【コラム】

どこでもサイエンス

5 いますぐ使える「月」の知識11連発(前編)

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9月といえば「中秋の名月」。マクドナルドは「月見バーガー」を販売し、テレビの天気コーナーでは、ひとくさり月の紹介があります。何かと話題になる月、常識レベルからマニアックなものまで、いますぐ使える月の知識をまとめておきましょー。

1. 月の重さは地球の1%

月は、地球をめぐる衛星ですから、地球より小さい。ってことは、まあわかりますよね。では、大きさは? というと、たいていは「地球の4分の1」って答えがかえってきます。

この4分の1というのは直径のことですから、表面積は4×4となって16分の1、体積は64分の1となります。これだと地球の2%なのですが、さらに月の比重は1立方センチあたり3.3グラムで、地球の5.5グラムの6割しかないのです。したがって重さは100分の1。もうちょっと精密な数値を使うと81分の1、いずれにせよ重さは地球の1%しかないのですね。

2. 太陽系の全部の衛星の重さの11%が月

地球の1%しかない月でも、太陽系のなかでの存在感は結構なものがあります。太陽系の衛星は、地球のほかに、火星、木星、土星、天王星、海王星、そして準惑星である冥王星にも発見されています。特に木星には、惑星である水星より巨大なカリスト、ガニメデのほか小さなものもふくめ70の衛星、土星にもタイタンという巨大衛星があるほか、やはり70ばかりの衛星が発見されています。

しかし、それら全部をひっくるめても地球の10%の重さにしかなりません。月はその中でかなりずっしりとした存在感がある、変な衛星なのです。

3. 月は地球のかけらから生まれた

ということで、地球の1%しかなくとも異様に大きい月は、立派すぎる家来です。他に比べると木星に対してその最大の衛星ガニメデで0.01%、土星だと最大の衛星タイタンで0.2%です。また、地球と一緒にできたにしては比重が小さいのは変だなーと、科学者は悩んできました。重い成分だけ残ったのなら、比重はむしろ大きくなるはずですからね。

これらの変なことを解決する仮説として、月は地球のかけらから生まれたという説が有力だそうです。地球に別の惑星がかすめるように衝突し、宇宙空間にとびちった地球の一部のかけらが集まって月になったというのですねー。地球の中心は鉄やニッケルでできていて比重が高いのですが、月を作っているのは、重いもの「以外」がメインってことになります。比重が小さな理由はこんなところにあったのです。このシミュレーション動画は、こちらで見ることができますよー。迫力!

4. 月はいつも、こっちを見ている

月は直径3500kmの巨大なボールですが、そのボールの半分を私たちは見られません。これは、月がいつも、同じがわを地球に向けている。まあ、月を「頭」に例えると「いつも、こっちを見ている」からです。いわば「顔」しか見えないんですね。では「後頭部」はというと、まったく見えないわけじゃあありません。まず、地球の右の端と左の端から見ると、月の「耳」のあたり側頭部がチラリと見えます。また月が地球を回るペースが一定ではないので、その分でも「耳」のあたりがチラ見えします。また、「あご」や「頭頂部」も(南極と北極といったほうがわかりやすいかしら?)、地球の上と下や、月の軌道の関係でチラチラ見えます。ということで、月で見えないのは全体の41%ということになります。その見えない部分をはじめてとらえたのは、旧ソ連の月探査機ルナ3号で1959年のことです。

そうそう、月の「顔」の方を「表」、「後頭部」を「裏」といいます。英語だとニアサイド(near side)とファーサイド(far side)。サッカーのコーナーキックみたいな名前になっています。

5. 月はかなり黒い

空に煌々と照る満月を見ると、あれが「黒い」とはとても思えないのですが、月は全体的に黒い星なのです。太陽光をどれだけ反射するか、つまり白さを表すアルベドっていう数字(0が真っ黒、1が真っ白、1を超えることもある)を見てみると、月は0.12! 10点評価なら1点という黒さなのです。ちなみに地球は0.37、雲で覆われている金星は0.65です。

しかも、これは月全体の平均であり、月の全体地図を見ると「表」(near side)の方が暗いため、地球から見ると、さらに月は暗いものになっています。より正確には赤黒いということがわかっています。

