【コラム】

ちょこっとイイブック

43 髪を切ったらまずほめろ - 「大人の女養成講座1 大人の女のお仕事」(石原壮一郎/ひさうちみちお)

一井おん  [2005/12/21]

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こんにちは。行き遅れを危惧するSEイチイです。行き遅れといったらもちろん嫁に行き遅れること。このままの生活を続けていたら、間違いなく嫁に行き遅れるって! と焦リ出しました。

気付けばここのところ、仕事の忙しさしかコラムのネタにしていなかった気がします。夏休みがないこともネタにしましたし、クリスマスに仕事の予定が入っていることもコラムで訴え済み。そして今回は、ついにお正月休みもないことを暴露しちゃいます。そこでハッ! と気付きました。このまま休みなく、会社で軟禁状態で働いていれば、何年たっても彼氏はできず、よって嫁に行き遅れ、気付けばお局様。仕事はできるけれど女捨ててるよね~と後ろ指さされかねない。それが10年後の自分の姿かもしれない、と予測できてしまったのです。

とある新人女性SE(Iさん)の1日はこんな感じ。朝7時に起床し、朝9時までに出勤します。夜は大体、22時か23時頃まで打合せや作業で働き、時には終電を逃がしてタクシーに乗ることも。そしてここからが問題なのですが、極めて高い確率で飲みに行ってしまうのです。飲みに行く相手は、もちろん会社の人。特に上司(50代後半、妻子持ち)が若手社員を誘って飲みに行くのが大好きなので、最年少のIさんは、必然的にメンバーの中に組み込まれます。多いときは週3日、同じメンバーで飲み会へ。帰りは上司とタクシー同乗。上司におごってもらえるしラクはラクなのでいいのですが、仕事に飲みにと、生活が"公的"場面で埋め尽くされているのはどうかと思うのです。これ、お局コースまっしぐらじゃないでしょうか??

会社漬けの日々であることは、ブログの日記にもしっかりと表れています。ほとんど毎回上司の話が出てくるので、「イチイ、不倫してない? 大丈夫?」とリアル友達に疑われる始末。まあ確かに上司のことは大好きだけれども、この入れ込みようはちょっとキちゃってるかも、と自分でも思い始めたところです。

キャリアを取るか、女としての幸せを取るか。このへんのバランスに悩める女性に最適なのが「大人の女養成講座1 大人の女のお仕事」です。男性読者が大半と思われる当コラムに、あえてこのタイトル。後で超・重要情報を教えますので、「オレ関係ないや」とすっ飛ばさないでくださいね。

この本は、基本的に「大人の女とは、仕事をきっちりやりつつも茶目っ気を忘れない人」というスタンスで書かれています。たとえば「お約束ギャグを使いこなせば、どんなオヤジ攻撃も怖くない」の項。

お約束ギャグがもっとも活躍してくれるのは、何と言っても「オヤジ系セクハラまがい突っ込み」に対して。

と講座は語ります。

「おや、今日はおめかししてるじゃない。さては、彼氏とデートかな?」

(イマドキ本当にいるんですね、こういう人)という突っ込みに対して、大人の女は、「大きなお世話です」などとかわいげのない返事をしてはなりません。

「ええっ、そんなに輝いてますか!? まぶしくてすいません」
「それじゃ、いつもはキレイじゃないみたいじゃないですか。ひどぉ~い」

これくらいの定番ではぐらかしたいもの、とされています。その返答が定番なのかどうか、果たして本当に「大人の女」なのかはどうかはわかりませんが、会社生活を円満に過ごすためには、そのぐらいの愛嬌があった方がいいのかもしれません。

こんな具合で、会社生活の潤滑油になるノウハウが満載された本なのですが、意外と男性にとってもためになるところがあるのです。なぜかというと、「大人の女」が会社生活をうまくやっていくために接する対象は、ほとんどが職場の同僚や上司、主に男性です。なのでこの本を読めば、「大人の女」に対する、しかるべき男の態度についてもわかるというわけです。これはなかなかためになりますよ。

特に即効性があると思ったのは、女性が髪を切ったとすると、「いい、いい、絶対似合ってる」以外の反応をしてはならないということ。それは、自分の経験に基づいています。イチイは、長い髪をバッサリ切ったのです。後ろから見たら誰だかわからないほどの大幅なイメージチェンジとなってしまい、特に失恋したわけでもないのに、「これは周囲の反応がめんどくさいなぁ」と思っていました。どうせ、「おっ、何かあった?」と聞かれるに違いない。

ところが我が上司は、その日の午後、ふとしたタイミングで、私の席の近くで後ろ髪をかきあげるしぐさをしてこう言ったのです。「かわいくなったじゃない」と。父親より上の年齢のおじさまに言われたのにもかかわらず、「あっ、ありがとうございます」と大いに照れてしまいました。素直にうれしかったんですね。日本において会社生活を円満にするということは、「社交辞令」「お約束」を頑張るってこと。この本はそのことを気付かせてくれました。というわけで男性諸君、割り切って、とにかく髪を切った女の子はほめてあげてください。そしてすでに、会社生活に漬かり過ぎて馴れ合いの域になってしまっているイチイとしては、この本を読まなくても十分、この本で言う「大人の女」の定義をクリアしているということに気付いたのでした。

