2015年10月、「アストロバイオロジーセンター」というのが発足しました。直訳すると、アストロ=天文、バイオロジー=生命学、のセンターってことで、まあ、宇宙人センターか、それとも、宇宙で畑でも作るための研究でもするのか。まあ、なんともフワフワしたネーミングでございます。で、そのアストロバイオロジーセンター(略してABC、靴屋かクッキングスタジオか放送局かという感じですが)は、なんとNASA(米国航空宇宙局)にできたのではなく、なんと日本に設置されたのです。アストロバイオロジーって、何やるんでしょうか、オイシイのでしょうか? まあちょっと調べてみましたよ。

えー、みなさんは「自然科学研究機構(NINS)」というのをご存じでしょーか? あー、なんかサイエンスを研究するところなんじゃろ、とは思うわけですが、これの中身をおおざっぱにでも言えるのは、関係者だけじゃないでしょーか。

私もよくわかっておりませんが、調べてみると、この自然科学究機構は、5つの研究所があわさった国立の組織で、「天文」、「核融合」、「基礎生物学」、「生理学」、「分子科学」の5研究所がその配下にあります。で「国立大学共同利用機関法人」なのだそうです。発足は2004年です。まー、しらんまに、そんなのがあったんですなー。そういえば、国立天文台に資料をもらうときに、自然科学研究機構ってのが頭についてましたが、いままで気にしていませんでした。ちなみに、国立なんですが従業員というかスタッフは研究者もふくめ公務員じゃなく機構の職員なんですな。あー「行政改革」でできた組織ね、とそこで分かるわけでございます。理化学研究所や、高エネルギー研究機構(KEK)とかJAXA(宇宙航空研究開発機構)とかはまた別なんですな。ふーん。くわしくは、ホームページをチェックしてくださいませ。

さてさて、この「自然科学研究機構」の配下には5研究所以外に、もうちょっとちっちゃい「センター」というのがあります。そこに新規に2015年にできたのが「アストロバイオロジーセンター」です。直訳すると、天文生物学センターですが、いったい、ここは何するところなんでしょーね。そもそも、アストロバイオロジーって、どんな学問なんですかね。火星のウィルスでも探そうっていうのでしょうか。なら、JAXAでロケット開発とかーと思うのですがどうなんでしょう。そんなNASAがやるようなことを日本でもやろうっていうのでしょうーか。

実際、アストロバイオロジー(astrobiology)でググってみると、まずはNASAが出て参ります。やっぱ、NASAもやっとるのね。ということですな。んで、このNASAのサイトに書いてある、歴史(history)だと、NASAの発足時(1958年)から宇宙に生き物がいるのか、というのは興味の対象だったとありますな。ふむふむ。で、1976年に火星探査機バイキングが、火星になんか生き物がいるのか、というので実験をしていたんですね。栄養分を火星の砂にふりかけ、発酵とか消化とかなんかおこるかいな。ということをやって、まあ、見事に、なんもいなかったわけですな。

で、ガクーっとなってしばらく宇宙と生き物を結びつけるのやめとこ、となったんですな。一番見込みがありそうだった火星でダメだったら、もう、見つける方法なかんべ、そりゃ、遠くのどっかにいるかもしれないけどさー。ということだったんですね。

ところが、いろいろおもしろいことが、後に分かってきて、この宇宙で生き物を探すってのが、息を吹き返したんですな。たとえば、5000mもの深海、もちろん太陽の光なんて一切届かないところに、生物が群れているのが見つかったんですな。海底火山による温泉の熱やさまざまな物質が生き物をはぐくんでいたんですねー。一方で、宇宙でも木星の衛星に火山が見つかります。しかも、エウロパという衛星は氷漬けの表面の下に温泉で溶けた海があるんじゃね? ということになってきたんですな。

また、太陽をめぐる氷の固まり、彗星から飛び出した物質を調べたら、生き物の部品であるアミノ酸が見つかったり、隕石からも遺伝子DNAを作る化学物質が見つかったりと、宇宙に生き物のパーツは豊富のあるってことがわかってきたんです。

