【コラム】

山田祥平のニュース羅針盤

58 8型では小さすぎる、13型では大きすぎる

 

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NECパーソナルコンピュータが「LAVIE Hybrid ZERO」の新モデルを発表した。11.6型スクリーンの2-in-1で、タブレットとキーボードが分離するデタッチャブルタイプのフォームファクタだ。発表といってもプレスリリースによる開発表明と、米ラスベガスで開催されたCES 2016のタイミングでの参考出品という名目で、一部のプレスに対して実機がお披露目されたのみにとどまる。

CES 2016でお披露目された、500g以下(!)の11型ZERO

同社によれば、タブレット部分は500g以下、キーボードを装着した場合でも1kg以下を達成する見込みだという。プロセッサには、第6世代インテル Core mを搭載、キーボード部分にはセカンドバッテリーを搭載、WebカメラとしてインテルのRealSence 3Dカメラを装備する。2016年春モデルとして発売が予定されているそうだ。

ひょっとすると800g以下?

実際に実機を手に取ると、キーボードと合体させた状態では、それほど軽さを感じないのだが、スクリーンを取り外し、タブレットとして構えてみると、おそらくは400グラムを切っているのではないかと思われるくらいに軽い。今、軽量タブレットとしてはソニーのXperia Z4 Tabletが10.1型スクリーンで約389グラムを実現しているが、それに匹敵する軽さに感じた。しかも、XperiaはAndroidだが、11型の「LAVIE Hybrid ZERO」はフルWindowsだ。実機を見る限り、Core m3搭載のようだが、実用に十分なパフォーマンスを見せているように思われる。タブレット部分とキーボード部分は同じくらいの重さに感じられるので、ひょっとすれば800グラムを切る、あるいはもっと軽いかもしれない。

あくまでも軽量大型クラムシェル形状にこだわってきたZEROシリーズだが、それをデタッチャブルにしたのはちょっとした冒険かもしれない。実際、クラムシェルにしておけば、もっともっと軽くできたはずだからだ。それをあえてしなかった。そしてキーボード部分にタブレット部分と同容量のバッテリを装備して長時間駆動を実現している。バッテリは合体した状態でタブレット側に先に充電され、フルになるとキーボード側のバッテリ充電に切り替わる。キーボード側からタブレット側への充電は効率のことを考慮し見送られたという。

その合体機構はかなりしっかりしたもので、キーボード部分をつかんで振り回しても、ちょっとやそっとで脱落することはない。これならクラムシェルとして膝の上に代表される不安定な場所で使う場合も安心だ。難をいえば16:9のアスペクト比で、タブレットを縦方向で使うときの使用感が気になるところだ。当然InstantGo対応、また、LTEスロットを装備したモデルも想定されている。

スクリーンはタッチ対応だがノングレアだ。ここはポイントが高い。表面をガラスにして光沢感を高める選択肢は、軽量化のために見送られたが、それが功を奏している。天井の灯りなどが映り込みにくいことは重要だ。

8型では小さすぎる、13型では大きすぎる

NEC関係者によれば、13型と11型の市場はまったく異なるのだという。だから、これまでの13.3型ZEROに魅力を感じていたユーザーには今回の11型「LAVIE Hybrid ZERO」は響かないこともわかっているという。つまり、11型ZEROは、これまでの同社の軽量モバイルラインアップへのアドオンとなり、新たな市場を開拓することになるはずだとのことだ。

同社は、コンシューマー向け市場に対してこの11型ZEROを訴求していくようだ。会社から提供されるモバイルノートではなく、よりパーソナルな市場において、さまざまなシーンで使われることが想定されている。

このクラウドの時代になっても、人々は、1台のデバイスにオールインワンを求めることが多いようで、大は小を兼ねるといわんばかりだ。13型ZEROは、そうしたニーズをうまくキャッチアップして人気機種として受け入れられた。だが、モバイルシーンにおける機動性や、とりまわしのしやすさなどを考えたときはちょっと大きすぎる。

日本においては「新幹線テーブル需要」という事情もある。新幹線の前座席背中にあるテーブルの上においても普通に使えることが求められるわけだ。もちろん航空機のエコノミークラステーブルも同様だ。8型では小さすぎる、13型では大きすぎる。その中間を求めるニーズは確実に存在する。

足し算でできたモバイルノート

ある意味で11型ZEROはオールインワンを目指したモバイルノートだ。クラムシェルの機動性、タブレットのカジュアル性、持ち運びやすさ、取り回しやすさ、それなりにまともなキーボードによる生産性、重量増を覚悟してもキーボード側にバッテリを内蔵した長時間駆動など、あらゆる欲張りを集約したオールインワンだ。つまり、足し算でできたモバイルノートだ。

実際に、日常的に使ってみないとその実力はわからないが、かなり魅力的な製品に仕上がっているように思う。しかも、11型ZEROで採用された各種の軽量化技術が、13型ZEROに反映されれば、今よりもさらに魅力的なモデルに生まれ変わる可能性も示唆している。あるいは引き算で作った11型ZEROのバリエーションも期待できそうだ。いろいろな意味でエポックメーキングな製品として実際の発売を楽しみにしたい。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)

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インデックス

連載目次
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第78回 MateBookが2017年に刷新、入力方式も新しくなる?
第77回 夢のような「大容量プラン」、キャリアの思惑を考える
第76回 2ファクタ認証は安全、だけど難解
第75回 IFAで感じたスマホの新フェイズ
第74回 BYODを安心して使える時代
第73回 ベンダが狙う「通話もできる小さなPC」
第72回 もういくつ寝るとWindows 10 Anniversary Update
第71回 教育IoT、その普及へのハードル
第70回 UQをめぐるややこしい回線
第69回 Androidはそろそろ共同戦線を張っていい
第68回 「名刺の時代」は当分続く
第67回 「紙の印刷」とITの未来
第66回 本当は合理的な「Windows 10 無償アップグレード」
第65回 3割が経験する割れスマホ問題、もっと真剣に考えてもいい
第64回 実質0円の本当の問題は「わかりにくさ」
第63回 LINEのニュースとコミュニケーション
第62回 通信に大切なのは速さだけじゃない
第61回 進撃するもうひとつのレノボ
第60回 VAIO Phone Bizをめぐる「付加価値」
第59回 岐路に立つMVNOビジネス
第58回 8型では小さすぎる、13型では大きすぎる
第57回 【番外編】今年買わなかったもの
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