「大人の女養成講座1 大人の女のお仕事」


著者:石原壮一郎/ひさうちみちお
出版社:扶桑社
価格:100円
データ形式:XMDF
購入サイト:楽天ダウンロード

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インデックス

連載目次
第96回 「内臓ドライブ」でゲンメツさせないで - 「一日一本!漢検十本勝負 巻之十【二級】」(漢検問題研究会)
第95回 方言ってズルい! - 「ぼっけぇ、きょうてぇ」(岩井志麻子)
第94回 非鉄から鉄へのツンデレ - 「鉄子の旅」(菊池直恵/横見浩彦)
第93回 "KY"と呼ばれないために - 「場の空気を読む技術」(内藤誼人)
第92回 ホームドラマの大原則とは - 「夏休み」(中村航)
第91回 約束にルーズだとお金も逃げていく? - 「お金の貯まる人はここが違う」(邱永漢)
第90回 必然的に事件に遭遇する神様探偵 - 「魔探偵ロキ」(木下さくら)
第89回 1リットルの鼻水 - 「大雑学1 数字で知る人体」(日本雑学研究会)
第88回 たまには一句詠んでみますか - 「添削例に学ぶ俳句上達法【1】」(鷹羽狩行・片山由美子)
第87回 脱・紋切り型英会話 - 「英語即答トレーニング 自然なひとことがさっと口に出る!」(デイビット・セイン)
第86回 封印された秘密をネットで公開 - 「姉ちゃんの詩集」(サマー)
第85回 テキストオンリーで勝負する硬派な料理本 - 「読むレシピ」(日本放送出版協会)
第84回 もし朝起きて虫になってたら - 「変身」(カフカ)
第83回 一話完結ものの異端児 - 「蟲師」(漆原友紀)
第82回 たまったキャッシュを捨てたいときに「ミカ!」(伊藤たかみ)
第81回 おしかけ女房のパイオニア - 「The かぼちゃワイン」(三浦みつる)
第80回 衝撃の結末は読んでのお楽しみ - 「大統領のクリスマスツリー」(鷺沢萠)
第79回 キラーネタの目白押し - 「杉田」(杉田かおる)
第78回 そろそろ、リタイヤ後のこと - 「美術館アンソロジーシリーズ I ルーヴル美術館」(藤ひさし)
第77回 発光する美少女に注目 - 「The MANZAI」(あさのあつこ)
第76回 私、ポータビリティ - 「元刑務官が明かす死刑のすべて」(坂本敏夫)
第75回 かいま見たオヤジグルメ - 「超こだわりの店乱れ食い」(伊丹由宇)
第74回 ため息つくと幸せ逃げるって本当? - 「幸福論」(アラン)
第73回 万葉はハニー・ダーリンの関係 - 「恋愛名歌集」(萩原朔太郎)
第72回 目薬の差し方から昼寝のススメまで - 「疲れをとる365日のヒント」(ライフエキスパート)
第71回 ベタつかない女の友情 - 「下妻物語」(嶽本野ばら)
第70回 胸のすくよなアキバ・ストーリー - 「アキハバラ@DEEP」(石田衣良)
第69回 エラそうで偉い - 「フランス人の贅沢な節約生活」(佐藤絵子)
第68回 賞味期限のないワンコソバ - 「きまぐれロボット」(星新一)
第67回 意外にあなどれない"デブ"の癒し効果 - 「空中ブランコ」(奥田英朗)
第66回 癒し系スプラッタ・ホラー - 「栞と紙魚子 殺戮詩集」
第65回 ケーキバイキングでどれだけ食べられるか - 『ナンシー関「テレビ消灯時間」リミックス』(ナンシー関)
第64回 アツく濃い100円 - 「100円モバイル文庫」シリーズ
第63回 夏は恋の季節ですから - 「マーフィーの恋愛成功法則」(植西聰)
第62回 スバラしき非生産 - 「頭の体操」(多湖輝)
第61回 できすぎたパロディ - 「日本以外全部沈没」(筒井康隆)
第60回 モテワンピなんて着てないで - 「日本沈没」(小松左京)
第59回 最年少何とかに憧れる - 「女子大生会計士の事件簿」(山田真哉)
第58回 ドラマ化するマンガの草分け - 「闇のパープル・アイ」(篠原千絵)
第57回 ミットモナイは反面教師 - 「頭がいい人、悪い人の話し方」(樋口裕一)
第56回 その若々しさは50マジで~ - 「新しい単位 ディレクターズカット」(世界単位認定協会)
第55回 恋愛テンプレート - 「年下オトコ×年上オンナ」(吉井春樹/内藤みか)
第54回 もそもそメシを喰う - 「ぼのぼの」(いがらしみきお)
第53回 アウェーの人に - 「ウェブ進化論 --本当の大変化はこれから始まる」(梅田望夫)
第52回 仕事とプライベートの切り替え上手 - 「生協の白石さん」(白石昌則)
第51回 ツブシききたい下心に - 「機動戦士ガンダムC.D.A. 若き彗星の肖像」(北爪宏幸)
