流れ星が見たい。たくさん見たい! であれば12月14日の夜がオススメでございます。そう、この連載でも第13回第40回と2年連続でとりあげた、ふたご座流星群が活動するのでございます。3年目の今年もまたまたご紹介しちゃいますよー。なにしろ、今年の観察条件が10年に1度くらいの最高条件なんですわ、これが。

サクッとわかる、ふたご座流星群&観察法

1. どんなものか?

まず、流れ星がたくさん見えます。ピーク時には1時間に40~60個、これは、ふつうの日の10倍以上にあたります。3倍どころか、10倍ですよ。10倍! もし、1晩中観察すると、500個にもなると、流星観察の達人さんが書いています

2. いつみるか?

2015年は12月14日~15日の夜がベスト。その前後でも流星の数は十分多いです。特に流れ星が一番多くなるのは、15日の朝3時前後と予報されています。ただ、いくらよく見えても、眠い、寒いでは見えるものも見えません。夜8時でもOKなので、自分の都合で計画しましょう。

3. どこで、どうみるか?

空がある程度見える場所で、30分間以上、空を見上げてねばる。どの方向を見てもよい。道具は不要。メガネやコンタクトはかけて、遠くのものがクッキリ見えるように。星以外の明るいものはできるだけ見ない。街灯などのほか、スマホの画面や懐中電灯の直視も避ける。見るときには、寝転がるか、空をゆったり見あげられるのがよい。コットや寝椅子があれば最高。

4. やってはイケナイ

駐車場や畑など、他人の土地に「無断で」入るのは厳禁。自動車や、野生の大型動物が入る可能性がある場所、落下や水濡れの可能性がある場所は避ける。大声を出す。公共の場所などにゴミを散らかすなどはダメ。夜中ですしね。それから、無理をしない。流れ星を見て、自分が流れ星になっちゃったら意味ないですよー。

5. 暖をとる、ともかく暖をとる。できれば複数で

シャレにならないくらい寒い時期ですので、暖をとりましょう。ポットにやけどしないくらいの暖かい飲み物。ホッカイロ、足下が冷えるので厚手の靴に厚手の靴下が有効です。襟巻き、手袋、毛糸の帽子もとても有効。直火は危険ですのでやめましょうね。あと複数人で見ると、何かあったときに対応できてよいです。

さて、こっからが本文です

流れ星は、年がら年中流れています。それこそ昼も夜も流れています。ただ、年に数回、決まった日に流れる数が多くなるんですね。それが流星群です。そのなかでも、三大流星群といわれるものが、流星数が5~10倍にもなります。12月14日前後に見られる、ふたご座流星群は、そんな三大流星群のひとつなんですな。一番たくさん流れ星が見られるってことですね。

ふたご座流星群のピークは、今年は12月15日の朝3時です。これは日本でということで、たとえばヨーロッパではこれが14日の夜6~7時なんです。ヨーロッパのほうがええやんというと、さにあらず、ピークはピークとして見やすいのは夜9~4時なんですね。ピークと見やすい時間があたるので、今年は最高の条件なのでございます。ちなみに、来年はピーク時間としては最悪なうえに、明るい月がジャマをします。今回と同じくらいいい条件となると2023年か2026年ってことになります。むー、見逃せませんな。

ところで、さっきから断りなしに、ふたご座を連発しておりますね。どういうこっちゃというと、ふたご座流星群の流れ星は、すべて、その経路をたどると、ふたご座から飛び出すように見えるからなんです。

ただ、飛び出すといっても、ふたご座に根っこがあるようなことではなく「延長したら」ってことでございます。図は、アストロアーツのPC用ソフト、ステラナビゲータで、夜3時ごろのふたご座流星群の流れ星の分布をシミュレートしたものです。いっぺんにこれだけ見えるんじゃないですよ。1時間分を蓄積したものです。

夜3時ごろのふたご座流星群の流れ星の分布

ふたご座は、オリオン座のとなりにあるので、場所の見当はつけやすいですが、かなりそこから離れたところでも、流れ星が見えることがわかります。また、ふたご座から離れるほうが、流れ星が長ーくなることがあるんですねー。

流れ星がなにか、もチョットだけおさえておきましょう。流れ星は、太陽をめぐる小さな砂粒が、地球(の大気)に衝突する現象です。小さな砂粒ですよ。まあ、でっかい岩だと地上に落ちて隕石になります。で、小さな砂粒が大気との衝突で急ブレーキがかかり、猛烈に熱くなって空気を光らすんですね-。

で、流星群は、この流れ星のもとになる小さな砂粒が集団で同じ方向に突っ走っているので起こるのです。同じ方向からくるんですが、私たちの正面につっこんでくるのも、ちょっと横にいくのもあり、全体としては、放射するように見えるってわけです。平行なレールが遠くでは1点に見えるのと同じでございます。

さて、この連載でも、第13回第40回、さらには第2回でも流星群についてはとりあげてまいりました。いろんなウンチクはこれらもぜひぜひご覧いただくとして(ニュースとちがって、知識が腐らないのがいいところです)、もうひとつウンチクを。

ふたご座流星群は、昔は、それも100年前にはほとんど見られなかったのです。記録をたどると1950年くらいにはまあまあ見られるようになっていたのですが、いまのように三大流星群といわれるくらいになったのは1970年代以降。たった50年の歴史しかないんですね。

これは、流星群のもとになる宇宙をただよう小さな砂粒の集団が、地球に交差しにくい軌道だったためのようです。それがだんだん交差するように変化してきたんですね。どうやって? 太陽の光に押されてです。何年も何十年も光に押されると少しずつ軌道が変わっていくのでございます。なにしろ砂粒ですからね。

もちろんこれが続くと、また流星群が見えなくなっちゃうことは考えられます。ふたご座流星群の場合は、おそらく100年くらいは大丈夫かなといわれていますが、まだまだ研究が望まれることでございます。

ということで、だいたいわかっているんだけど、未知の部分もあり、それは「見てみないとわからない」のが流星群のおもしろいところです。もしかしたら、あなたが歴史の証人になるかもわかりませんよ。ということで、寒さに気をつけて(これ重要)、ぜひみてくださいませませー!

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。