カリスマ、セレブ、貴族、サラリーマン、犬、さらに象まで

最近、知人に「お前、毎日、何してるんだよ?」とかなり高圧的に訊かれました。確かな上目線も感じました。誰よりも正直に「セレブや犬、あと貴族のDVDを観ている」と答えたのですが、「なんだよそれ」と知人は鼻白みました。会話の流れを絶やさぬように、逆にその人に何をしているか訊いたところ、「俺はちゃんと働いてるよ!!」と半ギレ気味で返されました。信じてもらえないかもしれませんが、僕もちゃんと働いています。今月も沢山変なDVDをちゃんと観ました。辛いやり取りは忘れて、今月も変なDVDを元気に紹介していきます。

お塩先生をも凌ぐカリスマ性を目撃せよ!

ネット発のカリスマミュージシャン、ノリアキのDVDを見ました。引きこもりミュージシャンと言われるノリアキの歴史と彼の強烈なメッセージ、PVなどが収録されています。内外のヒップホップアーティストたちや、押尾学あたりをモデルにしつつ、さらにチープ感を強めたと思われるそのファッションと言動はかなり面白いです。「日本の音楽は全てフェイク」、「世界で活躍するイチロー君には似たものを感じる」など、セリフがいちいちサイコーです。エミネムやZEBRAでさえも、彼にはディスられてしまいます。

ノリアキは写真のようにビジュアルもかなり個性的。随所に変なポージングやパラパラさえも取り入れられた独特のダンスは、ついつい見てしまう魅力があります。数年前に「歌詞を覚えられないし韻も踏めないラッパー」としてプチブレイクしたMCトカレフに近いものを感じました。

ヒップホップ以外にも、バラードやロック、歌謡曲風のチープなポップスなど、意外と楽曲はバラエティに富んでいます。周囲の大人がふざけながらも、少しだけ本気でこの企画を作っているという感じが窺えます。本作には、ロサンゼルスでのノリアキ独占ロングインタビューが収録されているのですが、インタビュー中、ずっと数匹の犬がノリアキの周囲を走り回っています。これもカリスマの魅力でしょうか?

キュートなハートが最高らしいです

ノリアキの作品を観て、「やっぱり犬は可愛いなあ～」と今更ながら再確認。そのままの勢いで、話題になっている癒し犬のDVDを観ました。身体にハートマークの模様のあるロングコート・チワワのハートくんです。この作品は高画質のハイビジョンカメラで撮影されていて、ハートくんの毛の1本1本まで確認できます。とにかくハートマークのハートくんは可愛いのですが、成犬になって体の模様が変わったら、その扱いはどうなってしまうのか、余計な心配もしてしまいました。

余談ですが、ハートくんは秋田県出身。少子高齢化による人口減少が日本一で自殺者も多いなど、ネガティブな話題も多い秋田県ですが、ハートくんや秋田美人がいる間は大丈夫だと思います。

極悪セレブに憧れます

秋田美人に限らず、僕も男の端くれなので、美人は大好きです。そこで世界の美女のDVDを観てみました。超お騒がせセレブとして注目を集め続けるパリス・ヒルトンの『シンプルライフ』です。この作品はパリス・ヒルトンが親友のニコール・リッチー(あのライオネル・リッチーの養女!)と共に、様々な庶民の生活を体験するというドキュメンタリーチックなバラエティー番組です。セレブなふたりなので、随所に庶民の暮らしをバカにした発言&行為連発。その愚かな様を観た視聴者が、逆にふたりをバカにして楽しむという不思議なバランスで成立しています。

パリスとニコールは親友でありながら番組内で絶縁し、その後は収録も別々に行われ、和解し再び共演するなど、ドロドロ展開の連続ドラマ的な側面も楽しめます。ちなみに、今回の作品では無謀にも花嫁修業をしていますが、2人とも今年ブタ箱に入った経験があるんですよね。いくら美人で、セレブで、面白くても、犯罪者なわけですから! ただパリスには妹さんと共に、様々なチャリティ財団の仕事に取り組んでいるという事実もあります。意外と根は良い人なのかもしれません。

僕らはフォーエバー使用人!

