【コラム】
こんにちは。ゲイがマイブームかもしれないイチイです。ハードゲイっていう人が流行っているみたいですし、ゲイは今アツいんじゃないでしょうか。それとは関係ないのですが、最近身近な友人B君がゲイであることを知ってしまいました。そのせいで、ゲイの生態や特徴から「ゲイって何なんだろう……」っていう哲学的なことまで、何かにつけ考えてしまうことの多いG(もちろんゲイのG)指向な今日この頃なのです。
B君はもともと色白でひょろりと背が高く、中性的な風貌をしています。オシャレや美容に女性以上に気をつかうし、男友達の話題をよくうれしそうに話していることから、「もしかするとこの人」とイチイは怪しんでいました。決定的だったのは、B君と一緒にコンビニに入った時のことでした。最近のペットボトル入り清涼飲料水ってやつは種類が豊富すぎて、どれにしようやらいつも迷ってしまうのですが、B君が選んだのは「カルピスウォーター」。今「カルピスウォーター」には、「タッチ」のキャラクターが描かれたメタルプレートがおまけでついてくるのです。B君はおまけの小袋の中身を見て、「なーんだ」と言いました。どれどれ見せて、と受け取ると、南ちゃんではないですか。
「タッちゃん(達也)の方が好きなのに。」その時B君のつぶやいた一言で、そうかそうなのかとすべてを悟りました。すべての男子の憧れの女子である(ハズ)の南ちゃんより、グダグダのタッちゃんが好きだなんて……。あんた本物だよ、と思ってそれ以上は触れないことにしたのでした。
会社の休み時間のお茶うけトークで先輩にそのことを話してみたところ、「ゲイの人ってさー、好みに共通点があるよね」とのこと。「ねえねえ、その人ってもしかして、巨人の清原とか、マドンナの曲とか好きだったりしない?」「あっ、その通りです。」確かにB君は清原の大ファンだし、マドンナばかりでなくシンディ・ローパーとか、アメリカのクラブ系ミュージックのちょっと古めのものを聴いているのです。先輩はゲイの特徴を次々に当てていきます。「でさ、フェミニストで服は黒の革とかが多いんだよねー。」「た、確かにその通りです……。」
どうしてただゲイってだけで、これだけルールに当てはまってしまうのでしょうか。普通の男、女だったら、その人ごとに千差万別なのに。ゲイにはゲイにしかないG(ゲイ)方程式が存在するのか? だとしたら一好奇心でそのG方程式ってものを解明してみたいものです。
ゲイのことばっかり考えているので、今日のお題は中原中也です。ことわっておきますが、中原中也はゲイではありません。世界一有名なゲイカップルといえば、ランボーとヴェルレーヌ→ランボーを訳した詩人といえば? という思考回路を通って中原中也なわけなのです。
ここで「中原中也ってあんまりピンとこない」という人のために、この詩人について簡単に紹介しておきましょう。中原中也は主に大正・昭和時代に生き、30才で病死した夭折の詩人です。有名な「汚れつちまつた悲しみに」「一つのメルヘン」でわかるように、抒情的な詩を書く人です。また「ランボオ詩集」を翻訳し、フランスの詩を日本に紹介することにも貢献しました。
今回購入した電子書籍は、中原中也自選詩集「在りし日の歌」「山羊の歌」全編と、未刊詩編からの抜粋を含めたバージョンで、中原中也の総大成といえるものです。詩集ってものを初めて購入したのですが、詩集の読み方ってなかなか難しいですね。最初からつらつらと読むものなのか、拾い読みをするものなのか、好きなところを繰り返し読むものなのか。きっとこれといったお作法は決まっていないのでしょうが、イチイは詩集をお行儀よく初めから最後まで通して読むなんてことができませんので、好きなところだけつまみ食いをすることにしました。そういった意味で、目次をクリックして読める電子書籍は、詩集と相性がいいと言えるでしょう。
その中でもイチイのもっとも好きというか、なんだか頭から離れない詩がこれです。
お道化うた
月の光のそのことを、
盲目少女(めくらむすめ)に教へたは、
ベートーヱンか、シューバート?
俺の記憶の錯覚が、
今夜とちれてゐるけれど、
ベトちやんだとは思ふけど、
シュバちやんではなかつたらうか?
(以下略)
なんだかものすごくメルヘンチックです。シューベルトのことをシュバちゃんって、いかにもゲイっぽい。しかし、きちんと(?)女性との恋愛をしてきたようです。有名なのは3才年上の女優長谷川泰子との同棲で、当時中也は17才のことでした。しかし、泰子と一緒に上京した後、泰子は中也の親友である小林秀雄のもとへ去ってしまいます。その出来事がおおもとのきっかけとなって、中也は詩人になったそうです。親友に恋人を奪われたくらいで詩人になっちゃうだなんて、ニートがどうとか騒がれている現代ではなかなか考えられません。相当ショックだったんだろうなあ。
中也の詩集を読んでいると、泰子のことであろう恋に関する詩が多く、「恋愛は人を詩人にする」を地でいっていることがわかります。中也がランボーのようにゲイに転向しなかった理由は、泰子への一途な思いを貫き通したからかもしれないなぁと、またもやG指向で推測してみたのでした。
「中原中也詩集」
著者:中原中也 (編:大岡昇平)
出版社:岩波書店
価格:630円
データ形式:独自形式(専用ソフトウェア使用)
購入サイト:eBookJapan
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