私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。

そして、1000万円貯蓄を達成した人たちに共通して言えることがあるとしたら、彼らは絶対的に"おうちごはん"派です。なぜなら、外食は手間と時間がかからずに便利な分、割高だということを知っているからです。外食三昧ではお金は貯まりません。"おうちごはん"は、1000万円貯蓄達成への黄金道なのです。

ふつうに買うと、魚は意外と高い

なんとな~く、魚よりも肉の方が、ごちそうのイメージがありませんか? 確かに、国産牛やブランド豚肉は値段が張りますが、牛肉でもアメリカンビーフなら200~250円/100gで買えますし、特売ならもっと安くなります。節約メニューに欠かせない鶏胸肉は底値で狙えば50円以下/100g、豚こま切れ肉も100円以下/100g。業務用スーパーの徳用パックを買えば、さらに激安になります。

しかもうれしいことに、安いからといって、味が極端に落ちることはありません。「この値段で、この味なら充分OK!」とコスパが優秀です。

それに比べると、魚は、値段を正直に反映します。1切れ=100円の冷凍の鮭の切り身は、どうしてもちょっと残念な味になってしまいます。

魚が安くておいしい店の見分け方

意外と高い魚を安く買うためのテクは、なんといっても、鮮魚売り場が充実している店を選ぶこと。見分け方は、(1)魚の種類が豊富である、(2)切り身だけではなく1尾丸ごとの魚の種類もそろっている、(3)サンマやアジなどそのときの旬の魚が、通常の陳列ケースとは別に、氷が入った発泡スチロールの箱などに入って販売されている、(4)鮮魚売り場のスタッフが魚の下処理をしてくれる、(5)刺し身が充実していて回転が速い……などです。魚売り場に活気のある店は、店全体の集客もいい印象があります。そして、繁盛している店は商品が売れる回転が速いので、結果的に、新鮮な魚が店頭に並ぶという好循環になるというわけです。

夕方6~7時が勝負どき

時間帯が遅くなるほど、値引き率が大きくなるので、遅い時間の方がお得と思いがちですが、魚の場合はこのルールが、必ずしも当てはまりません。というのは、鮮魚は値引きを始めるのが早いので、売り切れが発生するからです。時間帯が遅すぎると、陳列ケースが空っぽで、鮮魚売り場のスタッフも引き上げている場合があります。

私の経験では、安くておいしい魚をゲットするなら、お店にもよりますが6~7時が勝負どころといった感じです。注意点は、鮮魚売り場のスタッフの勤務時間をチェックすること。スーパーは、店自体は10時までオープンしていても、鮮魚売り場のスタッフは夕方5~6時くらいで引き揚げてしまうことが少なくありません。

鮮魚売り場のスタッフが、なぜ重要かというと、もちろん魚をおろしてくれるからです。サンマやアジは旬の時期になると、去年、収穫した冷凍ものではなく、お刺身にできる「生の」ものが出回ります。旬の時期なので、1尾=100円ちょっと安い!

でも、1尾丸ごと買って、自分で刺し身用におろすのは無理。そこで、鮮魚売り場のスタッフの登場です。三枚におろし、皮まで取ってくれます。もちろん、無料サービスです。あとは自分で食べやすい大きさにカットするだけ。旬の魚のお刺身が300円以下で食べられます。これを見逃す手はありません。

また、ブリやタイの刺し身の盛り合わせが、陳列ケースに豊富に並んでいるときは、お買い得のアラもたくさん出ているので、要チェック! 煮つけにすれば、これもまた、おいしい魚が安く食べられます。

サンマ2尾で276円(税込み)をお刺身に

夕方6時以降にゲットした「ヘダイ」。長さ25cm、幅11cm、肉厚のものが、30%引きで278円。内臓とウロコがちゃんと取ってある「調理済」なので、あとは焼くだけ

夕方6時を過ぎると値引きシールがバンバン貼られます

<著者プロフィール>

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。