【コラム】

次世代クリエイター’s VOICE

9 福岡を拠点に活動するWeb制作会社「九州インターメディア研究所」とは

    前田勉  [2010/07/06]

    インターネット環境がほぼ全国的に整っている日本では、情報の伝達などに支障をきたすことが少なくなり、クリエイティブな仕事における地方格差というものが少なくなりつつある。もはや東京で働いていなくとも、十分大きなプロジェクトにも関わることができるのだ。今回は、九州の福岡県にオフィスを構え、ひと月に100件もの案件をこなすWeb制作会社、九州インターメディア研究所に所属するWebプロデューサー・森田美代子氏に話を訊いた。

    九州インターメディア研究所に所属するWebプロデューサー・森田美代子氏

    ――まず、現在どのようなお仕事をしているのか教えてください。

    森田美代子(以下、森田)「2010年4月から執行役員になり、Web・映像といった、コンテンツ制作部門の統括をしています。また、兼務でメディアソリューションの制作チームのマネージャーも担当しています。具体的には、Webサイト制作とモバイルサイト制作のプロデュースを行いながら、企画営業チーム、制作チームなど、全体の進行・管理を行っています」

    ――なぜWeb関連の仕事に就こうと思ったのですか。

    森田「元々、大学では電気工学を専攻していたので、機械メーカーや通信メーカーに就職するのが一般的な流れだったのですが、技術職に就くより、人と接する仕事の方に興味があったので、総合職として様々な地図を取り扱うゼンリンという会社に入社しました。当時は、まだGoogleマップもなかった時代で、パソコンにインストールして使う電子地図の営業を行っていました。その後、実験的にWeb上で地図を配信するプロジェクトに参加した際、もっとWebのことを深く知りたいと思い、デジタルハリウッドに入学したのがきっかけですね」

    ――なるほど。会社でWebに接する機会ができ、興味をもったわけですね。これまでに様々な会社のWebサイトを制作されていると思うのですが、Webサイト制作において、地域によって異なる部分はありますか。

    森田「福岡では最新機能を積極的に取り入れていこうというよりも、まずは様子見のところが多い気がします。あまり冒険をしたがらない感じです。そのため、こちらから新しい機能をどんどん盛り込んでいったらどうですか? と、最新事例をもとに提案していく必要があります。Web業界全体の流れからいって、常に最新技術を導入することが求められているのは明確ですからね」

    ――2010年3月に新しくオープンした福岡パルコのWebサイトはかなり最新機能を盛り込んだものでした。

    森田「そうですね、新規立ち上げということもあり、あのWebサイトは福岡の他の商業施設にとってかなり刺激になったのはないかと思います。江戸の技術が来るぞ~って構えている施設さんもありましたよ」

    ――東京と福岡のクライアントでは、受ける仕事内容に違いはありますか。

    森田「まず、東京の場合はクライアントとの間に代理店が入ることや、クライアント自身がコンテンツ内容を企画されることが多いので、すでに固まっている企画の実作業のみを請け負うことが多いです。一方、福岡の場合は、直接取引きが多いのですが、クライアントの担当者が他業務と兼務の方が多いので、こちらで企画から全てをプロデュースすることが多いです。Webやモバイルサイトの制作はもちろんのこと、チラシや広告の出稿の仕方まで、広告代理店のような働きもしながら全体の企画を進めていきます。また、ひとつのWebサイト制作でいえば、東京の案件の場合は何百ページも制作するのに対し、福岡の場合は数十~百ページ程度のものが多い傾向があります。その代わり、福岡の場合は企画から担当するので、実作業に入るまでに要する時間が東京に比べ圧倒的にかかりますね」

    ――主にひとつのプロジェクトにかかる期間はどの程度ですか?

    森田「短期間のものだと、1カ月間もない場合もありますが、平均すると2カ月前後かなと。最初の1カ月で企画や内容を練って、後の1カ月で製作するといった流れです」

    ――Webプロデューサーひとりが同時に受け持つ案件は何件ですか

    森田「すべての案件が同時進行ではないので進み具合は異なりますが、5~10件程度でしょうか。会社としては毎月100件ほどの請求書を出していますね」

    ――ひとつのプロジェクトに関わるクリエイターは約何名ですか。

    森田「福岡の案件では、ほとんど2~3人くらいが多いですね。クリエイターが10人も携わるプロジェクトは年に数回ほどです。プロジェクトの規模で差が出るのはクリエイターの人数ではなく、費やす時間だと思います」

    ――Webプロデューサーをやっていて、これまでで一番つらかった出来事を教えてください。

    森田「かなりタイトな制作期間の案件があり、2週間ぐらいほぼ徹夜で仕事をした事があります。途中、クライアントからの入稿が遅れた事もあり、無理な指示が重なった事で、デザイナーと深夜に大喧嘩になってしまい……。デザイナーが全員が帰ってしまったことがありました。その時はひとりで泣きながら朝を迎え、クライアントに事情を伝えて何とか状況を理解いただきましたが、本当に崖っぷちでした。とはいえ、皆、すぐに戻ってきてくれて、最終納期には何とか間に合いましたが…。その案件では4~5キロ痩せましたね。でも、その当時、このプロジェクトに携わったスタッフは全員、今凄く活躍しているんですよ」

    ――現在、森田さんは福岡を拠点に活躍されているわけですが、拠点が東京でないことのメリットを教えてください。

    森田「メリットはやはり人件費や家賃など、制作に関わる経費が安く済むことですね。それをお客様に還元することができます。ほかのWeb制作会社と価格での競争になったりする場合もありますから、そういったときにはかなり有利になります。また、福岡に居ながら東京の案件に携われることは、クリエイターさんにとってのモチベーションアップにもつながると思います」

    ――森田さんにとってWebサイト制作の魅力とはなんですか。

    森田「昔、営業をやっていたときは、パッケージ販売が中心だったのですが、今は"このクライアントはこういうのが好きなんじゃないのかな"とか、"こうすることで売り上げが上がるんではないかな"など、ゼロから企画を考えて作り上げていくので、完成したときに達成感が違いますね」

    ――将来Webプロデューサーになりたい方もたくさんいると思うのですが、Webプロデューサーに必要なものとはなんですか。

    森田「クリエイティブが好きであるということが一番で、新しいものや技術が好きだったり、簡単にいうとミーハーな人であることも大切です。そのほか、ただかっこよくWebだけを提案するのではなく、クライアントの会社の社員になったくらいのつもりで雑用も含めて一緒になって仕事に取り組むことをいとわない気持ちですね。この仕事は意外とアナログな部分もあって、そういったコミュニケーション能力も必要なんですよね」



    信頼できる仲間に出会えるデジタルハリウッド

    今回お話を伺った森田氏は、デジタルハリウッドの卒業生(Webデザイナーコース)だ。森田氏がデジタルハリウッドに通って良かったと実感するのはどのようなときだろうか。


    「やはり人のつながりですね。9年前に通っていたのですが、今でもデジハリで同じクラスだったり、一緒にOJTをやったクラスのスタッフとは困ったときに相談し合ったりしています。仕事を依頼するときも、どういうスキルをもっているかが分かっているので、一緒に働きやすいんです。また、Webプロデューサーとしても、デザイナーさんへの指示をより具体的に出すことができるので、通って良かったなと思います」

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