【コラム】

月商3万円から生還した社長の「人気ビジネス書 実践カスタマイズ」

10 Appleの成功のカギは色だった『ブルーオーシャン戦略』[前編]

 

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ビジネスは競争をラクにできる分野

『ブルーオーシャン戦略 - 競争のない世界を創造する』(著:W・チャン・キム、レネ・モボルニュ/発行:ランダムハウス講談社)

ロンドン五輪で金メダルを取れなかった日本男子柔道。メダルに届かないどころか、初戦だけで4年間の夏が終わってしまった選手もいました。画面のこちら側で見ている者としては、不甲斐なさに悪態の1つもつきたくなりますが、彼らは国内の熾烈な代表争いを勝ち抜いた勝者だからこそ、その場に立っているのです。それがほんの少しの間の悪さで敗者になるのですから、競争とは残酷です。

しかし、人生に競争はつきものです。幼稚園でのすべり台の滑走順の奪い合いに始まり、数年おきに受験戦争や就職活動があり、病に倒れて入院した先では、リハビリ器具の奪い合いが行われ、息を引き取るその一瞬まで競争は終わりません。一方、競争がラクな分野もあります。それは「ビジネス」です。そんな馬鹿なと思うでしょうか? 競争が起こる原因を排除すれば簡単なことです。「ビジネス」で競争圧力が高まるのは「ライバル」がいるからです。つまり、「ライバル」がいなくなれば競争はなくなるのです。これを実現するのが「ブルーオーシャン戦略」です。

今回カスタマイズするのは『ブルーオーシャン戦略』。ライバルのいない市場を創造することで、戦わずして勝てる戦略を紹介した書籍で、私のビジネスにおける概念的バイブルです。

歪められる成功例

多くのプレイヤーが参加して激烈な競争が行われる市場を「レッドオーシャン」と呼びます。戦いにより流された血が水面を赤く染めるイメージです。反対に競争相手がおらず、傷つかずに富を独り占めできる市場を「ブルーオーシャン」と呼び、この「創造」を目指すアプローチが「ブルーオーシャン戦略」です。本書では「T型フォード」から、日本のカット専門の理髪チェーン「QBハウス」など、数多くの成功事例を紹介しています。

限られた紙幅の中で、重要な事例に絞りこんで紹介するのは執筆者として当然の仕事です。しかし、その絞り込みにより、実際には何百段もの階段を上りたどり着いた成功が、エレベーターで到着したのかと錯覚するほど簡潔に語られてしまいます。

例えば、米Appleの音楽配信システム「iTunes Music Store」については、「アルバムの中の1~2曲だけ選べるようにしたことがブルーオーシャンを作り出せた要因だった」と一言で説明します。しかし、同じシステムを用意できたとしても、誰もが成功できるわけではありません。「iTunes Music Store」の成功にはAppleというブランドの存在が不可欠だからです。

追放されたジョブズの成功の始まりは「色」

昨年亡くなったAppleの創業者の1人、スティーブ・ジョブズのカリスマ性は創業当初からこの世を去るまで、いや去った今でも最高級の輝きを放っていますが、毀誉褒貶の激しい人物で、かつては自らが創業したアップル社を追放されています。彼が紆余曲折を経て復帰した時、Appleは内外ともにボロボロの状態でした。

なかでも深刻だったのは「Mac」の愛称で親しまれる同社のパソコンの凋落です。洗練された操作性から爆発的な人気を誇ったMacは開発方針の迷走から不安定なパソコンの代名詞となり、損なったブランドイメージは甚大でした。追い打ちをかけるようにマイクロソフトのWindows 95が登場し、その破壊的普及速度の前にAppleの身売りが何度も噂されるほどになっていたのです。

成功者の物語は「正史」として都合よく書き換えられますが、ジョブズは賛否両論で織られたローブをまとっているような人物で、ローブの裏地は悪評で埋め尽くされており、Apple復帰直後の彼が「iTunes Music Store」を発表したとして、今のようなブレイクがあったかと言えば微妙です。しかし、ご存じのようにジョブズは成功しました。その始まりは「色」です。

パクられる宿命のブルー

Apple復帰後、ジョブズが世界に衝撃を与えたのは「iMac」です。ディスプレイと一体の丸みを帯びた半透明にブルーのボディを持つパソコンは瞬く間に世界を席巻しました。手垢のついた消しゴムのような煤けたクリーム色が相場だったパソコンのボディに「色」をつけたことで若い女性が「可愛い」と飛びついたのです。FDドライブを廃止し、電話線を繋ぐだけでインターネットを始められるなど、「色」以外の工夫もあるという反論は百も承知の上でカスタマイズ。

「些細な変化が、広大なブルーオーシャンを生み出すことがある」

それが証拠に、見た目は「iMac」にそっくりなWindowsパソコンが登場すると、同じく大人気となりました。こちらは裁判を経て販売停止となりましたが、皮肉にも「色」の与えた衝撃の大きさを証明したと言えるでしょう。ちなみに、ブルーオーシャンを切り開いた、初代iMacのカラーは「ボンダイ・ブルー」と呼ばれています。

振り返れば「たかが色」。しかし、それは「されど色」だったのです。ブルーオーシャン戦略に取り組む最初の一歩は「できること」から始めることとカスタマイズ。本当にちょっとした「工夫」レベルの「できること」でも、ブルーオーシャンを作り出せます。さらに詳しい実例は次回に紹介します。

宮脇 睦(みやわき あつし)
プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)がある。

筆者ブログ「マスコミでは言えないこと<イザ!支社>」
8月28日にセミナー

「中小企業の成功事例が聞けるEC・アフィリエイトセミナー」で講演予定

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インデックス

連載目次
第11回 Appleの成功のカギは色だった『ブルーオーシャン戦略』[後編]
第10回 Appleの成功のカギは色だった『ブルーオーシャン戦略』[前編]
第9回 引き寄せの法則は不眠症を解消する!?『ザ・シークレット』(2)
第8回 うまく行かない理由は自分が引き寄せている『ザ・シークレット』(1)
第7回 人によっては使えない!? 『チーズはどこへ消えた?』
第6回 ソーシャルメディアを良い習慣に変える『7つの習慣』(2)
第5回 ソーシャルメディアを良い習慣に変える『7つの習慣』(1)
第4回 エゴの時代に「オンリーワン」になれる秘訣を教える『人を動かす』(2)
第3回 「オンリーワン」になる秘訣を教える『人を動かす』(1)
第2回 願うだけならタダなのです!『引き寄せの法則』(2)
第1回 願うだけならタダなのです!『引き寄せの法則』(1)

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