月の全体地図 (C)米国月惑星研究所

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。

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インデックス

連載目次
第109回 世の中を変えた発明、なんでしょう。
第108回 ハイテク素材と赤い炭
第107回 8月7日(月)深夜・月食を見よう!
第106回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 下半期・その2
第105回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 下半期・その1
第104回 予言者? ジュール・ヴェルヌ
第103回 幻の毎日新聞プラネタリウム館 - 東日(毎日)天文館
第102回 地球は、どう、動いてる?
第101回 アインシュタインの方位磁石 - サイエンスな人の一品
第100回 アストロバイオロジーって、何それ、オイシイの?
第99回 太陽はスゴイ? - 成績発表会
第98回 実験装置、見たい?
第97回 地図と星は仲がいい
第96回 山が変える惑星の模様
第95回 ほとんどの星は爆発しない
第94回 それも「バラ科」ですか……!?
第93回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編その2
第92回 2017年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編その1
第91回 流れ星を見つけるコツ
第90回 コピー機の発明について、調べてみたよ
第89回 いにしえの中国やインドの宇宙
第88回 「火星の呪い」が発動
第87回 来年のノーベル賞予想ごっこ
第86回 天文学研究のため、レンジは使わないでください
第85回 カフェでリア充、科学者ハレー
第84回 お月見の日は、どう決まる?
第83回 たまご、熱すると固まるナゾ
第82回 8月12日のペルセウス座流星群と黒い彗星
第81回 絶滅のサイエンスとリョコウバトとウナギ
第80回 ジュノー探査機、木星到着
第79回 「ニホニウム」で知ったかぶりをするための知識5連発
第78回 2016年の「宇宙どうでしょう?」 (下半期)
第77回 増やせばワカルDNA - 「PCR」のお話
第76回 宇宙人を探すなんて、できるの?
第75回 海がない国 スイスで生まれた深海潜水艇
第74回 とりあえず春は、北斗七星。
第73回 くらべてワカル!? 宇宙の世界
第72回 さくらが春に咲くのは、寒さを越えるプログラムがあるから
第71回 ひさしぶりの日食のお知らせ - 日本は2016年3月9日午前11時前後
第70回 「重力波」つかまえました
第69回 春のこよみのサイエンス
第68回 火星をざっくり知っておきましょー
第67回 冬はハワイが近い!? - ジェットストリーム
第66回 2016年の「宇宙、どうでしょう?」(上半期)
第65回 年間最多の流れ星が見える! 12月14日夜はふたご座流星群
第64回 毒についてチョット調べてみました
第63回 凧とかみなり、フランクリン
第62回 はやぶさ2も見られるの?? 人工衛星を見るはなし
第61回 ノーベル賞をゲットしたニュートリノ探知装置
第60回 科学者が、虹遊びをすると…
第59回 日本人は、元素の名づけ親になれるか!?
第58回 数字のケントーをつける話=フェルミ問題
第57回 「星の名決定」総選挙に参加できるぞ!
第56回 夏休み、おてがるサイエンス
第55回 冥王星に接近しました
第54回 硬い冷たいダイヤだよ
第53回 2015年の「宇宙、どうでしょう?」(下半期)
第52回 潜水艦を発明した愛すべきおっさん
第51回 冥王星まめちしき10連発(ビフォー編)
第50回 ジュラ紀とかエディアカラとか、実はローカルな地名ばかりの地球の歴史年代
第49回 夜空の神2共演 - 金星と木星が接近するぞ!
第48回 キャンディをかむと光るのは本当か?
第47回 2015年4月4日夜9時。むこう3年ない皆既月食をみのがすな!!
第46回 浦島太郎とか双子とかとカーナビなサイエンス
第45回 100万年かけて、あったかいーの
第44回 電話より先に発明されたファックス
第43回 世界の「宇宙窓」から
第42回 圧力鍋は、できそこないのエンジン!?
第41回 2015年の「宇宙、どうでしょう?」(上半期)
第40回 12月13~14日は、年に一番流れ星が多い時期
第39回 はやぶさ2、打ち上げそして旅の友
第38回 これだけ知っとこ、小惑星探査機「はやぶさ2」
第37回 誘導ミサイルとポップコーン
第36回 地球上の生物は推定870万種。実はその9割が発見されていない
第35回 祝・日本のお家芸・青色LEDがノーベル賞
第34回 2014年10月8日夜8時。ゼッコーの皆既月食をみのがすな!
第33回 シロウトにチャンス到来・惑星の名前をつけられるぞ!
第32回 スゴイぜ! 彗星探査機「ロゼッタ」
第31回 天才&変人キャベンディッシュ
第30回 渡り鳥が作るV字型編隊の謎
第29回 やってはいけない!サイエンス
第28回 フロッピーの栄枯盛衰
第27回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 下半期編その2
第26回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 下半期編その1
第25回 100円で作れるちょっぴりキケンな科学オモチャ「アストロ・ブラスター」
第24回 5月24日土曜夕方に本当にでるのか!? - 「きりん座流星群」
第23回 いま、サイエンスで一番アツイ? - タンパク質ギョーカイをのぞく
第22回 英国科学雑誌のQ&Aコーナー - そんなに熱くなるなんて…
第21回 2年2カ月に1度のチャンス! - 火星ただいま接近中
第20回 科学なパーソナリティ列伝
第19回 今年が寒いのは太陽のせい? - 実は暗い太陽の未来
第18回 日本に降る雨は「だいたい雪」、だそうです
第17回 どこでもサイエンス-チョコレートは惚れ薬?
第16回 江戸時代からある「クローン」
第15回 2014年の宇宙、どうでしょう? - 上半期編
第14回 謎実験 - ニュートンビーズ
第13回 12月14日はふたご座流星群の日! - サクッとわかる観察ポイント
第12回 新月が出たぞという意味の「カレンダエ」からはじまった「カレンダー」
第11回 気持ちよく歌えるエコーのおはなし
第10回 ノーベル賞を楽しむネタ知識あれこれ(後編)
第9回 ノーベル賞を楽しむネタ知識あれこれ(前編)
第8回 ただいま接近中 ‐ アイソン彗星
第7回 信号ひとつは70ワット - 交通信号機にまつわる科学のはなし
第6回 いますぐ使える「月」の知識11連発(後編)
第5回 いますぐ使える「月」の知識11連発(前編)
第4回 飲める「リトマス試験紙」
第3回 カンタン工作 - 百均虫めがねで「カメラ箱」を作ろう
第2回 8月12日と13日の夜はペルセウス座流星群を観察しよう
第1回 教科書を覗いてみよう - 小学校3年生の理科より「明かりをつけよう」

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