【コラム】

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89 1リットルの鼻水 - 「大雑学1 数字で知る人体」(日本雑学研究会)

    一井おん  [2007/03/01]

    こんにちは。数学の偏差値は30のイチイです。

    最近身の回りでは、数学がアツい気がします。その証拠に、流行に敏感な親友Cちゃんが、こんなことを言い出したのです。「私、自分の子供には2桁の九九をおぼえさせたいの」。彼女、特に出産予定もないんですが、インド人が九九を2桁までおぼえるらしいという噂を聞いて感銘を受けたようなのです。なので、電車の中で彼女がいじっているのはケータイではなく電卓(ケータイの機能よりそっちの方が使いやすいから)。実際インド人がおぼえているのは、99×99ではなく、19×19までだということをイチイは知っていましたが、それは彼女が気づくまで言わないでおこうと思います。実際にやりとげたら面白そうだから。

    世間において数学ブームを裏付けるものとして、わかりやすいところでは「数独」というパズルのヒットが挙げられます。カルチャーにおいても、数学者とその家政婦の交流を描いた小説「博士の愛した数式」のベストセラー化・映画化があります。記憶に新しいのは「ダヴィンチ・コード」。内容は数字関連を含む暗号解きがメインでした。世界で最も美しい数列のひとつだと言われる1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21……の「フィボナッチ数列」の名前を有名にしたのはこの小説ではないでしょうか。

    実家に帰った時、クレジットカードの広報誌か何かのお手軽な冊子で、読み物として「黄金比と白銀比」という特集が組まれていました。黄金比って聞いたことがあるけど、白銀比て何じゃいな。「白銀比で花を生ける」という写真が載っていましたが、お花を長年やっているうちのオカンも「何だかよくわかんないわねー」とキレ気味になっていました。つまりは、一般家庭でマニアックな数学の話題がするりと入り込むまでになっているのです!

    昨今じゃ日本人の学力低下だとか、算数や数学ができる子供が少なくなっているとかいうけれど、みんな本当は数字が好きなんじゃないか? と思います。イチイは数学ができません。でもだからこそ、数学ができる人に対する憧れは人一倍あります。そんな憧れの集合が、今の数学ムーブメントを引き起こしているような気がしてならないのです。

    今回の電子書籍は、レオナルド・ダヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」が描かれた表紙に惹かれてのチョイスで「大雑学1 数字で知る人体」です。「人体の60パーセントは水分である」といった、数字データで表現した人体まめ知識が120書いてあります。よく120も集めたな、という感じですが、章の構成はこんなかんじ。

    • 「第1章 細胞と遺伝子をめぐる数字」
    • 「第2章 脳にまつわる数字」
    • 「第3章 目・鼻にかかわる数字」
    • 「第4章 口・耳にちなむ数字」
    • 「第5章 心臓と血液が示す数字」
    • 「第6章 肺と呼吸についての数字」
    • 「第7章 胃・腸・痔・便・オナラがあらわす数字」
    • 「第8章 肝臓・腎臓・膀胱・尿をめぐる数字」
    • 「第9章 骨と筋肉にまつわる数字」
    • 「第10章 皮膚・汗・爪・毛髪にかかわる数字」
    • 「第11章 男と女の身体にちなむ数字」

    各まめ知識は見開き2ページ、右側にテキストで左側には図というレイアウトで解説されています。

    面白いのは、同じ数字という表現手段を使っても、読み手が受け取るイメージがバラバラだということです。「クシャミの速度は時速160キロメートル(第3章)」と、スピードを表してくることもあれば、「人は1晩に4~5回は夢を見ている(第2章)」などとロマンティックな表現になっている場合があったり。「耳の温度は熱いときでも29度くらいしかない」と温度を表すこともあれば、「尿道の長さ、女性は男性の4分の1(第8章)」と統計を表していたり。さまざまなまめ知識に無理矢理数字当てはめただけじゃん? と思ってしまえばそれまでなのですが、数字という共通の切り口で人体を解剖してみると、単なる酒のつまみのような雑学も新鮮に感じられるような気がします。

    イチイが好きだったのは、分泌液系、つまり、この本でいうとリットルで表現されているあたりです。「涙の分泌量は1日約1ミリリットル(第3章)」「鼻水はいつでも1日1リットル出ている(第3章)」「唾液の分泌量は1日1~1.5リットル(第4章)」「痰は毎日100ミリリットル作られている(第6章)」「胃液の分泌量は1日約2リットル(第7章)」等々。特に鼻水の1リットルにはびっくりしましたね。「1リットルの涙」っていうドラマがありましたけど、1リットルなのは涙じゃなくて鼻水だったんですね。解説によると、鼻はエアコンの役目を果たしており、肺を痛めないように、吸い込んだ空気につねに適度な温度と湿度を与えているそう。そのために常に鼻の表面には液体が分泌されていて、その量が1日1リットルにもおよぶのだそうです。「鼻は分泌液がたえず出ている」と聞いても、ふーんとしか思いませんが、1リットルと聞くと、ワオ! そうだったのね、ありがとう鼻さん! という気持ちになってくるのは数字のマジックと言えるでしょう。使える数字のインパクト効果、普段の会話にも上手に取り入れれば、話題の中心になれるかもしれません。

    「大雑学1 数字で知る人体」

    著者 : 日本雑学研究会
    出版社: 毎日新聞社
    価格 : 315円
    データ形式: Keyring PDF
    購入サイト:電子書店パピレス

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