私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。

また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。

食費ダウンには冷蔵庫の見直しがマスト

この連載でも何度も書いてきたことですが、出費を減らす手っ取り早い方法が食費を減らすことです。

住居費、通信費、保険料、習い事代など、毎月決まって出ていく出費 = 固定費を見直すことは、1カ月の支出を減らすのに大きな効果がありますが、見直しに少し手間がかかります。本来はその手間を惜しまずに見直しすべきところですが、「難しそうで、ちょっと面倒くさい」と先延ばしにしがち。ズルズルと時間だけがたっていくようでしたら、手っ取り早くできる食費を減らすことから始めましょう。

食費を減らすにポイントは①安く買う、②食材をムダなく保存する、③おいしく食べきるの3点。今回のテーマは、「食材をムダなく保存する」ための必需品である冷蔵庫の使い方についてです。

お金が貯まる冷蔵庫とは?(画像はイメージ)

食材を捨てることはお金を捨てることと同じ

次の項目で当てはまることがあれば、☑マークを入れてください。

□冷蔵室の棚のどこに何を入れるか、特に決まっていない
□ドアポケットが飲み物、ドレッシング、調味料でギュウギュウだ
□チルド室に何を入れていいのかよくわからない
□冷蔵室の上段の棚や奥の方には何が入っているのか不明
□これまでに1度も冷蔵庫の掃除をしたことがない
□入れておいた保存容器を開けたら、カビが生えていたことがある
□野菜室でシナシナのキュウリを発見したことがある
□野菜室で溶けかかったもやしを発見したことがある
□お肉はとにかく冷凍室に放り込んでおく
□冷凍室の底を最近見たことがない

以上のことで3つ以上、思い当たることがある人は、食材をムダにしている可能性大です。実際、賞味期限切れの食材やシナシナになった野菜を捨てた経験があるのではないでしょうか? お金を出して買った食材を捨てるのは、「お金を捨てる」のと同じ。そうならないためには、冷蔵庫の使い方を見直すことがカギになります。

冷蔵室は棚ごとに入れるモノをザックリ決める

一番上の棚は、冷蔵庫のサイズによりますが、目線よりも高い位置にある場合は、目が行き届かないので、保存期間が比較的長いモノを入れます。ペット飲料、ペットボトル入りの調味料を寝かせて入れてもOK。缶ビールを冷やしておくのにも適します。

中段の棚は目線の位置にあり、管理しやすいので賞味期限の早いモノや納豆、豆腐、ヨーグルト、作りおきおかずなどよく使うモノの定位置に。

下段の棚も使いやすいスペースなので、日常的によく使うモノを入れておくのに適しています。開封した食材を置くと、冷蔵庫を開けるたびに目につくので、ムダにすることなく早く使いきることができます。

中段と下段の棚板間に余裕がある場合は、鍋がそのまま入るくらいのスペースを空けておくと便利です。食べきれなかったカレー、煮物、みそ汁などを鍋ごと入れることができます。

チルド室は一番活用したいスペース。冷蔵室よりも低温が維持されているので、肉、魚、ハム、ウインナー、ベーコンなどの加工品、油揚げなどを入れます。

おかずの残りや作りおきおかずを入れる保存容器は、中身が見えるモノを使用。中身が見えないと、使い忘れの原因になります。ホーロー容器はニオイが移らないなど機能性に優れていますが、中身が見えないのが弱点。使用する場合は、中身を書いたマスキングテープを貼るなどのひと工夫を。

野菜は買いすぎない。ゆるゆる収納がオススメ

野菜はどうしても傷みやすいので、まずは買いすぎないことが基本です。そして、ざっくりと仕分けすると使いやすくなります。

レタス、ほうれん草、小松菜などの緑の野菜ゾーン、にんじん、玉ねぎの定番野菜ゾーン、なす、ピーマン、きのこ類などのその他の野菜ゾーンなど、自分なりのルールを決めて、ザックリと仕分けします。特に注意したいのが使いかけの野菜。使いかけの野菜だけを集めて、トレーや保存袋に入れておき、そこから優先的に使うようにするとムダがありません。

冷凍室には食材を立てて入れる

冷凍室に食材を入れるときの基本は「立てる」です。横にして積み上げると、下のモノが死蔵品になりやすいので、立てること。市販の冷凍食品を立てるのはもちろんのこと、手作り冷食もできるだけ平らに冷凍して立てます。

冷蔵室と違って冷凍室はピッチリ詰めた方が冷凍効率がいいのですが、ムリに冷凍食材を増やす必要はありません。冷凍食材が少なくて、立たせにくい場合は、ブックスタンドなどを利用するのがオススメです。

気持ちをシャキッとさせるためにも、冷蔵庫の食材の入れ方を見直して、食材をムダにしない「お金の貯まる冷蔵庫」にしてください。

※画像は本文とは関係ありません。


村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。