以前、本コラムでオンライン英会話スクール(レアジョブとスカイトーク)の紹介をしたが、実際にスカイトークに入会して2カ月近く使ってみたので、その印象を報告しよう。実際にお金を払って一ユーザとしてサービスを利用した上での感想である。

前回はレアジョブとスカイトークの無料体験をおこない、どちらも同じような料金体系で授業内容も同じレベルと思ったので、単にホームページのきれいさからスカイトークと契約してみた。

2カ月ほど使ってみての感想は、広く日本人にオススメしたいサービスだということだ。特にスピーキングを上達したい人は1カ月間だけでもやってみたらいいのではないだろうか。

その理由は3つある。コストパフォーマンスの良さ、モチベーションの向上、場数である。

1つめのコストパフォーマンスの良さだが、従来の英会話スクールに比べてすごく安い。私の契約しているコースは、1日25分のマンツーマンのレッスンで月5,000円。毎日レッスンできるので、5000円÷30日で1回のレッスンあたり166円ということになる。安いコーヒー1杯分だ。これはありえない価格である。その理由は給料水準が低いであろうフィリピン人が先生だからである。

私がスカイトークのことを誰かに話したときの反応は決まっていて、「フィリピン人が先生って大丈夫?」というものだ。これは日本人によくあるネイティブ信仰というやつである。英会話スクールといえば英米カナダにオーストラリアという白人信仰とも言える。

私が2カ月間話した限りでは英語の先生としてフィリピン人はほとんど問題ない。あまり知られていないことだがフィリピンはアジアで最大の英語を話す国である。

問題があるとすると、発音がフィリピンなまりであること。もちろん先生によってはネイティブレベルの発音の先生もいるので安心してほしい。ただアメリカ英語とイギリス英語を比較してどっちが好きだとか言っている人にはフィリピンなまりは受け入れられないかもしれない。

また、文法の説明もあまり期待できない。我々日本人は文法用語を英語で理解していないので難しい。たとえば、gerund(動名詞)、participle(分詞)、infinitive(不定詞)といった言葉で説明されても理解できるまい。こういう文法用語は海外語学留学する前に覚えておくと、向こうの授業で理解が深まると聞いたことがある。実際、私もわからなかったのでそれ以降文法の解説はお願いしないようにしている。

実際、オンライン英会話スクールでは文法ではなく会話から学ぶのが良いと思う。英会話は試験ではないのだ。スカイトークの場合は日本語の話せる先生もいるのでそういう先生にならやさしく教えてもらえるかもしれない。

以上がコストパフォーマンスの良さについてだが、スカイトークの場合は入会金もなく、契約期間の縛りもないという点も入会の敷居を下げていると思う。

2つ目はモチベーションの向上である。毎日25分英語を話すという経験は今まで私にはなかったので、最初はただ新鮮だった。何回かレッスンをするうちに、言いたいことが英語にならない自分がいることに気づいた。頭では言いたいことがあるのだが、口から出てこないという現象だが、普段英語を話す機会のない人は、これをなかなか経験できない。

今はレッスンの後で、どういえばよかったのかと、正しい文章を作ってみたりしている。こうやっていくと自分の言いたい内容を着実に英語で表現できるようになる。

よく英語表現のテキストがあるが、ふだん英語で話す機会のない人が、片っ端からそれを覚えようとしても長続きはしないと思う。それらの表現を使う機会がないので何のために覚えているのか目的を見失いやすい。たとえて言うならゴルフのコースに出るつもりがないのに素振りをしているおじさんというところか。

一方、職場で英語を話さざるを得ない人はふだんからどう話せばいいのかという問題意識があるため、そういう英語テキストを見ても、ははーん、この表現は使えそうだと、覚える意欲が強いはずだ。

私は日常では英語で会話する機会はほぼないため、英語表現を覚えなければという切迫感はこれまでなかった。しかし、今はスカイトークで英語で話すという状況が毎日あるため、英語のテキストを見ても、「あぁこういう表現を使いたい」と思うようになった。これまではどちらかというと語彙に偏った学習をしてきたのが、会話表現に非常に興味を持つようになっている。

これこそモチベーションの向上なのである。ふだん英語を使っている人は別にして、英語を使っていない人は毎日英語を使うシチュエーションを作り出すことこそが大事なのだ。これまではコストの問題で毎日英語を話す環境作りは難しかった。しかし、今やSkypeが日本人とフィリピン人をつなぐことで、その環境ができた。この英語学習革命ともいえる現象に一刻も早く気づいてほしい。

既存の英会話スクールはリアルの対面授業ならではのきめ細かいサービスに注力していくことが生き残りのために必要なこととなる。逆に言えばスカイトークなどのオンライン英会話スクールは個人の上達を把握しフォローする仕組みを作れば競合他社に勝つサービスとなるだろう。

3つ目の理由は、場数を踏めるということだ。これは2番目の理由の繰り返しになるかもしれないが、スピーキングには場数が必要ということだ。ちょうど、プレゼンテーションや発表も場数を踏んで慣れていくように、スピーキングも慣れが必要ということ。それには英語を話す機会を多く持つ必要があり、Skypeによるオンライン英会話は自宅でできるということもあり最適なツールなのだ。

このように、コストパフォーマンスの良さ、モチベーションの向上、場数という3つの理由により、オンライン英会話スクールは今最も注目されるべき英語学習法であると言える。皆さんも一度だまされたと思ってやってみてほしい。

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる