【コラム】
渋谷・東急デパート本店裏のBunkamura、エントランスと地続きのカフェテリア。平日だが、アンディ・ウォーホル展がにぎわっているようだ。勅使河原三郎演出のオペラのポスターが目立つ。この作品については、ある友人から「衣裳といい、美術といい、あれだけこだわったものなのに、歌手の体型とか美貌とかには無頓着なのは、おかしい」というある意味では辛辣な意見を聞いたばかりだ。私はオペラより、勅使河原のソロが観たいと思うだけ。
この名前のわからないカフェテリア(「カフェ・ドゥマゴの上にある」などと言い合っているが)で、以前このコラムで話を聞いたキヤノン・アートラボなどのキュレイター四方幸子に再度会うことにした(東京バイツ7参照)。といってもテクノロジーとか芸術に関するやや難しい(という反応があった)話ではなくて、その後、四方が関わるメディアアート関連の催しや出来事が動いているので、まとめて話を聞こうと思った次第。
![]() |
ちょうど、青山スパイラルで開催されている「スパイラル大作戦---スーパーサインプロジェクト」( http://www.spiral.co.jp/ja/garden/index_mission.html )で、四方が推すエキソニモ(exonemo:赤岩やえ、千房けん輔の2人)の作品を観てきた。作品exonemo#003は、会場に来た客がマイクに向けて話した言葉をIBMピアボイスの音声認識で拾い、それをキーワードにWebを検索し、集めたデータを文字と画像でスクリーンに映し出すもの。観客が任意にマイクで入れる音声だけでなく、「第三の耳」として、スパイラルカフェのホールスタッフが身につけたマイクからも言葉を拾い出すので、モニター画像は常時形や色を変化させつづけている。また、彼らのWeb( http://www.exonemo.com/ )を観ればわかるが、この作品の頭脳となっているFragMental Storm (FMS)というソフトをダウンロードすれば、Web上でもこのインスタレーションを体験することができる。なかなか面白い。
「現代社会における<情報の伝達手法>を展観するプロジェクト」と銘打つこの展示のポスターにも登場する石原みどりの「アドガール」のパフォーマンスは、どこにいるのかわからず、時間も無くて失礼した。3月中に麻布十番、青山骨董通りで展開されたプロジェクトも逃している(アドガールBBS http://www.spiral.co.jp/ja/paper/index_add.html )。石原のプロジェクトは、「見た目じゃなくて、突然初対面の人と1対1のコミュニケーションを行なうことによって起こる(本人を含む)心理的プロセスの変換を観察する試み」だから、体験しなくちゃ駄目らしいダム・タイプの小山田徹「祈る人プロジェクト」についても、遠くから眺めるだけでパスしたが、おしゃれなカフェの脇の1Fスペースにおでん屋のような屋台が並ぶ光景は面白い。阪神大震災を忘れるな、ということだ。
実は、こちらも行けなかった3月中の「秋葉原TV」( http://webs.to/command-N )について詳しく聞こうと思ったが、ネットワークメンバーとして四方は作家を2人(前林明次とオランダのヘアート・ムル)紹介しているものの全面的には関わっていないらしい。昨年、近所に住む映像作家デビッド・ディヒーリからこの話を聞いて、SIMMを購入するついでに行った時は、それなりに面白かった。秋葉原電気街の、店頭、ディスプレイ、看板、街頭モニターなど、いたるところにあるモニタースクリーンやサインの上に、アーティストたちが作品を公開していく試み。しかし、いつもとかなり違う異様な画像が流れていても、催しについて知らない買い物客は、見ていながらも気付かなかったりする。秋葉原という街のアジア的な受容性というか、サイバーパンクの舞台の面目というか、「ハード(=街)には手を加えずにソフト(=アート)で街の見え方を変える」というコンセプトは、成功しているか失敗しているのかよくわからない。今野敏の小説『アキハバラ』(中央公論新社)あたりを読んでから行くと面白いかも。今年は国内外の映像アーティスト32組、前林明次の街頭での体験インススタレーション「ソニック・インターフェイス」があったほか、作品はDVDなどにまとめられて、上映されたりしたらしい。
個人的に気になるのは、駅前のスケボー広場(公式にはなんというのだろう)あたりをキャンバスとするストリートペインターたちと、参加アーティストとの間にボーダーがある印象、秋葉原のすごさを発見している視点が日本人のそれでないこと、など。しかし、継続していくうちに、解決するような気もする。今年も成功だったらしいから、来年に期待しよう。
で、問題は、先のコラムでも触れた、オーストリアの組閣問題だ。リンツで開催される電子アートイベント「アルス・エレクトロニカ」では、これまでもInfoWarだとか併催シンポジウムの形で社会問題のフェーズを扱ってきたため、この問題がテーマがらみで噴出している模様。しかし、情報政策の一端としてリンツ市や政府がこのイベントに助成しているので、ストレートに出せないでいる様子だ。この件に関心を示すと、関連して四方から、3月初旬に、オーストリアの写真雑誌「カメラ・オーストリア」の最新号に関するメールが送られてきた。
「ところで、Camera Austriaというグラーツで発行されている国際的な写真雑誌の最新号(69号)が2日前に届きました。表紙もページすべて真っ黒で、すべての見開きの右上に『OESTERREICH
