各所で既報の通り、先週スーパーハリケーン「サンディ」が米国大西洋岸を襲い、ニューヨークやニュージャージーなどの北部の各州を中心に大きな被害を出した。とくに世界有数の大都市ニューヨーク市では中心部のローアー・マンハッタンが水没、電力供給も止まり、地下鉄や携帯通信網などのインフラが軒並み大きなダメージを受けて大混乱だったことが伝えられていた。

芸能やスポーツの世界でも、1日晩にバークレイズ・センターで予定されていたブルックリンネッツの開幕試合(対ニューヨーク・ニックス戦)が直前になってキャンセルされるなど、少なくない影響が出ているようだが、そんななかで地元出身の大物がさっそく被災者救援に立ち上がったと、New York Times紙がなどがこの週末に報じていた。

Songs of Sympathy and Endurance, From Voices Touched by Hurricane - NYTimes

ハリケーン・サンディの襲来からわずか3日後の2日(金曜日)晩に、NBCで 「Hurricane Sandy: Coming Together」という音楽番組が放映された。米国赤十字のために被災者救援の募金を呼びかけるこのチャリティソンには、ニューヨーク出身のビリー・ジョエル(ロング・アイランド)、クリスティーナ・アギレラ(スタテン・アイランド)、メアリー・J・ブライジ(ブロンクス)、ハドソン川を挟んだ対岸のニュージャージーからはジョン・ボン・ジョヴィとブルース・スプリングスティーン、ボストン出身のバンド、エアロスミス(スティーヴン・タイラーはニューヨーク州ヨンカース生まれ)、それにヒット曲「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」などで知られるスティングなどが結集し、それぞれのヒット曲などを披露したという。

"Beautiful" Christina Aguilera Hurricane Sandy. Coming Together

"The Living Proof" Mary J. Blige Hurricane Sandy Coming Together

2005年のハリケーン・カトリーナや2010年のハイチ地震の際にも、非常に素早く大物ミュージシャンらが立ち上がって同様のチャリティソンをやっていた記憶があるが、今回は中二日と驚くべきスピード。「比較的スケジュールに余裕のあった大物同士が声かけ合って、取るものも取りあえず……」といったところだったのかもしれない。New York Times記事にも「スタジオのセットもいかにも急ごしらえで、音響装置も時々おかしかった」などとある。

"Living'on a Prayer" Jon Bon Jovi Hurricane Sandy Coming Together

"Bruce Springsteen" Hurricane Sandy Coming Together

ボン・ジョヴィ、スプリングスティーン、J・ブライジと、オバマ大統領のサポーターが目につくのは単なる偶然か、それともニューヨークなどが伝統的に民主党の牙城であることと関係があるのか……。

"Dream On" Aerosmith Hurricane Sandy Coming Together

Steven Tyler and many more Artists Hurricane Sandy Coming Together [スプリングスティーン、ビリー・ジョエル、スティーブン・タイラーらをバックに従えての『渚のボードウォーク』、歌うは番組ホストのマット・ロウアー(Matt Lauer)]

それとは別に、音楽コンテスト番組の影響の大きさといったものにも目がいくところで、アギレラ(「ザ・ヴォイス」)とタイラー(「アメリカン・アイドル」)の2人がいずれも審査員を務めていたことは、この支援呼びかけの番組への登場と決して無関係ではあるまい。ちなみに、やはりブロンクス出身のジェニファー・ロペスは現在欧州公演ツアー中だそうである。

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