【コラム】

東京バイツ

127 ボーリング・フォー・コロンバインを観るときに参考になるかもしれない資料

福冨忠和  [2003/05/08]

マイケル・ムーアの『ボーリング・フォー・コロンバイン』については、実にいろいろなメディアが取り上げているので、いまさら説明するまでもないかもしれない。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門賞はもとより、カンヌ国際映画祭はこの作品のために55周年記念特別賞をわざわざ作って授賞させた。国内の上映館である恵比寿ガーデンシネマは、3月現在で、上映記録を塗り替え続けているとWebサイトが伝えている。

アカデミー賞の受賞式での「恥を知れ」というコメントも痛快だった。「私たちはこの戦争に反対だ。ミスターブッシュ、恥を知れ。ローマ教皇もディキシー・チックスも反対した今となっては、あなたはもうお終いだ」。会場からブーイングがわき起こったという報道だったが、その翌日からは米国でもこの作品はさらに新記録を達成し、「映館の観客全米動員数が110%上昇。翌週末、ボックスオフィス集計は桁外れの73%上昇(バラエティ部門)。全米最長ロングラン興行を記録し、26週連続ランクインという大盛況。アカデミー賞以降、上映館数も増えた。興行収入は、これまでのボックスオフィス集計のドキュメンタリー部門最高記録を2倍ほどの差で更新した」(マイケル・ムーアのWebサイトより)。

彼の著書『Stupid White Men ...and Other Sorry Excuses for the State of the Nation!』Regan Books; 1st edition(February 19, 2002)も好調だ(邦訳は「アホでマヌケなアメリカ白人」柏書房)。4月6日のニューヨークタイムズ紙ベストセラーリストで1位に返り咲き、リスト入りしている50週間のうち、8週間は1位だったことになる。まったくしょうもない大統領を抱きながらも、米国社会にはまだまだ希望もあることがわかる。

ドキュメンタリー作品ということもあり、首都圏では独立系の映画館中心に配給されているこの作品。これから回っていく地方もあるかと思うので、観る前に、マイケル・ムーア本人や周辺に関する周辺資料を可能な限り提供しておこうと思う。

ムーアはミシガン州フリントの生まれで、「フリントボイス」「ミシガンボイス」という新聞の編集者、ラルフネーダーグループの活動家を経て、1989年にゼネラルモーターズの会長ロジャー・スミスの周辺を取材したドキュメンタリー映画『Roger & Me (ロジャーと僕)』を監督・制作、いきなりいくつかの映画賞を受賞。以降、同じチームによるTVドキュメンタリーシリーズ『TV Nation』を皮切りに、テレビ、映画、そして執筆で活躍してきた(詳細はWebなどを参照)。

現在米国でパッケージ化されている映像作品としては以下のものがある(DVD版は地域コードがあるので除外してある)。『ボーリング・フォー・コロンバイン』についてもビデオパッケージの予約が米国で開始されている(4月現在)。日本でもビデオ化が計画されていると聞いている。

『Roger & Me』Warner Studios, 1989
『TV Nation, Vol. 1』Columbia/Tristar Studios, 1994
『TV Nation, Vol. 2』Columbia/Tristar Studios, 1997
『Canadian Bacon』MGM Home Entertainment, 1995
『The Big One』Miramax Home Entertainment, 1998
『The Complete First Season of The Awful Truth』New Video Group, 1999
『The Awful Truth - The Complete Second Season』New Video Group, 1999

またこのほか彼の著書には以下のものがある。

『Downsize This! Random Threats from an Unarmed American』Perennial, 1997
『Adventures in a TV Nation』Perennial, 1998
『Stupid White Men ...and Other Sorry Excuses for the State of the Nation!』Regan Books, 2002 *邦訳『アホでマヌケなアメリカ白人』柏書房

日本国内の動きとしては、雑誌「SWITCH」が2003年4月号(Vol.21 No.4)で興味深いマイケル・ムーアの取材記事を掲載している。

また『ボーリング・フォー・コロンバイン』のテーマとなっているコロンバイン高校事件、銃規制問題、NRA(全米ライフル協会)に関しては、以下の国内書籍および邦訳書が参考になる。

ミスティ・バーナル『その日、学校は戦場だった - コロンバイン高校銃撃事件』三辺律子・訳 インターメディア出版、2002年
明石紀雄・監修『21世紀アメリカ社会を知るための67章』明石書店、2002年
越智道雄『幻想の郊外 - 反都市論』青土社、2000年
飯塚真紀子『そしてぼくは銃口を向けた』草思社、2000年
板東弘美・服部美恵子『海をこえて銃をこえて - 留学生・服部剛丈の遺したもの』風媒社、1996年
丸田隆『銃社会アメリカのディレンマ』日本評論社、1996年
砂田向壱『サイレントマーチ - 息子を奪った銃社会』葦書房、1995年
ピート・ハミル『アメリカ・ライフル協会を撃て』高見浩・訳 集英社、1994年

またさらに、米国で出版されているNRA関連のものとしては以下が参考になった。

Peter Harry Brown & Daniel G. Abel『Outgunned: Up Against the NRA』The Free Press, 2003
Osha Gray Davidson『Under Fire: The NRA and the Battle for Gun Control』 University of Iowa Press, 1998
Jeffrey L. Rodengen & Tom Clancy『NRA: An American Legend』Write Stuff Syndicate, 2002
(ちなみに最後のものはライフル協会による協会史)

こんな資料が少しでも観覧時の参考になり、ムーアファンだけでなく銃規制問題を考える人を増やせればと思う。

福冨忠和(Tadakazu Fukutomi)
vwyz@jca.apc.org

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