2000』(オーストリア2000年)とあり、このプロジェクトを行なったオーストリアの作家、イェルク・シュリックの名前がありました。」
「オーストリア政府に右翼政党が入ったことに対する抗議として製作された旨、編集者のManfred Willman, Christine Frisinghelliからの書状がはさんでありました。世界中の関係者に送付しています。彼らはこの号だけでなく、次号70号において、アーティスト、写真家また関係者たちがディスカッションする場を設けようとしており、その協力要請も書状に書かれていました。」
四方は、会った日の2日後、四方はメディアアートのコンペ、Prix Ars Electronicaの審査のためオーストリアのリンツへ行くことになっており、ウィーンでCamera Austriaの編集者にも会うといっていたが、個人的には、このあたりの問題、日本の写真家やアーティストたちに、ちゃんと受けとめられているのか気になる。
写真に限らずコンピュータ含むメディアテクノロジーは、戦争の道具として生まれ、支配のテクノロジーとして育ってきた。世界最初のテレビ放送がヒトラーの演説だったことを忘れてはいけない。オーストリアのアーティストたちは、また『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台になりたくないだけなのだ。それは日本人である我々にとっても重い課題であるはず。四方は「じゃ、まかせた」という感じで、雑誌に添付されていた書簡を私に渡す( 詳細は http://www.camera-austria.at/ )。もちろん四方なりの考えは別途あるだろう。
そして、5月のキヤノン・アートラボの第四回リスペクト展「DRIVE(ドライブ)」。これは5月17日から28日まで、先の青山スパイラルガーデンで開催される。「ニューヨーク在住のメディアアーティスト、ジョーダン・クランダルの新作で、日本では初公開となります。『映像の世紀』とも言われる20世紀に開発されたさまざまな映像テクノロジー(映画、ビデオ、モーショントラッキング、暗視ビジョン、ウェアラブルカメラ、サーモイメージングカメラなど)を芸術作品の中で融合させ、新しい映像表現を追求するというコンセプトで、DVDにコントロールされた複数の異なった映像が、会場の空間全体を使ってさまざまな場所に同時並行的に展示されます。観客は会場を廻りながら、速度感や使用テクノロジーの異なる映像を、相互に関連しながら自由に見ることができます。」(プレスリリースより 詳細は http://www.canon.co.jp/cast/ )。
![]() |
| cJordan Crandall, Canon ARTLAB |
![]() |
| cJordan Crandall, Canon ARTLAB |
![]() |
| cJordan Crandall, Canon ARTLAB |
当然、まだ観ていないのでわからないが、「ニューヨークっぽい」作家ということ作品にあらわれる映像へのアプローチやテクノロジーを稼動(ドライブ)しているようで、実は同時に稼動させられている人間=機械的な状況などに対する本人の言及と、フィットネスに取り組み摂生を怠らないマッチョなニュヨーカーである本人との関係が、一致しているようでなんとなく違和感もあって面白い、などなど。そこからジェンダー論とは違うフェーズで、マッチョなものに関して話がはずむ。なにしろ最近、男が作ったものが面白くない、と個人的に思っている。四方は同意はしないが、若手の男性のアーティストの中に、どこかマッチョな傾向が目立ってきていることを指摘する。
すぐそばを、老齢の人物に連れ立たれた、若い女性が通りすぎる。地味な服装から、画家とアシスタントという感じか。同じ場所で続けて待ち合わせているNHK-BSのディレクターはまだ来ない。エヴァンゲリオンの話になった頃、ウォーホルの描いたジョン・レノンが眼鏡越しにこちらを見て、ポスターの中から目をキラっと光らせた。
| Google+アプリ、iOS版に続いてAndroid版も新UIに、独自機能も [16:25 5/25] |
| Googleウェブマスターツール、ナビゲーションやダッシュボード画面を変更 [14:43 5/25] |
| Instagramキラー!? Facebookがカメラアプリをリリース [10:44 5/25] |
| 楽天、マレーシア国内向けのオンラインモール事業に参入 [10:11 5/25] |
| グリー、最大153ヵ国にアプリ配信ができる「GREE Platform」の提供を開始 [09:45 5/25] |
|
「NO.6」4巻は書き下ろしドラマCD付、木乃のサイン会も [18:49 5/27] ホビー |
|
[今週の新刊]マンガ大賞3回ノミネート「アイアムアヒーロー」 カープ愛「球場ラヴァーズ」も [18:33 5/27] ホビー |
|
「ゆりてつ」サイン会は作者と都電に揺られるツアー仕立て [17:45 5/27] ホビー |
|
【ネタバレもありの徹底解明コラム】『サザエさん』タマの意外な事実 [17:30 5/27] ホビー |
|
鍼灸(しんきゅう)師が教える。オフィスで口臭予防ツボ・ベスト3 [17:00 5/27] キャリア |