【コラム】

エンジニアのための英語術

39 流れる言葉をどうcatchする? - 英語でnote-takingのコツ その1

    原田洋子  [2008/02/21]

    最近、ITの世界で話題になった「若き天才プログラマ」上野康平氏ですが、上野氏へのインタビュー記事を見ると、どうやら「英語ができた」ことが彼を天才たらしめている要因のひとつのようです。これを読んで、"英語ができるって、うらやましい"と思った方がいるかもしれません。日本国内でも海外からやってきた技術者が"英語で"プレゼンテーションするのを聞く機会は少なくないのではないでしょうか。今回は、英語のプレゼンテーションを要約してレポートを作成するようなやや上級者向けに、メモの取り方の話をしましょう。

    ノートテーキングの8カ条

    一般に、カレッジの授業を受けるにも、プレゼンテーションでも、自分が何を聞いたのかを要約するにはpreparation、note-taking、reviewの3段階のプロセスをすべてこなすことが重要と言われています。米国ではカレッジのクラスにやってくるにはpreparedであること(授業で何の話をするのかを予め勉強しておくこと)が要求されることがよくあります。予備知識がないまま授業に出てもディスカッションに参加できませんし、内容もあまり理解できずに終わることが多いからです。技術系の英語のプレゼンテーションとなると、母国語ではない言葉で難しい話を聞くことになります。内容把握のためには基礎知識は必須ですから、スピーカのブログを読んでおくなどして、preparedな状態になっておきましょう。

    そして、実際にプレゼンテーションを聞いている間に行う作業はnote-takingです。米国ではnote-taking術が確立していて、カレッジならどこでも、学生に「このようにしてよいノートを作りなさい」というレクチャーを行っています。もっとも有名なのはThe Cornell Note-taking Systemと呼ばれているノート作りの方法です。本連載第29回で記憶のメカニズムの話をしましたが、このトピックでノートを作った例がTemple U. RCC Supplementにあります。このシステムどおりにノートをとるとすると、プレゼンテーションを聞いている間には主に、右側の広い部分に書きとっていき、これがmain pointか?と思われた場合には左側に書き込んでいくようにします。プレゼンテーションが終わったら自分なりに内容をまとめて下の部分に書いておきます。

    では、ノートの書き方はわかったとしても、問題は流れていってしまう言葉を捕まえていかにして内容を書き留めるかです。SBC Academic Resource Center, Note-Taking Skillsにとても参考になるヒントがありますが、この中で、"Guidelines for Note-Taking"のところは特に知っておきたいリスニングの心構えです。その内容は

    1. レクチャーに集中しなさい
    2. 常にノートを取り続けなさい
    3. すべての言葉を書きとろうとしてはいけません。選んで書きなさい(スピーカが話すスピードは1分あたり、平均125-140words。書きとれるスピードは1分あたり平均25words)
    4. 自分の言葉で書き取りなさい
    5. 論理的な形式(The Cornell Note-taking Systemのような)でノートを取りなさい
    6. 重要なアイディアや情報だけを簡潔に書き取りなさい
    7. 判読できるようにきれいに書きなさい(後になって読めないと意味がない)
    8. スペルや文法を気にするのはやめなさい

    のようになっています。どれも、大切な心構えですが、とくに重要なのは4です。4はこの資料では"translate"という言葉を使っていますが、"paraphrase"とも呼ばれる方法で、単にスピーカの言葉をコピーするのではなく、自分の言葉で書きとめることです。理解の程度がわかると同時に、理解していないとできない方法でもあります。難しいのですが、これができると後になっても内容をよく覚えていますので、努力してみてください。

    スピーカーが"本当に伝えたいこと"に気づくには

    では、このような心構えで臨んで何を書くかですが、これもガイドラインがあり、多数のサイトで解説されています。ただし、どこのサイトにも同じことが書いてあるわけではないので、大まかにまとめると次のようになります。

    1. Outliningを行ってメインアイディアとサポートを書く

    I, II, III(メインアイディア)や1, 2, 3(サポート)を a,b,c(詳細)などの数字や記号を組み合わせてインデントします。

    2. 数値、名前、数式、図、例題や定義などを書く

    3. 記号や省略形を利用して短く書く

    SBC Academic Resource Center, Note-Taking Skillsの"Ways to Reduce and Streamline Notes"のところや、Kalamazoo Valley Community College!の"2"に参考になる方法があります。

    4. 自分の疑問やコメント、知らない単語や概念、重要と思われるところにマーキングする

    Effective Note-Takingの"During the lecture"の1-11に例があります。

    上記の中で特に重要なのは1つめで、メインアイディアは何かをきちんととらえて書き留めておくことです。

    そのもっとも重要なメインアイディアをとらえるにはどうするかですが、これもtipsがいくつかあります。一般にスピーカはメインアイディアや重要なポイントを述べるときには、SBC Academic Resource Center, Note-Taking Skillsの"Tips for Finding Major Points in Lectures"や Effective Note-Takingの"During the lecture"の2 - 5などで解説されているように、

    • 間を置いたり、声を大きくしたり、ゆっくりする
    • 何度も繰り返していう
    • ホワイトボードなどを使って書いて説明する
    • 質問を投げかける
    • 特徴的なフレーズを使う(Kalamazoo Valley Community College!の"3"に例があります)

    といったことを行います。書き取りばかりに必死にならず、スピーカの話し方をに注意を払うようにすると、楽にノートがとれるのではないでしょうか。

    そして、プレゼンテーションが終わったときのreviewを忘れずに行っておきます。第29回で記憶のメカニズムの話をしたように、聞いた内容がlong-term memoryに刻まれないことには忘れてしまいます。後になってレポートを書こうとしたときに、忘れてしまったことに気がついても手遅れですね。できれば、プレゼンテーションが終わった時点でreviewしてノートに疑問マークを付けたところを質問しましょう。より理解が深まり、レポートの質もあがるのではないでしょうか。

    さて、今回はnote-takingを中心に話をしましたが、"note-taking"をキーワードにして検索すると、ほんとうにたくさんの解説が見付かります。今回は取り上げませんでしたが、"Overview: Tips for Effective Note Taking"なども、とてもよくまとまったわかりやすいサイトです。自分にあった解説を見つけてそのとおりに試してみてください。

    今回は説明ばかりだったので、次回は実際にトライしてみようと思います。

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