【コラム】

エンジニアのための英語術

2 たかがリーディング、されどリーディング - エッセイスタイルをモノにせよ

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日本人が受けていない教育「エッセイスタイル」

英語の記事やドキュメント、読んでいますか? 読みたいとは思っているんだけど、辞書を引きながら最後まで読めるほどの時間はないし、1回読んだだけじゃ内容がわからないし……こんな感じで、挫折気味の方が多いのではないでしょうか。たしかに、日本発のすばらしいソフトウェアが増えてきた上に外国産でも日本語化のスピードが速くなりました、が、やはり、海の向こうから英語のままやってくる目新しいソフトウェアや話題は多いものです。もしも英文リーディングができたら、すらすらとはいわないまでも内容を把握するくらいできたら、すばやく情報をキャッチして役に立ちそうなのかどうなのかの判断材料になるかも…そんな願いを受けて、今回は英語のドキュメントを読むときに、短時間でうまく内容を把握するためのコツについて話をします。

英文を効率よく読むためには、実は英文ライティングの知識が役に立つのをご存知でしょうか? 英語の世界では記事や論文などは「エッセイ」と呼ばれており、「エッセイスタイル」というかなり構造化された書き方をするのが普通です。アメリカ人はミドルスクールに入る6年生くらいから、構造化ライティングを勉強しはじめ、以来10年以上の間トレーニングを受けて社会に出るので、エッセイスタイルがライティングでもリーディングでも基本になっています。外国人が書く英文が米国ではだめだと言われてしまう原因は、英文そのものの出来よりも、このエッセイスタイルがきちんとできていないことが大きな理由である場合がよくあります。

では「構造化されたエッセイスタイル」とは何か、大まかに言うと、1つの"thesis"と複数の"main ideas"が柱になっています。"thesis statement"はとくに重要で、「このエッセイはこれについて話をします」という宣言のようなものです。通常、最初の段落である"introduction"の最後の文章がthesis statementです。2つめ以降の段落ではthesisを支える各main ideaを書いていきます。通常、各段落の最初の一文は"topic sentence"と呼ばれるもので、この段落ではどのようなmain ideaについて話をするかを述べる文章になっています。段落内の2つめ以降の文章はmain ideaのための"supports"か"examples"で、最後の文章がmain ideaに関連する小さな結論になっていることもあります。そして、最後の段落は"conclusion"で、ここには結論やthesisを印象づける内容があります。

英文には決まった流れがある

今回のお手本であるMartin Fowler氏のエッセイ。まずはゆっくりでもかまわないので、単語ではなく“構造”を追って読んでみよう

……と、いきなりエッセイスタイルを説明されてもわかりにくいはずですから、実際にどのような仕組みになっているのか、Martin Fowler氏がWeb2.0について書いているエッセイを例に、見ていくことにしましょう。

まずはthesis statementですが……ありました。セオリーどおり、最初の段落の最後の文章です。

There's a lot of confusion out there, however, so I guess it's time for me to make a futile attempt to reduce that confusion.

です。つまり、このエッセイは「confusionを少しでも解消するために書いている」ことがわかります。

次からはmain ideasになりますが、2つめの段落のtopic sentenceを見ると、

"A lot of the confusion is due to people"(抜粋)

と あるので、この段落では「confusionの原因は人々がそれぞれに違うことを言うからだ」というmain ideaについて書いてあります。実際に2つの引用がありますから、内容を読まなくてもこの2つが違う意見のはずということは想像できます。このエッセイの場合、3つめの段落がどこから始まるのかの判断は難しいですが、引用で段落が終わるというのはconclusion以外ではあまりないことなので、bullets(箇条書き)が終わった次から段落が始まると考えてみましょう。すると、

It's important

という書き出しです。この段落には何か重要なmain ideaが書かれているはずです。このようなtopic sentenceがあったら、わからない単語は調べて文章を理解しておきます。どうやらFawler氏は「業界でWeb2.0の定義とされているルールは、規定というよりは説明である」と言いたいことがわかりました。

さらに次の段落の最初にあるtopic sentenceを読むと、

I have some sympathy for Nicholas Carr's view

とありますから、Fawler氏は業界では主流とみなされていないであろうCarr氏の意見と同じ考えを持っていると想像できます。

続く段落のtopic sentenceは

A common misconception I run into is that Web 2.0 is all new stuff.

