大人のBack-to-Schoolももうすぐ…

日本はそろそろ夏休みの長期休暇が始まるころでしょうか。お出かけの予定を立てたり、花火を見に行く話をしたり、そわそわする時期かもしれませんね。

こちら米国では夏休み気分が抜けはじめ、そろそろ9月から始まる新学期の準備にとりかかる時期になりました。新学期に合わせたBack-to-Schoolセールがあちらこちらで行われるようになり、カレッジではfall semesterのレジストレーションも開始されています。今年、summer semesterにクラスをとらなかった私は5月から休みだったので、すっかり夏休みぼけ状態です。まずいです。これでは授業についていけません。英文を読まなきゃ、書かなきゃ、英語らしい考え方をトレーニングしなきゃ、とは思うもののなかなか捗りません。

とくに英語らしい話の組み立て方は、先生に厳しく指摘されないと気づかないことが多いんです。自分で書いたプログラムのバグをなかなか見つけられないのと似ています。今回は、この「英語らしい話の組み立て方」はどうしたら身に付くのかという話をしましょう。

自分の文章の間違いは気づかないけど、他人の文章ならわかります!?

英語らしい話の組み立て方を理解してるつもりでも、実際に文章を書くと「できていないと」いう指摘を私は何度ももらっています。何を言いたいのかわからない(confused sentences)、つながりがない(gap)……などなど。エッセイを提出する前にはチュータに見てもらっているのですが、チュータは文法や語彙については指摘してくれるものの、論理的な組み立て方についてはアドバイスしてくれません。文章の構成は自分で考えないといけないからです。プログラミングのようにテスティングツールがあって、英語らしい構成になっていないところを見つけられれば楽なのに…と思うこともあります。残念ながらそんなものは存在しないので、1ステップずつ進めてデバッグするように、文章をひとつずつチェックしていくしかありません。

ただ、自分の書いた文章を何度読み直してチェックしてもまずいところは見つけられないのに、他人が書いた文章が論理的に組み立てられているかどうかはわかるようになりました。エッセイを書くクラスでは""partner reviewといって、二人組みになって相手のエッセイを読んで問題点を指摘する時間がありました。自分が書いていない文章は思い入れがなく、客観的に読めるからでしょう。問題のある文を見つけるのは比較的簡単でした。どうやって書いていこうかと思い悩む前に、誰かが書いた文章を読んで英語的な考え方をしているかどうか、していなかったらどう修正すればいいのか、などを考えてみるとよいトレーニングになりそうです。

良い日本語の文章≠英語として通じる文章

今回は「他人が書いた文章」の例として、Seasar2の"Welcome"部分に書いてある文章を取り上げてみましょう。ここには、以下のように書いてあります。

「Seasar2」とは、「Javaのアプリケーション開発」で悩みを抱えている「開発者」向けの「軽量コンテナ」であり、「高い生産性と品質」を提供します。 そして、「他の軽量コンテナ」とは違って、「設定ファイルをほとんど書く必要がなく」、「アプリケーションを修正したときでも再起動なしで即座にその変更を認識できるので、 スクリプト言語並みのさくさく感」が得られます。

この文章は、Java言語でのアプリケーション開発の経験がある日本人を読者に想定して書かれていることを考慮すれば、けっして問題がある文章ではありません。想定したとおりの人達が読んでくれれば、感覚的に良さを訴えられる言葉が並んでいます。

ところが、これはとても日本的な文章でこのまま英語に直すと、たとえ間違いのない正しい英語であっても「何を言いたいのかわからない」と言われてしまう可能性は大きいです。いったい(英語的には)どこがまずいのでしょうか。

まず最初の文章ですが、「Seasar2とは」という言葉ではじまっていますから、英語圏の読者なら定義について書いてあると考えます。別の見方をすると"What is the point?"の答えになっているかどうかです。残念ながら、定義以上のことが書かれています。この例では、ポイントは「Seasar2は、軽量コンテナです」になるはずですから、最初の文章で言うことはこれだけに留めておきます。ただし、文章に含まれている「軽量」がどのような意味で軽いのか、また、何をする「コンテナ」なのか、といったことが不明なので、これらについて説明を加えれば英語らしい出だしになるでしょう。

では、最初の文にある"「Javaのアプリケーション開発」で悩みを抱えている「開発者」向け"や"「高い生産性と品質」を提供します"はどうすればいいでしょうか。これらは「定義」ではなく、Seasar2の「目標」と考えられるので、第2文以降で、

Seasar2の目標は「Javaのアプリケーション開発」の悩みを軽減すること、「高い生産性と品質」を提供することです。

のようにすると英語らしくなります。ただし、実際に英文にする場合は「悩み」だけではあいまいなので、これがどのようなものなのかは捕捉説明する必要があるでしょう。

第2文で英語にするときに特に問題がありそうな個所は「他の軽量コンテナ」です。日本人は常識的に判断できると考えがちですが、英語ではこれはだめです。英文ライティングではこの手の「常識」はいくつかあるlogical fallacies(論理的誤り)のひとつで、頼ってはいけないものです。「他の」が何を指しているのかを具体的な名前を挙げてきちんと説明すると、より英語らしい文章になるでしょう。

英語らしい文章のお手本を眺めてみる

英語らしい文章の参考として、「Apache Portable Runtime (APR) project」の"Welcome"を読んでみてください。"The mission of the Apache Portable Runtime (APR) project is "と"The primary goal is"で始まる2つの文章だけの簡潔な紹介ですが、"software libraries"が何を意味しているのかなど十分な説明が加えられていて、何を言いたいのかがよくわかります。

もうひとつ、英語らしい文章の参考として、最近ApacheのIncubatorを卒業したWicketのIntroductionページを眺めてみてください。一見してわかるのは「長い」ということです。WicketはApache HTTPサーバに必要不可欠的なAPRプロジェクトとは性格が違い、数あるフレームワーク製品のうちのひとつで、しかもかなり後発のため、すでに何かのフレームワークに親しんでいる開発者をなんとかして振り向かせたいプロジェクトです。そのためにはいかに魅力的なフレームワークであるかを十分に訴えなければいけません。なぜ今ごろになって出てきたのか、なぜこれまでのフレームワークではだめなのかをかなり詳しく説明されていて意気込みを感じます。そして何に似ていて、どこが違うのかも挙げて、読者が理解しやすくする努力もしています。「Goals」には英語らしく、たくさんの項目が並んでいます。ここの部分は「あなたがWicketを使う6つの理由」と読み替えてください。Goalsで何を書けばいいのかよくわかるのではないでしょうか。

英語らしい話の組み立て方は簡単にできるようにはならないので、日本語でいいので、まずは誰かが書いた文章を見て、 "What is the point?" を考えてみてください。このようなトレーニングを続けるとネイティブスピーカにわかってもらえる英語が身につくかもしれません。

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