2016年も早やなかば。ということで、この年後半(7月~12月)にどんな宇宙ネタ・ニュースがまっているのか、シロウトでも楽しめるものを中心にご紹介いたします。心の準備がしやすいように、昨年よりちょっと早めのリリースでございますよー。

7月~8月

真っ赤な火星が、みやすいのはこの7~8月です。いちばん接近した5月末は、夜中の12時前後が見やすいのですが、それから1~2カ月たつと、夜の8~10時がベストに変化。明るさは8割くらいですが、まだまだ楽しめますよ!

7月4日から5日にかけて、アメリカの木星探査機「ジュノー」が木星に到着! 探査をはじめます。木星をタテ周りにまわって、「ぜーんぶ雲」の木星の様子をすみからすみまでチェックしちゃおうってなもんでございます。木星のオーロラの様子などもくまなく探査。2017年10月までに木星を33周して、木星に突入して役割を終えます。木星に突入するのは、木星の衛星に生命が存在する可能性が取りざたされているので、万一にも衛星に落下して地球物質による「汚染」をしないようにということなんですな。ちなみに火星の着陸機も必ず完全殺菌してから打ち上げられているそうです。

木星探査機「ジュノー」のイメージ (C) NASA/JPL

7月29・30日には、JAXAの相模原(神奈川県)キャンパスの特別公開です。毎年数万人が来るという人気イベントで、宇宙のあんな人やこんな人が盛んに研究開発をアピール、クイズやゲーム、工作や実験などで子供も楽しめ、いろんな実機もみられますよー。

あ、そうそう、中国が、宇宙ステーション実験機の天宮2号を7~9月の間に打ち上げるという報道があったんですよ。で、また有人宇宙船を10月~12月に打ち上げて天宮とドッキングする予定だとか。どんどん進みますな中国の宇宙開発。

7月30日から、東京の六本木にある森美術館で、「宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」というのが開催されます。ロングランで翌年の1月まで。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた天文学に関するメモなどが公開されるほか、いろいろとイベントもあるようですよ。アートはどうもなーという方も、ちょっとのぞいてみてはいかがでしょうか。

8月12日~13日ごろ、ペルセウス座流星群極大。夜中、月が沈んだあとがよく見えます。つまり、夜中すぎに見ようねってことですな。流れ星の見方については、こちらをごらんくださいませ。

8月27日の前後数日間は、ジュノーが周回している木星と、日本の探査機あかつきが周回している金星が非常に接近して見えます。両方とも明るい星なので見応えがありますよ。ただ、夕方の低い空で見られ、日の入り後すぐに木星も金星も沈んでしまうので楽しめるかどうかは西の地平線が開けていることがポイントです。ちなみに見られる時間は日没後30~50分間くらいです。

また8月27日には、45mという特大のパラボラアンテナがある、JR最高地点の駅近くの国立天文台 野辺山(長野)の、そして同じく8月下旬に岡山の観測所の特別公開があります。ふだんでもある程度見学できるんですけど、やはり特別公開日はいろんなところが見られて、研究者が子供でもわかるようにアトラクションを考えたりしているので楽しめますよ。

9~10月

9月1日は、アフリカ~インド洋で金環日食があります。わざわざ行く人もあまりいないかもしれませんが、一応チェックですかね。

9月17日は、ほのかにわかるか? というビミョーな半影月食というのがあります。ピークは明け方4時ごろですが、はたして月食とわかるか? という感じの現象です。ということで、なんかこの時期は天文現象がビミョーなんですが、宇宙探査はどうでしょうか。

9月8日に予定されているのが、アメリカの小惑星探査機オサイレス・レックスの打ち上げですね。内容は「アメリカ版はやぶさ」ということで小惑星のサンプルをつかみ取ってくる予定です。詳しくは、ムーンステーションさんがわかりやすいですよー。

10月には、ヨーロッパの火星探査機エクソマーズが火星に到着、火星周回と火星着陸を行います。火星については、いま日々新しいネタがでてきていて、あとは生き物が見つかるだけーーーってくらいになっているんですが。さて。一応今回は技術的なテストがメインですけど、もしかしたら、でありますな。着陸機スキャパレリ――火星の表面に「運河」を発見したと発表した100年あまり前の天文学者の名前ですな――着陸は10月19日の予定で、NASAのローバーオポチュニティが着陸した近くに降りるそうです。

エクソマーズ2016を載せたプラトーンM/ブリーズMロケットの打ち上げの様子 (C) ESA–Stephane Corvaja, 2016

そういえば、中国の有人宇宙船神舟11号は10~12月の打ち上げ予定でしたね。日本はこのころ、筑波(茨城県)のJAXA宇宙センターが公開予定だそうです。詳しくはまだ決まってないですね。

11月~12月

11月にはJAXAの内之浦(鹿児島県)宇宙空間研究所の一般公開が行われます。はやぶさ探査機が旅立ったところ(はやぶさ2号は、内之浦ではなく種子島でした)。そしていまでは、イプシロンロケットなどの打ち上げ場ですな。

天文ショーはいろいろです。11月3日は三日月と金星が夕方の空にならびます。11月6日には、今度は半月前の月と火星がならびますよ!

11月16日は、おうし座のアルデバランという1等星が月にかくされます。夜中の2時すぎ~3時すぎです。双眼鏡があれば楽しめます。肉眼だと、月がほぼ満月なので、まぶしすぎてちょっとわかりにくいかもー。

12月5日には、ふたたび月と火星がならびます。12月14日は、ふたご座流星群なんですが満月で空が明るく、流れ星は見えにくいかと。

12月23日は、月と木星が明け方の空でならんでいます。木星いつのまに、明け方の空に見えているんやってなもんですな。

ということで、下半期も楽しんでまいりましょー!

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。