犬がよく寝る理由は?

『ザ・シークレット』(著:ロンダ・バーン/発行:角川書店)

わが家の愛犬「さくら(柴犬♀・1年8ヵ月)」はとにかくよく寝ます。特に留守番させている間はほぼ寝ているのですが、それはきっと「次に目を明けたときは、ご主人様が目の前にいるんだワン」と考えているからでしょう。

というのは、嘘です。なぜなら、犬に未来予想図は描けません。犬は野生の本能を強く残しており、狩猟のための体力を温存するために1日の大半を寝て過ごすのです。

前回述べたように、人がネガティブな情報にフォーカスするのは本能です。そこでネガティブな「引き寄せの法則」が発動すれば、竹馬の友を失うこともあります。しかし、人は本能を克服する能力を獲得しました。それが「想像力」です。「想像力」が本能に刻まれた「ネガティブ」に打ち勝ちます。

とはいえ、本能の力は強くふとした気の緩みに「ネガティブ」が優位になるのは、「食欲」という本能に負けるダイエットと同じです。そこで、「ポジティブ」を固定化させるための「カスタマイズ」がこれ。

予定として書き留める

明日、来週、来月、来年の「明るい未来の予定」を書くのです。すでに実現した既成事実のように書くのが効果的です。書き留めたものには強敵の「ネガティブ」といえど、手出しはできません。

鉄則は「ワガママになること」

自己啓発や新手の宗教ではありません。「書く」で実現したポジティブな未来を私の経験から紹介します。

フリーター生活に嫌気がさした25才の時、サラリーマン復帰を目指しました。就職活動の面接用に買った小さなメモ帳にこう書きます。

「30才で独立する」

新卒のルーキーでもない25才の社会人経験者が、新品のメモ帳を手に面接を受ける気恥ずかしさから、「使い込んだ風」を装うためにした書き込みでした。運良く採用され、30歳と10ヵ月の時に独立します。そもそも、そんなことを書いたことも忘れており、会社を離れる際に整理していたデスクの奥からでてきたメモ帳を開き、鳥肌が立ちました。「書く」だけで実現してしまったのです。

以来、書き込んだ予定の大半は実現しています。著作を出すこともそうですし、年収1,000万円を超えるということもそうですし、なにより、「連載に追われる」のも願ったこと。実際に追われてみると……それはもう楽しいったらありゃしません。

書き込むのはシステム手帳でもメモ帳でも結構でしょう。いま、私が使っているのは「ルーズリーフ」。『ザ・シークレット』の中では「ビジュアルボード」という、目標を写真やイラストで表す方法も紹介されていますが、目的は同じです。とにかく「書く」だけで「引き寄せの法則」は発動するのです。

さらに「引き寄せ力」を発揮するには、ワガママになることが絶対条件です。

世界は満ち足りている

ワガママとはどういうことか? 仕事でも遊びでも、自分の予定を優先します。人の都合を待つ必要はありません。反対にワガママになれなければ、「引き寄せの法則」が発動されません。その理由を本書の一節を要約して引用します。

「自分を大切に思わないものは他人にも大切に思われない」

意識を集中しているものに「引き寄せの法則」は働きます。裏を返せば、「自分」を大切だと思えない「自分」に「引き寄せの法則」は働かないのです。

自分の都合を後回しにしてでも、他人に尽くす精神を日本人は高く評価します。しかし、これは「不足」している世界の発想だと、『ザ・シークレット』は喝破します。自分の都合を優先しても余りあるほどの時間も資源もあるとしたら順番に大した意味はありません。その世界観はこうです。

世界は富と幸運に満たされている

富も幸運も常に十分すぎるほど存在しており、それを引き寄せるだけだということです。「引き寄せの法則」では常に満たされた世界に暮らしているという発想の転換が必要です。

結果、不眠症が解消された

同書では、「引き寄せの法則」を使って石油を掘り当てる話が紹介されています。長らく、化石燃料は枯渇すると言われ続けていました。しかし今、シェールガスが採掘され、メタンハイドレートの実用化が眼前に迫っています。どちらも昔から大地や海底に存在したエネルギーです。また、太陽光を筆頭にした「再生可能エネルギー」は自然界に溢れかえっています。つまり、世界はエネルギーにも満たされているのです。石油の枯渇と世界の終わりを重ねたのは、ネガティブという本能の仕事です。そこで、日本人向けにカスタマイズ。

蛇口をひねれば飲料水が流れでる

これは、日本以外では珍しいことです。しかしながら、多くの日本人がこの「幸運」を意識せずにいるのです。つまり、富も幸運もすぐそこにあるかもしれない……いや、あるのに気が付いていないだけなのです。

私が不足に怯える世界から満ち足りた世界へパラダイムシフトすることを手助けしてくれたのは、『ハリー・ポッター』でした。世界的大ベストセラーの児童書です。強大な敵の進入を防ぐ目的に、心を閉ざす練習を強要された主人公・ハリーは凝り固まった価値観から、その練習を放棄し、大切な人を永遠に失います。

ふと、ハリーの姿が不足に怯える自分と重なりました。そこで、戯れにハリーとは反対に心を開く練習をしてみたのです。蛇口から流れる飲み水はもちろん、汗水たらさずにお金が入ってくる株式投資、そして愛犬と妻……もとい、妻と愛犬が常にそばにいる満ち足りた生活、そして心を許しあえる友人に、応援メッセージを寄せてくれる読者諸兄。つまり「満ち足りている」で心を満たしてみたのです。

すると、「不眠症」が改善されました。

物心ついた頃から悩まされていた「不眠症」と決別することができたのです。不眠症の理由の1つが、明日への不安です。しかし、世界中が富に満たされていれば、少なくとも明日に怯える必要はありません。「目を明けたら、引き寄せの法則が幸運を運んでくる」と。人間だけがもつ「想像力」を使いながら。

同書に紹介されているアインシュタインの言葉で結びます。

「想像力がすべてだ。それは人生でこれから引き寄せるものの予告編なのだ」

宮脇 睦(みやわき あつし)
プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。営業の現場を知る強みを生かし、Webとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供している。コラムニストとして精力的に活動し、「Web担当者Forum(インプレスビジネスメディア)」、「通販支援ブログ(スクロール360)」でも連載しているほか、漫画原作も手がける。著書に『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)がある。

筆者ブログ「マスコミでは言えないこと<イザ!支社>」