ですから、もうこのエッセイの結論は見えました。Fawler氏によれば「Web2.0が新しいものだと思うからconfusionが起こる」わけです。この流れでいけば、最後の段落であるconclusionには、thesisを読者に印象づける内容があるはずです。

このようにthesis statementとtopic sentencesを追いかけるだけで、おおざっぱな内容が把握できました。詳しい内容を知りたかったら、今見てきたエッセイの構成を頭において、「ここにはこういう話が書かれているはず」と思いながら読んでみてください。「読むぞぉ~」と意気込んで文章を最初からひとつひとつ読むよりもずっとわかりやすいはずです。

英文を読むときのコツを説明しましたが、いかがですか? ぜひお試しください。

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インデックス

連載目次
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第53回 重要なのは受け手を混乱させないこと - 定冠詞"the"再考
第52回 型破りの次期大統領候補・Barack Obamaが米国の若者をinspireした理由とは
第51回 日本人を永遠に悩ますa/an/theと複数形の使い分け
第50回 ブログ/SNSにも文化の違い - 日本でFacebookは受け入れられるのか!?
第49回 旅行/出張で気をつけたい"数字"に対する感覚の違い
第48回 歌詞に思いをはせて口ずさむ - 英語の歌でディクテーション
第47回 英語らしさを増してくれる"relative clauses"をもう一度
第46回 "だって飽きたから"で世界の経済をかき回したsubprime ledners
第45回 緊張感もほどほどに - 英語でプレゼンテーション その4
第44回 限られた時間を有効に使うための構成テク - 英語でプレゼンテーション その3
第43回 論理のルールに従って主張を整理する - 英語でプレゼンテーション その2
第42回 発音よりも語彙よりも大事なこと - 英語でプレゼンテーション その1
第41回 そのレポートは誰のため? - 英語でnote-takingのコツ その3
第40回 事前の準備とスピーチの最初がポイント - 英語でnote-takingのコツ その2
第39回 流れる言葉をどうcatchする? - 英語でnote-takingのコツ その1
第38回 ホンモノの格差社会を米国の医療制度に見る - 大統領選でも要注目!!
第37回 米国に住めば英語はペラペラの幻想 - 住んでるだけじゃダメなんです
第36回 現在、過去、未来…いったいどの時点の話なの? - 日本語と英語の不一致
第35回 生死がかかれば、英語なんて怖くない!? 病院と警察で意思疎通を図るには
第34回 発言しない日本人、自己主張が強い米国人
第33回 日本人のあこがれ? "映画を字幕なし"で楽しめるようになるには
第32回 Googleよりヤフーが日本で受けるワケ - 日米"流行りモノ"考
第31回 Rubyの隆盛に思うこと…四苦八苦した翻訳ボランティアの思い出
第30回 単語の結びつきにはルールがある - "collocations"を覚えよう
第29回 英語学習に王道なしというけれど…"効率的な勉強法"はありますか?
第28回 読むチカラと聞くチカラの相関関係
第27回 米国社会に深く根付く"小切手"のチカラ
第26回 Don't be shy! - ときには無礼にもなりかねない"恥じらい"を克服する
第25回 慌てず、騒がず、はっきりと - 電話の英語はコツがいる
第24回 笑って許されないこともある!? ヘンテコ英語にはご注意を
第23回 プレゼンの達人はエッセイもexcellent - Steve Jobsの手紙の論理性
第22回 Summarizationその2 - annotatingと要約を実際に行ってみる
第21回 Summarization - 要約の目的とannotationの重要性
第20回 英語慣れしていない日本人を苦しめる"動詞"の難しさ
第19回 笑顔疲れしないために - フレンドリーに会話を進めるコツ
第18回 仕事で必要な資料を効率よく読む方法 - 一度で理解しようと思うことなかれ
第17回 和→和→英のプロセスを経てより英語らしく - 直訳してはいけない和文とは
第16回 まずは日本語でブラッシュアップ - 英語の論理の組み立て方をトレーニング
第15回 「正しい英語」のはずなのに通じない - 1つの結論と複数のサポート
第14回 英文法の必要性 - 外国人だからこそ身につけたい論理の仕組み
第13回 IT用語も実は日常用語 - 単語全体のイメージを掴んでボキャ貧脱出!!
第12回 英文ライティング事始め(2) - 実際に"complaint letter"を書いてみる
第11回 英文ライティング事始め - 本当の"business letter"を書いてみる
第10回 口から英語が出てこない! パニックに陥らないための会話学習テクニック
第9回 英語での情報収集も"main idea"を意識する
第8回 英語らしいアクセントで話す - 強弱はっきり、リズミカルに
第7回 "英語らしい発音"への果てしない挑戦
第6回 通訳ナシでテクニカルスピーチを聴かなきゃならない、さあどうする!?
第5回 絶え間なく襲いかかる音の洪水と闘う - 単語のつながりと切れ目を探そう
第4回 リスニング上達のカギ -- とにかく最初の部分を聞き取ろう
第3回 強い思いの主張こそ、感情的ではなく論理的に展開する
第2回 たかがリーディング、されどリーディング - エッセイスタイルをモノにせよ
第1回 まずは「英語でなくちゃ、ダメなんだ」な状況を作り出す

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