米国ではこのところ、バスケットボールの全米大学選手権をめぐって国全体が大騒ぎといった状況が続いている。米国時間30日に行われた準々決勝、シェラキュース大対マルケット大の一戦には、会場となったワシントンDCのベライゾン・センターにゴルフ帰りのオバマ大統領も顔を見せていたらしい。本記事が掲載される4月第一週の週末にはいよいよ男子の準決勝(6日)と決勝(8日)が行われて、この盛り上がりは頂点を迎えることになる。「マーチ・マッドネス」と呼ばれるこの大騒ぎは毎年春の恒例行事と化しているが、今年はフロリダ・ガルフ・コースト大学(FGCU、愛称は「イーグルス」)という無名の弱小チームがベスト16(「スウィート16」と呼ばれる)まで勝ち進み、先週あたりはこのFGCUをめぐる話題で各媒体が持ちきりだった。

FGCUは大学自体の創立が1997年、バスケ部に至っては2002年創部という新興のチーム。そんな歴史の浅いチームが、この選手権に出場したというだけでもかなりの偉業である。だが、そんな全国的には無名な選手を寄せ集めたチームが事前の予想を覆し、名門・強豪の上位校をなんとふたつも撃破してしまった。しかもその勝ちっぷりが大試合にもかかわらずダンクを連発するというなんとも豪快なもので、一気にバスケットボールファンの心を捉えてしまったようだ。なお、一回戦敗退でもまったく不思議のないシード15位の学校(トーナメントに参加した64校のなかで57~60位くらい)がスウィート16まで勝ち残ったのはこのFGCUが史上初めてだという。


[FGCU Dunk City]
(YouTubeで「FGCU」で検索するとバスケットボール関連のたくさんのビデオが見つかるが、これもそのひとつで、「FGCUDunkCity」というユーザーがアップロードしたもの)


さて、このFGCUイーグルスを率いていたのがアンディ・エンフィールド(Andy Enfield)というまだ43歳のヘッドコーチ(HC)。チームの快進撃のおかげで一躍「時の人」となった同HCについては、その生い立ちや人となりからはじまって、「バスケットボールのコーチにはめずらしく、民間企業の立ち上げに関わったことがあり、そのストックオプションで大金持ちになった」などという噂までが報じられるなど、いろいろな話題が登場。そして、なかでもいちばん注目を集めていたのが、元スーパーモデルの奥さんがいるということだった。



アマンダ・マルカムというこの奥さん、エンフィールドHCと一緒になるまではモデルをしていて、VOGUEやELLEといったファッション誌や男性誌Maximの表紙を飾り、ビクトリアズ・シークレットのカタログにも登場していたとか、シャネルやジャン・ポール・ゴルティエのショーに出演したこともあったというから、ただの水着モデルとは訳が違うらしい。

「2003年のNCAAトーナメントの時、ニューヨークから試合会場のボストンまでクルマに便乗させてもらったのが馴れ初め」「初デートは大学バスケットボールの試合観戦で、はじめての食事は大学生協の食堂にあったTaco Bellでブリトーを食べた」などいろんなエピソードが話題になっている。なお、チームのほうは31日に惜しくも敗退してしまったが、エンフィールドHCには早くもUSCやUCLAといった西海岸の有力校から誘いの声がかかるのではないか、といった見方も浮上しているようだ。

ところで。バスケットボールのHCといえば、試合当日の装いはスーツと相場が決まっている。いつの頃からそうなったのかは定かでないが、80年代に黄金期のLAレイカーズを指揮していたパット・ライリー(現マイアミ・ヒートGM)あたりがアルマーニのスーツ&タイをびしっと着こなしていたから、そのあたりからはっきりとした流れにはなっていたのかもしれない。いずれにせよ、選手と同じユニフォームを着用する野球の監督や、カジュアルなスポーツウェア姿のフットボール・コーチとは好対照である。

そんな大学バスケットボールのコーチのファッションについて触れた記事がNYTimesに載っていた。またこの記事で言及されているEsquireでは、昨年のNCAAトーナメントに登場した各校HCのファッションにチェックを入れていたりする(「デューク大学のコーチKは、人気テレビドラマ『マッドメン』に登場しそうなスーツ姿がイケてる」といったものから「無理してスクールカラーを採り入れようとするな」「あまり派手な出で立ちだと気が散るので、やめたほうがいい」などといった注意まで)。なかには、まるで小学校の校長先生のような「ジャケットにネクタイ、靴はスニーカー」というHCも居たりするので、貴重なアドバイスといえるかもしれない。

追記1:Suit & Tieといえば……

「いまスーツ&タイといえば、やっぱりこの人」ということで、今回もジャスティン・ティンバーレイクのビデオをひとつ。ライアン・シークレストが司会を務めるラジオの公開収録から。なお、JTの新作アルバム『The 20/20 Experience』は発売1週間で約98万枚の売上を記録したという(約98万枚というのは、アデルの大ヒット作『21』の約3倍というから、実にたいしたものである)。



追記2:カントリーのスターもあの彼とおふざけ

新シーズン(シーズン4)がはじまった「The Voice」のメンターとしてもお馴染みのブレイク・シェルトン。人気と実力を兼ね備えたカントリー音楽界の大スターのはずだが、そのシェルトンが「Late Night with Jimmy Fallon」に登場してちょっとしたおふざけをしていたようだ。


[The Chickeneers' All-Clucking Version Of "Ho Hey" (Jimmy Fallon, Blake Shelton & Nick Offerman)]