『シンプルライフ』に続いて、英国のドキュメント・バラエティー『マナーハウス』を観ました。これは現代に生きる普通の人々が、100年以上前の英国貴族の暮らしを、厳格なルールに従い、忠実に再現・体験するという作品です。貴族、執事、使用人という具合に、与えられた身分と役割を、当時のまま再現し共同生活するのです。

服装や言葉使いだけでなく、料理法や排泄、入浴の方法まで、当時のままなので、かなり壮絶です。料理人は電子レンジや冷蔵庫もない環境で、豪華なパーティーの食事や、毎日の料理を作らなければなりません。また、使用人たちは夜間はトイレも使用禁止。自室のおまるですませなければなりません。こんな細部まで、英国貴族全盛時代をまねする事もないだろうとも思いますが、出演者たちは必死でこなします。まさに究極のコスプレというかRPGといった感じです。

豪華な古きよき英国の貴族暮らしを体験するといった程度の認識で参加した人々は、次々とリタイアしていきます。涙まで流しながら口論し仲間割れする使用人役の人々に対して、貴族役の人々は「色々と決まり事が多くて、窮屈で大変～」とぼやきつつも、かなり幸せそうです。いつの時代もお金持ちのほうが幸せには近いみたいで、少し切ないです。 それにしても、外国のバラエティは本当に企画が変わっていて面白いです。

映画、アニメ、絵本で展開!

放送作家、作詞家、プロデューサー、映画監督、小説家と様々な顔を持つ秋元康が、企画・原案・脚本を担当した『象の背中 旅立つ日』を観ました。現在、劇場公開されている同名作品とテーマこそ同じですが、これは別物です。

映画では役所広司が泣かせてくれますが、本作では泣かせる歌をBGMに、「愛する家族との別れの物語」がアニメで描かれ、子供でも理解できる分かりやすい作品になっています。収録時間が7分のみで、アニメとまったく同じの内容の絵本(ポストカードにもなってます)が同梱されていたりと、商品としては不満な部分もありますが、この企画力はさすがです。高校生時代に放送作家として親父の年収を超えた秋元康は、やっぱり凄いです。

こんな会社で働きたい

企画力ってやっぱり大切です。NHKで凄い企画の番組があります。サラリーマン、OL、会社がテーマになっているコント中心のバラエティ番組『サラリーマンNEO』です。

NHKというと、未だに「再放送多過ぎるし、受信料徴収に来る人が余りに嫌な人ばかり」というイメージが強く、斬新な企画とは無縁の会社というイメージを、勝手に持っていました。ごめんなさい、浅過ぎでした。全部間違いです。この『サラリーマンNEO』では、民放の深夜枠でもなかなか見れないであろう、シュールで尖がったコントが多数楽しめます。

タイトル通りサラリーマンやOLを主人公にした、様々なコントが収録されているのですが、大部分のコントを生瀬勝久、山西惇、マギー、入江雅人といった普通の俳優さんが演じているのが新鮮です。仮に民放でこういう番組を制作すると、笑わせようと必死のお笑い芸人と、グラビアアイドルばかりでキャストを固めてしまいがちなので……。多数のキャスト陣の中でも、様々な変な役を演じて魅せてくれる沢村一樹は必見です。もっとこういう番組が増えたら、受信料を払う人も増えるかもしれません。是非、今年の紅白の司会は沢村一樹演じる「川上くん」か「セクスィー部長」に担当して欲しいです。

変なDVDを沢山観ていると、いつの間にか元気なりました。心無い言葉が飛び交う残酷な世界ですが、これからも変なDVDを観て、元気に過ごしていきたいもんです。