【コラム】
こんにちは。ブログと日記の境界に悩むイチイです。今日はIT業界の哲学的テーマ(勝手に)、「ブログって何だろう」というお題です。これだけ流行って何を今さらという感じですが、イチイはヤツの本質がなんなのか、未だにつかめないでいます。
日記との違い? RSSがあって、コメントが書けて、トラックバックができる……はいはい、そういう骨格はわかります。それなら、「日記よりも、人とのつながりを大事にするコミュニケーションツールなんだ!」と言われれば、ふーんという感じ。ですが、「……で?」と言ってしまいたくなります。真の目的がどこにあるのかがやっぱりわからないのです。何だかわからないのに使ってしまう。それってすっごく不気味。ブログは不気味って思ってるの、イチイだけなんでしょうかねぇ。
3年以上前からWeb日記をつけているんですが、何度も「ブログにしなきゃ」と思っては挫折しています。イチイの周りでも、ブログの用途は日記という人がほとんどです。だから、ブログは日記に使ってもOKなんだ! と思っていろいろなブログを試してみるのですが、何かが違う。書けなくなってしまうんです。なぜかというと、イチイにとって日記とは、日々感じたことや出来事を振り返るための自己完結的なもの。そこに、コメントや他の人とのつながりが入る必要はないのです。
かといって、コメントを書く機能を制限すればいいじゃん、という単純な問題ではありません。「この日にあったこと、誰かにコメントを書いてほしいなー」とか、「このイベントについて、誰かとリンクしたいなー」と思うようなことは、また別の次元であるのです。だから、ブログと日記の両方を、うまく使いわけて書けばすむという話なのですが、同じ人間の頭の中のこと、それってかなり難しい。
わからないー、ブログがわからない。イチイにとっての永遠の「不思議くん」ブログですが、ヤツを理解するためのヒントと思えそうなのが「モブログ」。『携帯電話のインターネット機能を利用して更新するウェブログ(ブログ)。「モバイル」(mobile)と「ブログ」(blog)の造語』(「IT用語辞典e-Words」より)ってやつです。これだったら、ケータイのカメラ機能を使ってその時々の景色や食事を撮るなど、日常のメモ的に使うということで完全に日記と切り分けができそうです。日記が自分内部のことを主なインプットとしているのに対して、ブログは、個人ニュースサイトみたいに、あくまで外部のことを主なインプットにする、とすればきれいに整理できます。
今イチイがこんなにグダグダ悩んだ哲学を、なんと三十年近くも前にやってのけてしまった本があります。それが寺山修司作「ポケットに名言を」です。これ、作者があらゆる分野から集め、書き留めた「名言」を古いノートからひっぱり出し、カテゴリ分けしてまとめたものなのです。「名言」以外の本人の文章は、本の冒頭と、カテゴリ分けした各章の初めにコメントのようなものがあるのみ。客観的に見れば「人のふんどしですもうとってる」ということになるんでしょうか。しかし、アイディアの勝ちというか、誰もがやろうとすればできるのに、考えつかなかったことを真っ先にやられてしまった! と若干くやしい気持ちすらします。
もちろん、この本がただの「人のふんどし」ではなく、れっきとした一冊の名著であるということは忘れずに記しておきます。こういった「収集もの」の本の良し悪しは、集めたもののクオリティもさることながら、コーディネーターの力がものをいいます。星の数ほどある、個人ニュースサイトだってそう。世の中にごまんとあるニュースの、ちょうど自分のツボとなるものをピンポイントで拾ってくれて、リアルタイムで届けてくれるようなサイトは何度でもチェックしたくなります。
この本もまたしかり。ただバラバラに人の言葉を集めているのではなく、作者が言葉を愛しているという前提があって、そんな作者がそれらへの愛情を持って集めた宝箱のような本だから、価値があるのです。
この本の中の名言は、国内外問わず文化人、政治家、はたまた聖書などから収集されていますが、それらを分けるカテゴリは、恋、快楽、冒険と死、朝、文明、望郷と友情、真実、地上的な・苦痛的な、善と悪等です。読者はいつもポケットの中にこの本を入れ、好きなときに取り出して、好きな所から読めばいいのです。そういう意味では、文庫本っていわばモバイル・ツール。トラックバックはできないけれど、ここにコメントを書き込めば、あら! なんだかブログっぽい。そんな気がしてきませんか?
ちなみにイチイも名言をブログにするという考えはいいなぁと思いました。それも、エラい人の名言ではなく、身近な人達の名言集。女の子同士でお酒を飲んでいるときって、毎回ハッとさせられるような名言が出てくるのです。でも、飲んだ後にはすっかり忘れてしまうのがネック。それをリアルタイムでケータイでこっそり記録して、ブログにアップする。ものすごく濃い内容になりそうです。翌朝「あれ? こんなこと言ってたっけ」となりそうな予感大ですが。イチイとお酒を飲む機会のあるみなさんは、気をつけてね。
「ポケットに名言を」
著者:寺山修司
出版社:角川書店
価格:357円
データ形式:ドットブック
購入サイト:電子文庫パブリ
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