最近では、iPhone 3GSだけで撮影したミュージックビデオやクリエイティブな映像の数々を、YoutubeやTwitterなどで多く目にするようになってきた。今回紹介するのは、iPhone 3GSでのビデオ録画が可能となって以来、その登場が待ち望まれていた本格的なビデオ編集がiPhone上で行えるアプリ「ReelDirector」だ。なお、同アプリはビデオ編集アプリのため、iPhone 3GSのみの対応となる。

同アプリでは、PCを使ったビデオ編集とほぼ同様の感覚で、ドラッグ&ドロップによる編集作業を行うことができる。iPhone 3GSで撮影したビデオは、それぞれクリップという単位で扱われ、それらを組合わせ繋ぎ合わせることで、ひとつの作品に仕上げることが可能だ。では、実際に同アプリを用いて制作した動画を早速見てもらおう。今回は、いつかの異なった場所で撮影したビデオをReelDirectorでひとつにまとめてみた。音楽については、GarageBandを使って映像にあわせて簡単なサウンドトラックを作成したものを合わせている。

まずReelDirector起動したら、編集作業を行うために画面右上の「New」ボタンをタップして新規プロジェクトを作成する。ここでは、オープニングのタイトルやエンディングのクレジットなどを設定する(下図参照)。これは、作成した映像のオープニング/エンディングにテロップ(4スタイル/9ポジション)として自動的に表示される。

プロジェクトの設定が完了したら、次にあらかじめiPhoneで撮影しておいたムービーを、クリップとして追加していく。クリップ編集画面で「add」ボタンをタップするとカメラロールが表示されるので、追加したいビデオを選ぶ。指定したそれぞれのビデオは、ある一部分だけを利用するようにトリミングすることもできるので、適宜調整を行うと良いだろう。

プロジェクトのプロパティ画面において設定した文字は、ムービーにテキストウォーターマークとして表示される。オープニングおよびエンディングのテロップ表示のスタイル(位置)や、表示の有無を個別の選択できる(左)。プロジェクトに追加するビデオは、あらかじめ撮影したものに限られる。追加したビデオを指定すると、iPhoneでの通常のビデオ編集と同様に、画面上部のタイムラインで始点/終点を指定(長押しでサムネイル拡大)し、プロジェクトへの読み込み時にトリミングを行う(中央、右)

利用するムービーをクリップとして、指定を複数回繰り返すことで様々なビデオをひとつのプロジェクトに読み込める。クリップは、ドラッグ&ドロップで順番を入れ替えることも可能だ。さらに、各クリップ前後の繋ぎ目にはプロクオリティーのトランジション・エフェクト(27種)も設定でき、簡単かつスムースにクリップ同士をブレンドしていける。同じビデオ素材でもトランジションを変更するだけで、まったく違った様子になるため、編集作業も実に楽しい。最初と最後のクリップにトランジションを設定すると画面のフェードイン/アウトなどにも使える。

プロジェクトでクリップやトランジションの設定が完了したら、「Create」ボタンをタップする。編集・設定が反映した形でムービーが生成されるが、レンダリング・プロセスに多少の時間を要するので、長時間のプロジェクトを制作した場合には、待ち時間をある程度覚悟したほうが良いだろう。プロセス完了後は、「Save」ボタンをタップしカメラロールに保存したり、「Share」ボタンをタップするこで、メールに添付しての送信も可能となっている。なお、作成したプロジェクトはアプリ起動直後に表示される「Projects」画面で確認でき、好きな時にいつでも編集を行える。なお、現バージョンでは、非常に残念なことに音声をiPodライブラリを使ってMA(音付け)したり、アフレコなどの作業を行うことはできない。ぜひ今後に期待したいところだ。

ReelDirectorには、プロ並みのビデオに簡単に仕上げられるトランジションが27種類も搭載されている。それぞれのトランジション効果は、実際にサムネイル表示されるので、どのような効果が得られるのか視覚的に確認しやすい(左)。ReelDirectorで編集したビデオは、本体カメラロールに保存できるほか、メールでの送信にも対応している。今後は、ぜひYoutubeやTwitterへのダイレクトなアップロードにも対応してほしい(中央、右)

今回はReelDirectorを利用し自由に映像編集ができるようになったわけだが、映像にエフェクトなどもかけてみたくなるのが人間の性というものではないだろうか。そんな時にオススメしたいのが、非常に簡単にノスタルジック質感のビデオ作成できるアプリ「Vintage Video Maker」だ。このアプリでは、モノクロ/60年代調/20年代調など3つの質感をもったエフェクトを任意の映像に施すことができる。流行のトイカメラ系アプリの映像版と思えばわかりやすい。その場で撮影したビデオを加工することもできるが、本体カメラロールからの読み込みにも対応しており、あらかじめReelDirectorで作成した映像にエフェクトすれば、さらに作品制作の幅を広げられる。

  

独特の質感を生み出してくれるモノクロ/60年代調/20年代調など3つの映像エフェクトに加え、サウンドはビデオ本体、ホンキートンクピアノなピアノ曲×2、ムービープロジェクトのSE音、無音などの5種から選択可能。エフェクトの増加や、iPodライブラリからのサウンド選択に対応することを今後期待したい

ReelDirectorで作成したビデオを、Vintage Video Makerを使って加工した。オリジナルの映像(無音)のもの比較し、両作品ともに同じ素材をベースににながらも、簡単にまったく違った雰囲気になるのが面白い。(上からオリジナル、20's、60's Home Video)

このようにReelDirectorやVintage Video MakerなどのiPhoneアプリを活用すれば、デスクトップ上でビデオ制作を行う、これまでの「Desk Top Video」の世界を飛び出し、ビデオを撮影したその場で、制作と編集、そしてインターネットへのアップロードや公開までも行うことが可能になる。まさに次世代の「Plam Top Video」スタイルを実現するツールであり、モバイルビデオ制作環境を大きく進化させることができるのだ。だれでも気軽にクリエティブな映像作品を作成できるiPhoneで、ぜひ皆さんも自分だけのオリジナル作品作りに挑戦してみよう。

ReelDirector

価格 900円
カテゴリ 写真
用途 Plam Top Video・ツール