【コラム】
もうちょっと英語ができたらなぁ…… 英語が得意だったらもっといろいろできるんだけれどなぁ……… 日本人だったら、とくに米国ものを頻繁に使うことになるソフトウェア開発者なら、一度はそう願ったことがあるはずです。勉強しようと思えば、書籍、雑誌、Webサイト…… もう、それはそれはあふれるほど身の回りに教材があります。
で、英語上達を目指しての勉強は順調ですか? いーえ、なかなかそうはいかないのが現状ですよね。時間はないし、ヒマがあればやりたいことはほかにもたくさんあるし、なんといっても英語ができなくてもなんとかなってしまう! 英語が上達しない原因はこれなんです。
「英語ができなくてもなんとかなってしまう」- まがりなりにも現在米国で暮らしている私は切に感じています。米国には世界のあらゆる国から英語のできない人達がやってきているのですが、そういう外国人の中でいつまでたっても英語が上達しないのが日本人です。貧しい国からの移民と違い、日本人は会社から派遣されてやってくる人が圧倒的に多い、つまり、税金はたくさん払ってくれるしお金も持っている。その結果、日本語のサービスが増えて、米国にいながら「英語ができなくてもなんとかなってしまう」状況にあるのが現実です。これではいけないと思い、私はコミュニティカレッジできびし~い英語のクラスをとりつづけているところです。
この連載では、読者の皆さまよりちょっとは英語ができるようになった(かも)という私がソフトウェア開発に役立ちそうな英語の読み方/使い方を伝授していきます。今回は第1回目なので、私がソフトウェア開発者としてどのように英語と格闘してきたかを紹介しましょう。
英語との最初の格闘はコンピュータの英文マニュアルが相手でした。私がソフトウェア開発を始めたころ、業務用コンピュータには英文のマニュアルしかなく、やむをえず膨大な量の英語を読んでいました。英語を読まずになんとかしようとすると仕事も進まなくなる、つまり、英語ができないとどうにもならない状況にあったことが吉と出ました。英文読解力は鍛えられたし、英語に対する拒否反応もなくなりました。今のようにインターネットで検索すればいくらでも日本語で情報をゲットできる時代ではなかったという不自由が皮肉にも英語力アップにつながったわけです。
英文マニュアルで英語に慣れてはいましたが、さらに、英語じゃなきゃという状況になったのは、Javaという、当時としてはまったく目新しい米国産の技術を身につけたいと切に願ったときでした。今なら日本語で入手できない情報にまで手を伸ばす必要はないくらい日本語ドキュメントやWebサイトが充実しています。が、当時は英語を読まないことにはどうやってプログラムを書けばいいのか、どういうふうに動かせばいいのかまるで検討もつきません。ソースコードを読むというシンプルな手段はあったものの、やっぱり英語のドキュメントやマニュアル、メーリングリストは大きな情報源です。ここで、さらに英語を読むことに慣れました。
英語を読むならなんとかなるけれど、聞く/話すもなんとかできればなぁ、と思いはじめたのは日本でJavaのイベントが盛んに開催され、米国から開発者がやってくるようになったころです。ただし、これは簡単ではありません。テレビやラジオの英会話を視聴したり、大枚をはたいて英会話学校に通ったりしましたが、なかなか上達しません。なんといっても米人開発者の話を直接聞く機会は年にせいぜい数回なので、まさに「英語ができなくてもなんとかなってしまう」状況です。そこで、「払ったお金を無駄にしない」をモットーに、わざわざNHKラジオのビジネス英会話のテキストを買い、英会話学校にかろうじて通いつづけ、わずかながら聞く/話すが上達しました。今なら、NPR(National Public Radio)がインターネットで聞けるので、これでリスニングを鍛えるといいかもしれません。私はNPRを聞いてYahooは「やぁふぅ」と発音するのだとはじめて知りました。
そして今、英語を読めて、書けて、聞けて、話せるようになるための格闘をしている最中です。夫の転勤にくっついてデトロイト郊外の町へ引っ越してきたので、なんとか英語くらいできるようになりたい一心で、コミュニティカレッジの英語のクラスで勉強を始めました。外国人の私はESL(English as a Second Language)でスタートですが、これまでの努力のかいがあって、4つあるESLのレベルのうち上から2つめでのスタートとなりました。カレッジで英語を勉強する外国人はかなりの人がその後、大学へ進学するので、宿題とテストはほんとうにハイレベルです。おかげで想像をはるかに上回る苦しさを味わっているところです。
じゃあ、英語はぺらぺらになったかというと…… う~ん、読む/書く/聞くはできるようになったかも。でも、話す力はだめ。スペイン語圏やヨーロッパからやってきた人と違い、東アジア人はそう簡単に英語を話せるようになるわけではないんです。私の英語はまだまだ修行が必要です。
今はなにもかもWebサイトから入手できる便利な世の中で、日本語で米国の情報をゲットするのはとても簡単です。が、これを続けていてはいつまでたっても英語ができるようになりません。とにかく英語のWebサイトへ行き、読んで聞いて英語に触れる機会を増やす努力をしている日々です。私の英語が読者の皆さまよりもちょっとはデキルとしたら、それは「英語じゃなきゃ」という状況を作り出す努力をしているからかもしれません。皆さまもどこかに「英語じゃなきゃ」という必然性を見つけて勉強してみてはいかがでしょうか。
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