年の瀬が近付いてきている今日このごろ。2007年は残り10日とちょっとです。毎日がなんとなくあわただしくなってくるころですね。この時期には冬休みもあるので、例年話題の映画が多数公開されています。読者のみなさまは英語の映画を見ていますか? 先日、Will Smith主演の"I Am Legend"が公開されましたので、私はさっそく観に行ってきました。米国では間もなくNicolas Cage主演の"National Treasure: Book of Secrets"も始まるので楽しみにしています。私にとって映画を観ることは趣味であると同時に英語のを勉強しているつもりですが、本当に映画で英語を勉強できるものなのでしょうか? 今回は映画と英語学習について話をしましょう。

予備知識がない話は単語がやさしくても"???"

英語の映画を観る一番のメリットは、なんといっても英語を使う人達の文化を勉強できることではないかと思っています。EnglishForums.comにある話題"Learn English from movie..."の5つめの投稿にはまさに私が思っていることと同じ内容がありました。言葉とそのバックグラウンドとなっている文化は切り離して考えられないと同時に、バックグラウンドを理解していると聞き取った内容を正しく受け取れるようになります。

まったく予備知識がない話をされると、おなじみの言葉が並んでいてもなかなか理解できないものです。私は米国へやってきた当初、眼鏡を作ろうとしたときに自分の健康保険がカバーされる範囲の話を聞かされたのですが、この内容が理解できなくて困った経験があります。日本と違い、健康保険の内容は一人々々違いますし、ドクターが契約している保険会社も同じではありません。相手は難しい単語を使っているわけではなく、複雑な文法などもまったく使っていません。それでも、基礎知識がないと相手が言っていることを正しく把握するのは難しいものです。

映画では実にさまざまな分野をバックグラウンドが設定されているので、そこで登場する単語を勉強するように心がけると、ボキャブラリが自然に増えていきます。冒頭で触れた"I Am Legend"なら、NPRのサイト「'I Am Legend' a One-Man American Metaphor」を読んでおくといいでしょう。音を聞きながら英文を眺めると、virus(ヴぁいあらす)、vaccine(ヴぁくしぃん)、immunity(ぃみゅーなてぃ: 免疫)、infect(感染する)といった単語がでてきます。英語圏で生活していると、とてもお馴染みの生活用語ですが、日本人には珍しく思えるかもしれません。

ちょっとした会話を英語のまま聞き取れると、かなりウレシイ

それでは、映画でリスニングを鍛えることはできるでしょうか。本コラムの読者なら、リスニングで重要なのは相手が発した単語を一字一句正確に聞き取るよりも、相手が言いたいことを正しく受け取ることでしょう。無理やり作り上げたようなQ&Aの会話で英語を憶えるよりも、映画のストーリの中で自然にでてくる会話で英語を勉強するほうがより実用的なのではないかと思います。

たとえば、The New York Timesのサイトにあるビデオクリップで見てみましょう。この"Cellular"という映画はサイエンスの先生(女性)が陰謀を企む警官のグループに誘拐され、監禁されるシーンではじまるのですが、そこでは

Man: Tell me what I need to know.
Science Teacher: I don't know what you are talking about.
Man: You gonna never see your son again.

という言葉が交わされています。まさに脅迫ですね。そしてシーンが変わり、いかにも若者どうしらしい会話が登場します。ここで"email video to my cell"と言っているのがわかるでしょうか? "email"は動詞でもあるので、「電子メールを送る」を英語で言うと、単に"email"で、"send email"とはあまり言いません。「電子メールをください」は"Email me."です。

会話を正しく把握できるようになったら、瞬時に笑ってみたいジョークは映画の中にはよくあります。2004年に公開された"National Treasure"では、危機迫る場面で主人公が美女とキスするシーンがあるのですが、キスする二人を見たさえない悪役がぼそりと"Why that never happens to me."のようにつぶやいています。簡単な英語なので、きっと読者の方々もわかるのではないかと思います。

ほかにも簡単にわかって笑えるジョークはいくつもあります。今年公開された"Rush Hour 3"をご覧になった方はいるでしょうか。この映画には日本人にもわかりやすい笑いの場面があります。こちらもNYTのサイトにある"I am Yu."のクリップのやりとりはおそらくどなたでもわかると思います。ちょっとした言葉遊びなのですが、俳優さんたちの演技に笑わされますね。

DVDでお気に入りを何度でも!

さて、本格的に映画のDVDを使って勉強するにはどうしらたいいでしょうか。Effortless English Club Blog: Learn English With Moviesでちょうどいい勉強方法が紹介されています。ここにあるのは、

  • 短いシーンを繰り返し見る
  • 母国語と英語両方の字幕を見る
  • 真似て言ってみる
  • 表情も真似て言ってみる

という方法です。さらに、できれば自分の発音をテープにとって比べてみるといいでしょう。自分の発音をどのように改善したらいいかがわかるはずです。

今回は映画でどのような英語の勉強ができるのかについて話をしましたがいかがでしょうか。ただ単に英語のテキストを読んで勉強するよりもきっと楽しいはずです。今どき映画はノートPCでもiPod touchでも見られるので、お気に入りの映画を繰り返し見て英語にトライしてみではどうでしょうか。