを理解しておく必要がある"と米国人のNokia幹部に言われた。なお、マーケティング専門家Geoffrey Moore氏は、昨年のSymbianのイベントで、スマートフォンOSは将来的に淘汰されるという予想を披露している。
NokiaとNokia Siemens Networksは会場内にブースを構えず、すぐ前の(といっても巨大なロータリーがあるので信号を2回渡る必要がある)ビルで展示を行った。LGのブースも場外だったが、展示会場のキャパシティの問題ではない。
Nokiaに関してコメントするなら、いくら第4四半期のシェアが伸びたとはいえ、ブースを構えて来場者全員にロゴと端末が見えるようにしなかったことはマイナスだと思うのだが。
Nokiaは今年、端末の発表はなく、米Intelと「MeeGo」を発表し、サービス分野での進捗を報告するにとどまった。MeeGoには、その背景や狙いにさまざまな意見があるが、あるアナリストの「NokiaがR&DをIntelにアウトソース」というコメントが一番興味深い。
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