本コラムでは、クリエイターのモチベーションとイマジネーションを加速してくれる様々なモバイルツールを紹介していく。今回紹介するアプリは、iPhone/iPod touchで、上質の文具のような書き味と存在感を兼ね備える手書きメモアプリ「Inkiness」だ。

「Inkiness」と、クリエイターにも愛用者が多い「RHODIA No.11」の2ショット(左)。同アプリには、絶妙な書き味や、メモ面に敷かれた罫線などRHODIAを彷彿とさせる演出が施されている。右の写真はInkiness起動時の画面。メモパッドは無地でなく、方眼に罫線が引かれたものになっている

同アプリは、優れた拡張性と動作速度に定評のあるPC用タブブラウザ「Sleipnir」の開発元として有名なフェンリルが開発。同社は「ぐるなび」や「ウェザーニュースタッチ」などのiPhoneアプリの開発を担当し、iPhone/iPod touchユーザーお馴染みのメーカーになっている。同社初のiPhoneアプリであるInkinessは、とてもシンプルな手書きメモパッド。iPhone/iPod touchの画面に描き出される線の質感は、細部まで丁寧に作り込まれている。そのため、まるで実際に紙に絵を描いている様に、とても滑らかで自然な書き心地を体験できるのが大きな魅力だ。

実際に「Inkiness」を使用してみる

Inkinessを起動すると、最初に何も書かれていないメモパッドが表示される。まずここで書き心地をチェック。指先がペンになったような感覚で、滑らかな線を描くことができ、同時にペンを紙に走らせた時のサウンドエフェクトが再生される。

指先で画面をなぞると、ペンと紙の独特の質感を再現した線をiPhone/iPod touch上に描くことができる。指先の延長線上にペン先があるイメージなので、少し不思議な感覚だ

指先がペン先の代わりとなるわけだが、線がやや遅れて描画されるため、思い通りの絵を書くには少しコツがいる。だが、ちょとしたメモ取りなど際はもちろんのこと、慣れればスケッチなどにも十分活用できるだろう。

実際に筆者が描いた作品。思い通りにペン先を操って、スケッチをするのはなかなか難しい。細かな絵を描きたいときは、ゆっくり指を動かしながら、ペン先を確認しつつ描いていくのがポイントだ。描き始めを間違えた場合は、その場で離せばキャンセルすることができる

ちなみにメモは、最大で80枚まで保存できるようになっており、必要なくなったメモは破り捨てることもできる。メモが破り取られる際の、削除アニメーションもユニークだ。最新バージョン(v1.1)では、ペン位置調整をはじめ、iPhoneのカメラロールへの保存、メールへの添付など、ユーザーからのリクエストの多かった機能が新たに装備された。しかし、消しゴムツール、アンドゥ、インク色や線の太さの選択などに関しては未対応で、今後はこの部分の早期対応を期待したい。

最新バージョンでは、iPhoneのカメラロールへの保存、メールへの添付などが行えるようになった。メモパッド画面左下の矢印をタップすることで、「メモ削除」や「写真アルバム保存」、「メール添付」などを実行できる

アプリの設定メニューで、ペンの位置調整やドロー時やメモをめくる際のサウンドエフェクトのオン/オフを選択することができる。なお、位置調節はおすすめ設定のほかに、自分で好きな位置を任意に設定することも可能だ

Inkinessは、決して多機能なメモアプリではないが、簡単な操作で本物のインクのような線が描けるため、直感的にアイディアや閃きを手書きで素早くメモできる。Inkinessなら、あなたのiPhone/iPod touchを、クリエイターにとって欠かすことのできない非常に強力なアイディアスケッチ・ツールに変えてくれるはずだ。

Inkiness

価格 350円
カテゴリ ライフスタイル
用途 アイディアスケッチ・ツール