仕事のコミュニケーション手段として欠かせないメール。使い方次第で評価を下げたり、1通のメールが評価を上げたりすることがあります。スピードが重視される仕事の現場では、効率よくメールを使うことが求められ、メールの使い方が仕事の生産性を左右するといっても過言ではありません。

本コラムでは、コミュニケーションを円滑にして成果につなげる、仕事力をアップするメールの使い方について解説します。

仕事におけるメールの立ち位置

2017年6月2日に日本ビジネスメール協会が発表した「ビジネスメール実態調査2017」によると、仕事で使っている主なコミュニケーション手段の第1位は「メール」(99.08%)という結果がでました。メールの後に、「電話」(90.10%)、「会う」(74.07%)と続きます。仕事においてメールは必要不可欠な手段であることが分かります。

仕事で使っている主なコミュニケーション手段(複数回答可、最大5つまで/n=2,395)

もちろん、携わっている仕事や置かれている状況によって、使う手段や優先順位は異なります。お客さまの電話番号が分からないので、メールのみでコミュニケーションをとっている方もいるでしょうし、メールはもちろんのことチャットを併用している方もいます。

とはいえ、手段が多様化している中でも「メール」「電話」「会う」の3つの手段が主なコミュニケーション手段として君臨し、そうした手段を使い分ける力が求められているのが現状です。

学ばなくても使えて当然!?

そうしたメール、他の手段との使い分けを身に付ける以前に、メールそのものの使い方を学んでいない人が大半です。

会社でビジネスメールの社員研修(n=2,395)

メールについて学んだことがない。自己流でメールを使っている。周囲を見よう見まねで使っている。そういった方は多いのではないでしょうか。

学生時代からメールを使っていた、ふだんから携帯電話やスマートフォンでもメールを使っているから、仕事でもメールを使えて当然という空気があることは否めません。

しかし、学校やプライベートで使うメールと仕事のメールは違います。携帯電話やスマートフォンで使うメールと、パソコンで送るメールは違います。その違いを理解せず、仕事で送るメールとしてのマナーを押さえず、基本を無視したメールを送っているとしたら、どうなるでしょうか。

ビジネスメールで失敗する前に

今までは大きな失敗もなくこられたとしても、もしかしたらメールの使い方にトラブルの種が潜んでいるかもしれません。失敗をしなかったのはラッキーだっただけかもしれません。問題が起きたときに対処しようとしても後の祭り。そうならないよう、早めに学ぶことが大切です。

ビジネスメールの基本を身に付けることで、電話や対面などのコミュニケーションスキルも向上するという効果が期待できます。メールのポイントとなる論理的思考や文章力は、会話などにも共通することが多いからです。相手のことを考えることは、メールに限って求められることではありません。メールを学ぶメリットは多いので、軽視するのはもったいない。そして、教育せずに使えて当然という空気も変える必要があります。

多くの人が自分のメールに不安を抱いている

今回の調査では、自分のメールに不安を抱くことがあると答えている人は71.40%で、7割を超えています。

こうした不安も、きちんと学んでいれば軽減できることも多いでしょう。もちろん、学んでいても「このメールで大丈夫だろうか」と不安になることはありますし、不安をゼロにすることはできません。

自分のメールに不安を抱くこと(n=2,395)

メールは文字だけで伝えるコミュニケーションなので、書き方によっては、誤解を招いたり、感情面が伝わりにくかったりすることがあります。対面であれば、表情や声のトーンから感情や相手の理解度を読み取り、誤解を招いていたら訂正したり、確認したりすることができます。しかし、メールはそれができません。メールの文章や表現に迷う人が多いのも、そうしたメールの特徴ゆえです。

まずは振り返り、できることから始めよう

毎日、メールを使っているし、問題も起きていないから、自分はメールが正しく使えていると思っている人も、実は相手に迷惑をかけている可能性があります。自分のメールは大丈夫と過信せず、自分のメールを振り返り、できることから始めてみませんか?

メールの使い方が、あなたの仕事を変えることも多いはず。分かりやすくて好印象を与えるメールの使い手となり、評価を上げる、ライバルと差を付けることも夢ではありません。効率よくメールを使うことで残業が減ることも期待できます。メールを学ぶことはメリットしかありません。


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執筆者プロフィール : 平野友朗(ひらのともあき)

一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事、アイ・コミュニケーション代表取締役。1974年生まれ。筑波大学人間学類(認知心理学)卒業。広告代理店勤務を経て2003年に日本で唯一のメルマガコンサルタントとして独立。2004年、アイ・コミュニケーション設立。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会設立。ビジネスメール教育の第一人者として知られ、メールマナーに関するメディア掲載1,000回以上、著書25冊。
メールを活用した営業手法には定評があり、メールとウェブマーケティングを駆使して5,000社の顧客を開拓。メールスキル向上指導、組織のメールに関するルール策定、メールの効率化による業務改善や生産性向上などを手がける。官公庁や企業などへのコンサルティングや講演、研修回数は年間100回を超える。セミナー情報「ビジネスメールの教科書」、メールマガジン「平野友朗の思考・実践メルマガ【毎日0.1%の成長】」
日本ビジネスメール協会

日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を26冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。
ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座(ベーシック編)」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。