今回は韓国で探してきた文房具の後編ということで、ファッションビルや大型書店などで見つけた文房具を紹介しよう。韓国で文房具を探して歩き全体的に受けた印象は、前回の繰り返しにもなるが、ペンやハサミ、ホッチキスといった文房具は全般的に欧米や日本のメーカーが圧倒的に強いよう。ただし、ノートやメモ帳、ダイアリーなどの紙ものに限ると、韓国のオリジナルのものも充実していた。そのため今回取り上げるのも、必然的にノート類が中心。韓国のものは、日本よりデザインもサイズ感も自由度が高くて楽しい。手に取りやすいので、コリアンデザインの今の気分を感じる入口のひとつにもなるだろう。

ほっこり系デザインで日本でも人気の「MMMG」

仁寺洞というショッピングストリートの一角に、雑貨好きにはたまらないショッピングモール「サムジキル」がある。中庭を囲むような口の字型のモダンな建物で、韓国の伝統的な工芸品やアートグッズ、アクセサリーなどを扱う小さなお店が軒を連ねている。

その一角にあるのがステーショナリーブランド「MMMG」のショップだ。同じ美大出身の仲間4人によって1999年に立ち上げられ、ステーショナリーを中心に、バッグや食器などのオリジナルデザインの雑貨を生み出している。持っていると生活が楽しくなるものをコンセプトに、キッチュでポップなグラフィックを施したデザインが特徴で、オレンジやグリーン、ブルーなどパキッとした明るい色づかいもいい。

MMMGのミニサイズノート。横8.5cm×縦12.5cm

多彩なアイテムのなかで今回購入してきたのは、手のひらサイズのミニノート。サブノートとしてスケジュール帳にはさんでおいたり、気づいたことを書きとめるTO DOノートとしてポケットに忍ばせておいたりするのに、ちょうどよいサイズ感だ。表紙のデザインに加えて、用紙も横罫や格子、無地などいろいろな種類があり、用途に合った1冊を選べるのも楽しい。また、旅行者の筆者にとっては、知人に配る韓国おみやげとしてもとても重宝してくれた。

好き嫌いは分かれるところ。インパクト抜群の「SONG’S」のノート類

前回の韓国編でご紹介したspring come,rain fallがインテリアデザインを担当したファッションビルA°をぶらぶらしていた際に見つけたのが、「SONG’S」というブランド(またはイラストレーターのペンネーム?)が手掛けたメモパッドやノート。

2冊がセットなったSONGSの縦長ノート。左は表紙、右は裏表紙の写真。なかなか芸が細かい。横約11.5cm×縦約20cm

こちらも2冊セットのメモ帳。全ページに指の顔が描かれていて、かわいいような微妙なような……。横約3.5×縦約18cm

表紙にはまったくかわいげのないシニカルな表情の顔が描かれている。ノートの用紙はシンプルな横罫だが、メモパッドのほうは中の用紙にも同じ顔が薄くプリントされている。毎日使っていると、最初は「キモかわいい」などと笑っていたとしても、やがてこの表情には食傷気味になるだろうがそれもご愛敬。さて、この「SONG’S」のノートとの出会いはまったくの偶然だったため、詳細は現在リサーチ中。機会があったどのようなコンセプトなのか、詳しく聞いてみたいところだ。

シンプルでどこか懐かしいフォルムがかわいい「monami」のペン

BICやSTAEDTLER、日本ブランドが中心の書店のペンコーナーのなかで見つけたMADE IN KOREAのペンが「monami」のボールペンや水性ペン。

monamiの定番アイテム「153」。ノック式ボールペンでペン先は0.7cm

monamiの水性ペン「Plus Pen 3000」。細字タイプでサラサラ書ける

monamiは1963年創業で、ペンを中心に製造する韓国では最大規模の事務用品メーカーだ。デザインは全体的にBICの韓国版といった印象だが、ペンの先端部分が丸っこくなっているところや真っ白のボディの質感が、BICのものよりもキュートな印象。女性の手ならば太さもジャストフィットで握りやすい。書き味もインクの切れがよくて、ペン先はほどよい硬さで。アジアン雑貨らしいかわいらし見た目だけではなく、クオリティーもしっかりしているところがいい。個人的には、手描きのようなぬるい書体のmonamiというロゴも、どこかひょうきんな雰囲気が漂っていてツボだったりする。