デジタルハリウッド講師が、業界の動向や最新事情について解説していく本コラム。 今回は、デジタルハリウッド大学大学院・産学官連携センターの沖昇氏が今後、家庭にも普及していくであろう、3Dテレビの仕組みを紹介していきます。

3Dテレビに関しての情報を集めていましたが、その間に各社から3D立体映像に対応したテレビが発表されました。それにより、映画館や展示会場だけでなく、家庭でも3D立体映像が楽しめるようになるのですが、今後、立体映像が視聴できるテレビが普及するにはコンテンツの対応が必須です。コンテンツの規格には、大きく分けて「パッケージメディア」と「3D放送」のふたつがあります。

パッケージメディアの規格

2009年12月、Blu-ray規格策定団Blu-ray Disk Association(BDA)から「Blu-ray3D」の規格が完成したと発表されました。この規格は170社以上が加盟する団体の統一規格で、このまま国際的な標準規格になるのではないかと考えられます。規格が統一されればハード・ソフト共に商品化が容易になっていくのではないでしょうか。

3D放送の規格

3D立体映像の放送は既にBS11の一部番組で実施されており、今夏スカパーやJ:COMでも3D専門チャンネルが開設されるなど、2010年の秋頃から活発になるのではないかと予想されています。Blu-ray3D規格のような規格策定が今後必要とされるのですが、現在はサイドバイサイド形式での立体放送のみです。この形式の場合、視聴するテレビ側でサイドバイサイドの映像を検出して画像を伸長しています。1画面に左右2画面分の情報が並ぶため、ハイビジョン放送と比較すると画質が落ちてしまいます。

テレビ側に3D受像機能がない場合

テレビ側に3D機能がある場合

今後の3D立体テレビ

3D立体映像で楽しみたいコンテンツや通常のハイビジョンで見たい番組など、視聴する側が選択できる環境になりつつありますが、まだ対応したコンテンツが少なく、既存の非対応プレーヤーやテレビでは買い替えが必要になるなどのデメリット要素もあります。今後発売されるテレビの中には2D映像を擬似的に3D立体映像に変換する機能を備えた製品もありますし、2Dから3Dへの変換技術も実用化されています。既存の映像作品がどのように3D立体映像に変換されるのかが楽しみです。

気になる点としては前回も述べましたが、立体視に関しては大変個人差があり、立体映像を視聴できないもしくは視聴しにくい人も何%かいるということです。また、複雑な複数の要素を脳で統合して"立体"として捉えるため、経験の少ない子供に対しての影響なども今後検証していかなくてはいけないことだと感じました。

次回はテレビ以外の3D立体映像について解説していきます。