私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。

また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。

節約だと思っていることが裏目になることも

家計のやりくりで取材させていただく人の中には、「自分なりに節約を頑張っているのに、なぜかお金が貯まらない」という人がいます。反対に、「ふだん節約を意識していないのに、貯蓄が順調」という人がいます。つまり、やみくもに節約すれば、お金が貯まるというわけではなく、逆効果になることもあるということです。お金が貯まるどころか、ムダ買いにつながったり、ストレスがたまって衝動買いに走ったり……。

次のようなことに思い当たる人は、ムダな頑張りをしているかもしれません。

ムダな頑張りをしていないかチェック!(画像はイメージ)

ムダ1 安い食材を買うために毎日、特売品を狙っている

特売品狙いでちょこちょこスーパーに行くのは、余計な出費の原因になりがちです。というのは、目的のモノだけを買うのは節約になりますが、スーパーに行けば、つい余計なモノまで買いがちです。特に、特売好きの人は、「安いモノ=買わなきゃ損」と思うので、献立で使う予定のないモノも「安から買っておこう」ということに。結果、食べきれずにムダになります。

食材だけではなく、日用品も特売につられて買いだめするのはほどほどに。焦って買いだめしなくても、特売日は定期的にやってきますし、新製品が出たら、そっちが欲しくなることもあります。モノで持たずに、お金として持っていれば、いつでも欲しい物が買えるのです。

ムダ2 先に多めに貯金して、他の予算を少なめにする

先取り貯蓄は1,000万円貯蓄への近道ですが、金額にムリがあると途中で足りなくなります。せっかく先取り貯蓄した分を切り崩すことになり、一度、貯蓄に手をつけると、ズルズルと引き出すことにも。それでは先取り貯蓄の意味がありません。先取り貯蓄額を多めにすることよりも、予算内で赤字を出さないことの方が節約効果があります。それには、ムリのない先取り貯蓄と予算立てがポイントです。

ムダ3 家計簿を細かくつけすぎる

家計簿をつけることは、1カ月の収支を把握するのに役立ちますが、細かくつけすぎると挫折のもと。また、きちんと記入することに満足してしまい、肝心な見直しがおろそかになることもあります。家計簿をつける目的は、つけること自体にあるのではなく、記入したことを見直して、ムダ買いをチェックすることにあります。

細かくつけるよりも、日付、店名、金額を書くだけの簡単なものの方が、使った合計金額がわかりやすいものです。まずは、自分がムリをしないで続けられることを見直してみましょう。

※画像は本文とは関係ありません。


村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。