暑かった夏も終わり、少しずつ秋の雰囲気がしてきた。秋といえば学問の秋。英語をやり直すには絶好の機会である。

仕事の上でも10月から下半期が始まるにあたり、気分を新たにしている人も多いと思う。そこで英語学習も下半期から再開してみてはいかがだろうか。

今回は10月から英語を始めてみたい人のために筆者おすすめのNHKラジオ講座を紹介しよう。

NHKラジオ講座は毎年4月に開講するので、4月にやり始める人が多いのだが、ゴールデンウィークがすぐあり、1週間遊びほうける間に学習習慣が崩れて学習が続かなくなるという傾向にあると、前回紹介した本間先生がセミナーでおっしゃっていた。

その点10月から始めれば、年末までの3カ月続けることができればしめたもの。3カ月続いたものはあなたの習慣となっているため、正月休みでブランクができても1月からまた再開できることだろう。

英語学習法は人によって向き不向きがあるので、NHKラジオ講座が万人に向く教材ではないのは確かだが、私を含めて多くの人がこれで学習しているのも事実。英語学習として何をやったらいいか皆目見当がつかない人はトライしてみる価値はある。

AMラジオなんか持ってねーし、という人も安心してほしい。NHKラジオ講座は最近はインターネットのストリーミングで聞くことができるのでラジオは不要だ。

ではさっそく10月からの講座を紹介しよう。これらの中からあなたに合うと思われる番組を実際にインターネットのストリーミングを聞いて1つ選んでみてはいかがだろうか。

基礎英語1

基礎英語2

基礎英語3:

これらは主に中学生が聴く番組だが、今のあなたの英語力が中学校レベルも怪しいということであれば、これらの番組から始めることをおすすめする。その際はぜひ放送内容を声に出して覚えよう。

英語5分間トレーニング

土日も含めて毎日5分間放送される番組。月曜 - 水曜が音読、木曜がロールプレイ、金曜と土曜がリスニング、日曜が書き取りといった口と耳と手をフル回転させるトレーニングにより口の筋肉を鍛えるという体育会系な番組。物語的なものは一切ナシ。打つべし、打つべし! 音読すべし、音読すべし!

「英語5分間トレーニング」10月号のテキスト。この講座では"3行モノローグ"をしっかり口に出して覚えよう

ラジオ英会話

月陽から木曜は10行程度のダイアログがあり、そこから重要表現や発音などを学ぶ。リスニング問題も毎回ある。バランスの取れた良番組だ。普通の人はこれを目標にすれば十分なのではないだろうか。

10月号の重要表現からいくつか拾ってみると、

Well, what have I got to lose?

(ま、ダメでもともとです)

I feel like I'm fighting a losing battle.

(私は勝ち目のない戦いをしているようです)

うーむ、なかなかの難しさだ。

「ラジオ英会話」10月号のテキスト。ダイアログをベースに重要表現や単語を学んでいく。この内容をモノにできれば、ビジネスでも十分通用する英語力がつくはず

入門ビジネス英語

月火の週2回の放送。毎回15行程度のスキットで、日本にある外資系企業での仕事の会話が展開される。英語で仕事をするための英語表現が学べる。まさにビジネス英語。10月はプレゼンテーション、11月は電話会議、12月は人間関係構築、1月は説得と交渉、2月は顧客との問題、3月は業績評価がテーマ。

10月の重要表現から2つ見てみると、

Presentations are a decision-making tool, not a memo.

(プレゼンは単なるメモではなく、意思決定のためのツールなんだ)

A specific objective must be stated up front.

(具体的な目的は最初に述べることだ)

このようなことを職場で話すイメージができるなら、この番組を聴くべし。

「入門ビジネス英語」10月号のテキスト。ボキャブラリはビジネスに特化している。重要表現をしっかり覚えよう

実践ビジネス英語

  • レベル: 高校卒業レベル以上、国際ビジネスの第一線を舞台に、コミュニケーション力を育てる実践的な英語番組
  • 放送時間: 水 - 金の毎日15分間
  • 講師: 杉田敏
  • 番組を聴く⇒ http://www.nhk.or.jp/gogaku/english/business2/index.html

水木金の週3回の放送。毎回20行程度のビニェットで、シカゴに本社を置く消費財メーカー、グレートレイクスのマーケティング部での世間話が繰り広げられる。世間話とはいえ、社会的、経済的な話題に広く及ぶ。

10月からのトピックは、早起き、婚前契約、迷信、「ながらメール」はダメ、早期退職者のためのブートキャンプ、中国での仕事、ワークライフの選択など。プレゼンのやり方や、会議の進行方法については学べない。その代わりにアメリカの最新社会事情や職場事情を垣間見ることができる。

学ぶ語彙のレベルは高く、TOEICや英検で高得点を目指す人には自信を持っておすすめできる番組だ。

早起きの回から例文をひとつ。

It looks like everybody's taken to heart the old adage about the early bird getting the worm.

(早起き鳥は虫を捕まえるという古いことわざを、皆さん、肝に銘じているようですね)

こういう会話を職場でするイメージがある人は……いないか。

ちなみに私が発行するメルマガ「NHK実践ビジネス英語を骨までしゃぶるメルマガ」も参考にしてほしい。

「実践ビジネス英語」10月号のテキスト。1日分のニェットが長い! 重要語や重要表現のレベルも高く、ある程度、地力(&その他もろもろ)のあるリスナーじゃないと続かないかも。続けられれば実力アップは間違いない

以上、紹介した番組を改めてストリーミングで聞いてみたが、どれも質が高い! さすがNHK!! すべて聞いてみたい衝動に駆られるが、ここはぐっと我慢してひとつの番組に絞ることをおススメする。

NHKラジオ講座を使った詳しい勉強法は『NHKの英語講座をフル活用した簡単上達法』(川本佐奈恵 著/祥伝社)も参考にしてほしい。

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる』。Twitterアカウントはこちら