第50回 忘れられない最終便のトラウマ - 「最終便に間に合えば」(林真理子)
第49回 当たり前という名の盲点 - 「逆説の日本史」(井沢元彦)
第48回 R25を読んでなくても - 「大人失格」(松尾スズキ)
第47回 芸術はなぜ爆発か - 「今日の芸術」(岡本太郎)
第46回 世にも新しい読むダイエット - 「妊娠カレンダー」(小川洋子)
第45回 ロハスブームにのせられて - 「超絶ハワイ術 もっとアロハ編」(野田貢次)
第44回 シューカツのちょっぴり苦い思い出 - 「蝉しぐれ」(藤沢周平)
第43回 髪を切ったらまずほめろ - 「大人の女養成講座1 大人の女のお仕事」(石原壮一郎/ひさうちみちお)
第42回 メソッドを噛み砕こう - 「段取り力」(齋藤孝)
第41回 絶望したらハーレクイン - 「憂鬱なクリスマス」(キャロル・モーティマー)
第40回 いい意味の規格外 - 「伝染るんです。」(吉田戦車)
第39回 ヨン様靴下で聞いた話 - 「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)
第38回 萌えと甘酸っぱさと - 「タッチ もうひとつのラストシーン」(青木ひかる)
第37回 「東京流」小説スタバ風味 - 「パーク・ライフ」(吉田修一)
第36回 日本一"端麗"な文章を書いた作家 - 「今夜、すべてのバーで」(中島らも)
第35回 小顔グッズを買う気持ち - 「ショッピングの女王」(中村うさぎ)
第34回 心のアミノサプリ - 「月のしずく」(浅田次郎)
第33回 男運の悪さとは違う - 「だめんず・うぉ~か~」(倉田真由美)
第32回 こってりとしていてそれでいてしつこくない - 「あ・うん」(向田邦子)
第31回 ちょこっと、おかわり! - 「空中庭園」(角田光代)
第30回 しょうゆ風味にローカライズ - 「冬のソナタ」(星合操)
第29回 「Aガール」って言われたい - 「ドグラ・マグラ」(夢野久作)
第28回 タイトルで1本釣りの顛末は - 「面白すぎる釣りの本」(博学こだわり倶楽部)
第27回 ブクロ系からエビス系へなれる本 - 「世界の終わりには君と一緒に」(桜沢エリカ)
第26回 ビールが泡盛になりました - 「プチ断食ダイエット」(いしはらゆうみ)
第25回 音のセンスが支配する - 「骨音 池袋ウエストゲートパーク3」(石田衣良)
第24回 ゲイが気になるお年頃 - 「中原中也詩集」(中原中也 編:大岡昇平)
第23回 みやげスキルを磨く - 「東京 五つ星の手みやげ」(岸朝子)
第22回 MPEGって何の略? - 「SEのためのIT英語入門」(小坂貴志/板垣政樹)
第21回 電話を止められても読みたい - 「三国志」(横山光輝)
第20回 キモカワ、キモオモ - 「元祖 スバラ式世界」(原田宗典)
第19回 ブームの秘密を探る - 「電車男、重松清と語る」(電車男/重松清)
第18回 3,000円のウナ重に似たり - 「沖縄の島へ全部行ってみたサー」(カベルナリア吉田)
第17回 生々しいより"生" - 「あたしの女に手を出すな」(南Q太)
第16回 文豪の夢は乙女チック - 「夢十夜」(夏目漱石)
第15回 SF界のモーニング娘。 - 「グリーン・レクイエム」(新井素子)
第14回 ブログの原型ここにあり - 「ポケットに名言を」(寺山修司)
第13回 美人のヒゲはマゾヒズム - 「ヒゲのOL薮内笹子」(しりあがり寿)
第12回 人生は選択の連続 - 「ハムレット」(シェイクスピア)
第11回 何かと何かを取り違えるプチ失敗 - 「伊賀忍法帖」(山田風太郎)
第10回 ノーリーズンの世界観 - 「デビルマン」(永井豪)
第9回 女の株もちょこっと上げて - 「e(良い)投資家になる本入門編」(長良川昌久)
第8回 毒にも薬にもならないトリビア的元祖SF - 「星の神話伝説集」(草下英明)
第7回 なんてイカした鼻マスク - 「包丁人味平 カレー戦争編」(牛次郎/ビッグ錠)
第6回 女同士のラブホテル - 「対岸の彼女」(角田光代)
第5回 平安朝のシティハンター - 「陰陽師」(夢枕獏)
第4回 元カレと血便 - 「時事通信社『家庭の医学』」 (時事通信社)
第3回 しょっぱいバレンタインに - 「たのしい・わるくち」(酒井順子)
第2回 溜まっているボス・ポセイドン - 「海のトリトン」(手塚治虫)
第1回 私が映画嫌いな理由 - 「蹴りたい背中」(綿矢りさ)

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