【コラム】

ちょこっとイイブック

7 なんてイカした鼻マスク - 「包丁人味平 カレー戦争編」(牛次郎/ビッグ錠)

    一井おん  [2005/03/16]

    こんにちは。マスクフェチのイチイです。なんてったって、今年は花粉がヒドい。例年の数十倍の飛散量と言われる今年の春、往年花粉症のイチイが安穏に暮らせるわけがありません。鼻はズビズバ、のどはカイカイ、目はウルルンの三重苦状態なんであります。

    しかし、こんな苦行の中にも一つの光明を見出しました。それが、マスクなんです。花粉用のマスク。花粉の時期にマスクをつける習慣を今年になってから始めたのですが、ずいぶん種類が多く出ているんですね。最近初めて知ったのが、立体型のマスクです。顔周りにピタッと密着しつつ、鼻と口まわりは空間ができるようにデザインされており、通気性に優れるというマスクです。しかも使い捨てタイプのものが多く、常に清潔を保つことができるという、至れり尽くせりの商品なんです、近頃のマスクってやつは。呼吸がつらくなく、口紅もつかない立体マスクの快適さを知ってしまうと、もう普通のガーゼマスクになんて戻れません。ビバ! 立体マスク。

    しかも、ひそやかにイチイが喜んでいるのは、同じ職場のイケメンの先輩も同じ立体マスクをしていることです。イチイが愛用しているのと同じ、真ん中にタテ線の入った立体マスク。立体なので横顔がりりしくみえ、まるで特撮ヒーローのようです。メガネならぬ、ずれたマスクをクイッと修正する仕草もなんとも知的でセクシー。マスクをとった後の素顔のギャップもまた……。などと、イチイの中ではマスク株が赤丸急上昇中です。

    というわけで電車に乗っていてもついついマスク姿に敏感になっているのですが、やはり使い捨て・立体型の新世代マスクをつけている人の姿を多く見かけます。注意して見てみると、同じ立体型マスクでも、イチイの愛用している真ん中にタテ線の入ったキツネの口のような立体形をしているものと、横線が数本はいっている蛇腹のような立体形のものと、大きく2つのタイプがあることがわかります。

    「キツネ型」愛用者にとって「蛇腹型」は対抗勢力です。「キツネ型」がヒーローチックなのに比べ、「蛇腹型」はどうも邪悪な感じがイチイにはします。「蛇腹型」なんて、まるで「ドラゴンボール」の「セル」の第一形態みたいじゃないですか(わっかるかなー)。なので、電車の中ではこっそりキツネと蛇腹の人数比を数えたり、蛇腹が向かいに座っていると妙に意識してしまい、マスクをしたままくしゃみをしては「キツネ型が敵にナメられてしまう!」と勝手に焦ったりしているのです。

    そんなマスクフェチ・イチイの今イチ押しのマンガといえば、グルメ系コミックの重鎮「包丁人味平」のカレー戦争編です。もちろん「イイブック」なので電子書籍での購入ですが、紙の場合と違って「カレー戦争編だけが読みたい!」といった場合も簡単に検索できるのが便利です。カレー戦争編は、第14巻から第19巻の計6巻の構成となっています。

    なぜこのマンガがマスクフェチのイチ押しかって? それは、すごくクールなマスク男子が、主人公のライバルとして登場するからです! 「カレーの魔術師」の異名をとる奇才のカレー料理人の彼の名は「鼻田香作」。下積み時代から鍛えた超・一流の鼻でスパイスを調合し、人々を魅了するカレーを作り上げるのです。

    インパクトありすぎる名前から想像がつくように、鼻田は「鼻」で勝負する料理人なのですが、その肝心の鼻はというと、なんとたいそうに「鼻専用マスク」で覆われています。鼻をすっぽりとカバーする、ベタ塗りのそのマスクは、耳にヒモをひっかけるタイプ。よく宴会用グッズとしてブタ鼻や外国人鼻が売っていたりしますが、あれと一緒です。要するに彼は、日常にしてすでに宴会モードに見え、明らかに尋常ではない。尋常ではないのに、誰ひとりとしてその登場にはツッコミを入れず、そのカレーの旨さばかりがクローズアップされているところを見ると、鼻田の料理の腕は相当なものであることがうかがえます。

    そういえば、「味平」に限ったことじゃありませんが、マンガに出てくるカレーって、なんでどれも不味そうに見えるんでしょう。湯気を立てていても、食べる人が「おいしい」と言っていても、あのどろっとした質感が、どうしても食べ物として魅力的に見えないのです。これがラーメンならまだ許せる範囲なんですが、どうしてカレーがおいしそうに見えるマンガがないのか不思議です。

    これに対して、駅なんかのスタンドのカレーのにおいって、姿は見えないのにどうしてあんなにおいしそうなんでしょう。思わずつられて入って食べてみるのですが、これが意外とあんまりだったりします。

    そこで一案なんですが、マンガもカレーのにおいがしたらいいのではないでしょうか。紙媒体では難しいかもしれませんが、最近香りつきのWebコンテンツも開発されているようですし、電子書籍なら実現できるかもしれません。カレーのにおいつきであれば、マンガ特有のカレーのまずさをカバーできそうです。においのエキスパート、鼻田も喜ぶことでしょう。

    そんなくだらないことを電車の中で考えつつ、今日もマスク通勤。しかし、着いた先には衝撃の事実が待ち受けていました。なんと憧れのマスクの君が、蛇腹タイプに鞍替えしているではありませんか!! 「だってあの(キツネ型の)マスク、ヘンなにおいしない?」ガビーン。またしてもにおいか。使い捨てタイプとはいえ15枚入りを買ってしまっていたので、あと10日分あまりを頑張って消費します。

    「包丁人味平 カレー戦争」

    著者:牛次郎/ビッグ錠
    出版社:リュウプロ
    価格:294円(80日間)
    データ形式:独自形式(専用コミックビューア使用)
    購入サイト:Yahoo!コミック

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