さらにさらに、太陽系の外に惑星が発見されるようになり、そのなかには地球と同じような環境の星も続々と発見されているのでございます。地球は、生き物がわんさかいるために、大気に酸素が豊富だったり、外から見ると植物による緑色の部分がひろがっていたり、ともかく、見かけだけでも生き物がいるってことがわかりますので、遠い遠い星でも、「ちょっと酸素があるんじゃね」とか「この星ちょっと緑っぽいんじゃね」とかいうことが分かれば、生き物がいるショーコとして使えそうなんですな。

ということで、宇宙に生き物を探すということで、だいぶ、いろいろな手が使えるようになってきたと、それをやっちまおうといのが、現在のアストロバイオロジーらしいのです。

ちなみに、日本のアストロバイオロジーセンターは、太陽系の中の天体に生き物を探すロケットを飛ばす…のではなく(ちょっと残念)、遠い遠い太陽系の外の、地球に似ている惑星を見つけ、そこからさらに、生き物がいるサインを見つける。ということを考えているらしいですな。なんでも、現在最大の望遠鏡の10倍(まじすか)もの集光力がある巨大望遠鏡(しかも建設中なんですと)をつかって、遠い遠い宇宙の果ての地球みたいな星の、わずかな生き物のきざしをしらべたろうちうことのようでございます。

宇宙にはまだ「生き物」は見つかっておりませんが、なーんか10年以内に何かが見つかりそうな気もいたしますな。ちなみにNASAは、火星を掘って生き物が地下にいないか調べることも考えているよーです。どっちが早いか、なかなかおもしろい時代になっておりますな。

自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンターのWebサイトに掲載されているイメージ画像 (出所:自然科学研究機構 アストロバイオロジーセンターWebサイト)


さて、最後にお知らせ。本連載「どこでもサイエンス」は、めでたく100回を迎えました。みなさまのご支持のおかげでございます。ありがとうございます。サイエンスをネタに楽しい会話があちこちであるといいなと思って書いてまいりました。ま、これはワタクシの先輩が作ったコンテンツ「学研のひみつ」シリーズとか、同じく「○年の科学」とか、テレビの科学番組とか、博覧会とか、博物館とか、理科の実験とかでサイエンスは楽しめるってことを知ってきたおかげでございます。

で、そういうなかでも、決定版はなにか、ちょっと知りたくなりました。科学者や理科の先生や、ワタクシのようなナゾのキュレーターを産んだのはどんなコンテンツなのか。絨毯爆撃で、調べようと思いますので、読者各位はご協力いただければと思います。このためにツイッターのアカウントを作りましたので、「@dokosci」にメンションいただくと嬉しいです。

そのさいに「自分が何者か(理科の教師、IT技術屋、生物科学者、技術出版関係、ただの科学好き、なんでも結構でございます)」と、小学校のとき、あるいは職業や趣味が決まっていくとき「これが決定版だった」コンテンツ名。できれば、かんたんな思い出などあると嬉しいですねー。あ、こちらからもおたずねしますので。

ワタシの場合は…東明六郎、科学系キュレーターです。小学校のときに「学研のひみつシリーズ」を親に買ってもらって、恐竜に夢中になりました。理科も成績は悪いが好きなままで高校でも理系を選択。現在に至る。@dokosci ってな感じですな。

おさまりきらなーいという方はfacebookもご利用ください。東明六郎で探していただければと思います。

なお、ご紹介いただいたものは、記事のなかに使わせていただくことがございます。特にお礼とかできないのでもうしわけないんですが、たとえばWebとかに誘導するとかはいたしますよ。URLとかTwitterアカウントとか書いておいてくださいませ。

まあ、こう書いておいて、なにか書き込んでくださる人は、いいとこ3人くらいかと思いますので、こっちからも聞きに行きますねー。発表は、次回、いや次々回かなー。ではでは。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。