今回は偶然にも「パパと娘」というか家族を扱ったドラマDVDを沢山観ました。これはただの偶然でしょうか? それともずっと続いている純愛ブームの後は、やはり家族の絆ブームなのでしょうか? 旧作も混在しているので、別にブームというわけでもないのでしょうが、とりあえず、勝手にシンクロニシティ気分なので、家族か親戚か、とにかく誰かに久々に電話してみたいです。

難解な殺人事件がついにDVD化

かなり懐かしい感もありますが、『ツイン・ピークス』のセカンド・シーズンを観ました。『24』や『LOST』よりずっと前に、日本に米TVドラマブームを巻き起こした大作です。じつはこれ、日本では未だファースト・シーズン以降の最終話までがDVD化されてなかったのです。ファースト・シーズンのラストで、作品のメインテーマであるローラー・パーマー殺しのいきさつは、なんとな~く解るのですが、物語はまったく完結せずに、さらに多くの謎をはらみ複雑化してゆきます。そのまま収拾もつかず最終回で唐突に終わるという展開まで含めて、全てが伝説的に凄いです。

放送当時、「世界一美しい死体」と言われたローラ・パーマーの死体

製作総指揮といくつかのエピソードの監督をデヴィッド・リンチが担当していて、彼の『ロストハイウェイ』や『マルホランド・ドライブ』といった難解な映画を読み解くための鍵も、いくつか隠されています。というかソフトに解りやすくはなっていますが、リンチ独特の世界観をお茶の間に持ち込んだため、連続TVドラマとしてはかなり難解な作品となっています。この作品を普通の主婦や学生が当時夢中に観ていたと思うと感慨深いものがあります。

殺されたローラ・パーマーと、彼女を本当に大切に育てていた父親の関係も、物語の謎を解く鍵のひとつです。歪んだ家族モノとしても楽しめる作品です。

ツイン・ピークス セカンド・シーズン スペシャル・コレクターズ・エディション(PART1、2)
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
発売中 各12,285円

新垣結衣となら入れ替わりたい

『ツイン・ピークス』とは正反対に、ほのぼのとした父と娘の姿が描かれるのが、この『パパと娘の7日間』です。ある事件をきっかけに、パパと娘の心が入れ替わってしまいます。それによって様々なトラブルが起こるのですが、それを親子で協力して乗り越えていくうちに、ふたりの間には確かな絆が生まれます。

このドラマの元ネタはおそらく名作『転校生』だと思われます。男女が入れ替わった時に起こるエピソードもかなり似ています。ただ、本作ではふたりの立場が「学生」と「社会人」になっているので、ただの男女入れ替わり物にはない新鮮さがあります。女子高生が出社して、しがない中年男が高校に通うというシチュエーションは、なかなか見ていて楽しいです。ただ連続ドラマとしては、少し話数が少ないのが残念でした。

パパと娘の7日間 DVD-BOX
発売TBS・販売ポリドール映像販売会社 11月21日発売 15,960円

時任三郎も「うざい」といわれる親父に!

またまたパパと娘の物語です。『花嫁のパパ』は娘を大事にするあまり厳しく過保護になる父と、それに反発しつつも成長していく娘の姿が描かれます。タイトル通り、"娘とその恋人の結婚"というゴールに向かって物語が進んでいくので、お互いの親への説得が、何度も何度も、本当に何度も描かれ、途中で「これ何度目の親へのお願いだったっけ?」などと感じてしまいました。

まあ、こんな素敵な娘がいたら「男女交際禁止!」、「チュー禁止!」とか言いたくなるのもわかります
(C)2007フジテレビ/共同テレビ

娘はお洒落なアパレル業界に就職しているのですが、この会社、なぜか意地悪な人が多くて怖いです。でも、石原さとみ演じる主人公・愛子と、時任三郎演じるパパに触れるうちに、みんながなんとなく良い人になっていきます。とにかく、この親子が良い本当にヤツなんです。こんなふたりが近所にいたら、隣人トラブルなど減るのではと思いました。戦地にいたら、飛び交う銃弾さえも減りそうです。

花嫁とパパ DVD-BOX
発売フジテレビ映像企画部・販売ポニーキャニオン 発売中 23,940円

意外と見落とされがちな『金八』の第3弾

親子に限らず、様々な絆を描いたドラマの定番と言えば、やはり『3年B組金八先生』でしょう。なぜかこれまでDVD化されていなかった「昭和63年版 第3シリーズ」がリリースされます。

この作品、数ある『金八』の中でもかなり異色な作品となってます。このシリーズのみ、舞台があの桜中ではないのです。金八先生が松ヶ崎中学に転勤しているという設定になっていて、同僚の教師たちも新顔で新鮮です。ただ、放送期間も3カ月と通常のシリーズよりかなり短く、舞台が桜中ではないために、卒業生たちがその後のシリーズに絡んでこないなど、やや番外編的な印象もあります。

ただし、生徒たちの顔ぶれはシリーズ最高とも言えるほど豪華です。元SMAPの森且行やV6の長野博、それに浅野忠信が生徒役で出ているという貴重な作品です。あまりに現在と印象の違いすぎる浅野忠信は必見です。こういう普段と違う金八もいいですね。個人的には第6シーズン後に、金八先生が教育委員会に在籍していた時期のエピソードなども連ドラ化して欲しいのです。

3年B組金八先生 第3シリーズ 昭和63年版 DVD-BOX2
発売TBS・販売ビクターエンタテインメント
11月23日発売 12,915円

テレパシーは愛?

最後はおなじみの海外怪奇モノです。『新・世にも不思議な物語』というタイトルからすると、とっても怖いお話満載な感じですが、「家族や人の絆」を描いた、「怖い」というよりは「不思議でちょっと良い話」みたいなエピソードが多いです。

毎回オープニングにホストのジョン・ニューランドが登場して、エピソードに関するウンチクを語ります。その解説にはやたらと、「この事件は当時、テレビや新聞でも大きく取り上げられました」という発言が多く、「これって実話ドラマ化なの?」と思ってしまいますが、根拠ある確かな情報は示されません。

障害を持つ男の子が津波を予知して近所の人を救ったり、深い愛で結ばれた夫婦が、離れた場所にいるのにお互いの危機を察知したりと、「実話だったら素敵だなあ」というエピソードが満載です。ホストの人も「これはテレパシーですが、いつの日か愛と呼ばれるかもしれません」とかイカすコメント連発です。

新・世にも不思議な物語 DVD-BOX
発売AMGエンタテインメント・販売ジェネオンエンタテインメント
11月21日発売 16,800円

沢山の家族の愛や絆を描いたドラマDVDの影響をモロに受けて、久々に肉親に電話してみたのですが、「だれ?」という答えでした。静かに受話器を下ろし、ひき続きドラマDVDを観る事にしました。