中国は北京に出張に行ってきた。今回は英語でのミーティングがメインの目的だが、相手は先週のマーケティング講義で勝手知ったる若手中国人たち。従来の西洋人相手とは違って精神的プレッシャーがないので、なんとなく気楽な感じで臨んだのだが……。

北京が雪のため、飛行機の羽田空港への到着が2時間遅れ、空港で1,000円のミールクーポンが航空会社から支給された。ここで思い出したのが、先日の野中郁次郎先生の講演で聞いた若い人へのアドバイス「安いワインは飲むな」 - ようは"お金を使いなさい、そして確かな感性を養いなさい"ということ。うーむ、なるほど…ということで1,000円以上のランチを!と思い、第1ターミナルの某中華レストランで炒飯セット(1,500円)を食してみた。たしかに美味しい、が、筆者行きつけの「餃子の王将」の炒飯との区別が付かない。まだまだ舌を鍛えないといけないようだ……。

閑話休題。今回、英語ミーティング対策としては『ビジネスミーティングの英語表現』を当日の朝から読みはじめた(遅い!!!)。この本は心構え的なことも含め、有益な文例が書かれてある。文例をすぐに使いこなすことはできないが、心構えだけでも役に立てば……と思っていたのだが、実際、本当に現場で役に立ったのだ。

今回、同行した同僚がえらく英語がしゃべれる人で、マシンガントークというか、それはもう延々と英語を話し続けられるという感じの人だった。さすが海外経験のある人は違う、と恐れ入りながらも、なんとか私も意見を差しはさもうとしたのだが、頭の中にある言いたいことがまともな英語になっては出てこない。某自動車会社の社長以下のひどいものだった、と思う。

『ビジネスミーティングの英語表現』でロッシェル・カップさんはこう言っている。

日本人だけのミーティングであれば、誰も何も言わない「間」が、「今話してもよい」という信号になることもありますが、アメリカ人のミーティングでは、会話の途中で沈黙が訪れることはほとんどありません。そのため、発言の機会をとらえようとして沈黙を待っていると、日本人は永遠に待たされ、発言しないままミーティングが終わってしまう、ということもよくあるのです。

まさに、この状態だったのだ(相手は日本人だけど)。で、どうすればよいかというと、

まずはアグレッシブに口を開けること、これが大切です。沈黙の間を待たずに、誰かが話し終わった瞬間に話し始めなければなりません。必要とあれば、人をさえぎって話すことさえ許されています。

ということなのだ。ミーティングに対するこの心構えこそ、日本人が学ぶべき英語ミーティングでのコツではないか。

しかしながら、会話の間に強引に入り込むだけでは不十分だ。言いたいことを即興で言えるようにならなければ。

その方法は実はわかっている -- 場数を踏むこと、これに尽きる。しかーし! 海外への留学や駐在経験なくして、どのようにして場数を踏めというのか。今のように数カ月おきの英語ミーティングの経験では経験値が上がることは望めない。

英会話学校か? いやいや、ここはネットを最大限に活用したスピーキング上達の道を探ってみたい。

英語で話すといっても、それまで話したことがない内容をいきなり英語で話せるわけがない。そこで以前紹介した「村上式シンプル英語勉強法」の「話す」の章にある「自分自身に関する100の文章を英語で作って丸暗記しておくこと」をやってみよう。

  1. まず、自分に関する100の文章を英語で書いてみる。いきなり100は無理なのでとりあえず1つ書いたら次に進む。
  2. 次に、それを正しい英文にするために、相互添削型SNSのLang-8に書いて、ネイティブに添削してもらう。
  3. 最後に、作った英文を使う練習場として、Skypeを利用して無料で「場数」を踏む。

この3段階の取り組みで、どこまで英語が話せるようになるか試してみようと思う。

村上憲郎氏もオススメのスピーチ独習本『1分間英語で自分のことを話してみる』には、自己紹介のサンプル英文が数多く載っている

まずは自分に関する100の文章だが、何について書けばよいかわからない場合にお勧めしたい本が、『1分間英語で自分のことを話してみる』だ。本書は村上式でもお勧めされていて、自己紹介、学校、食べ物から、会社、政治、経済まで40のテーマについてサンプルスピーチが載っていて非常に参考になる。

それぞれ両極端の2種類のスピーチがあり、たとえば『自己紹介』の項では「明るい性格です」と「内気な性格です」の2種類が、『友だち』の項では「友だちが私の財産です」と「友だちはあまりいません」の2種類が載っている。このように、友達のいない内気な人でもそれなりのスピーチを作れるようになっている。

1つのテーマにつき、2つの対照的なサンプルが掲載されている。使われている単語や英文も自然で覚えやすい。このサンプルを参考に自分を語る文章を作ってみよう

まずはこの本を参考にスピーチを作っていこうと思う。次回はLang-8の紹介をしたい。

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる