メンテナンスは安全に乗り続けるために欠かせない

自転車を安全に楽しむためには、メンテナンスが欠かせない。では、どのぐらいの頻度で、どの程度のメンテナンスをすればいいのかというと、それは自転車に乗るペースや環境によって変わってくるので、一概に明確な方法を示すことは難しい。そこで今回は、最低限心がけておきたい、誰でもできるセルフメンテナンスを紹介しよう。

防げる事故の元をメンテナンスで発見

まず、セルフメンテナンスは何のためにするのか? 簡単に言うと、「快適に走行できるように各パーツをスムーズに動かすため、また、事前にパンクを含めた事故を防ぐため」である。

例えば、チェーンがガチャガチャし始めているということは、走行性能が下がるのみならず、チェーンが切れる危険性があるということになる。チェーンのサビがひどいもしくはチェーンが伸びているならチェーンの交換が、または、一緒に磨耗しているであろうスプロケットの交換が必要になる場合がある。そして、メンテナンスをこまめにしていればよりチェーンを長く使うことができ、交換のタイミングも確認できるのだ。

では、メンテナンスはどのくらいの頻度で行えばいいのか? 「乗った後はメンテナンスをする」ということを習慣付けられればベストなのだが、疲れて帰ってきた時などはその気になれないということもあるだろう。

筆者は月に800km程度自転車に乗っているが、週に1回くらいはごく簡単なメンテナンスをし、雨や泥の中で走行した日は、固く絞ったウエス(不要になったTシャツなどでも可)で、軽く自転車を拭くようにしている。頻度はその自転車の状態や乗り方によるが、「ちょっと汚れが目立ってきたな」と思ったら、その時がメンテナンスのタイミングと言えるだろう。

汚れが目立つところは最後に

メンテナンスの方法は、その車種や洗車ができる環境かでも変わってくるが、ここでは最低限すべきセルフメンテナンスに絞って紹介したい。

必須アイテムは「ウエス」「チェーンオイル」「空気入れ」。加えて、自転車を自立させられるよう、「スタンド」があると心強い。そしてメンテナンスは、“汚れが少ないところ”から“汚れが多いところ”への順番で行う。つまり、「ハンドル」「サドル」「フレーム(上から下)」「リム」「タイヤ」「チェーン」の順となる。

まずはウエスで汚れを拭き、その後に用途にあったオイルやスプレーなどを使用する。最後は、きれいなウエスで軽く拭き取る。チェーンで最後にオイルを拭き取る理由は、余分なオイルは汚れの元になることがひとつだが、オイルがチェーンの内部に浸透すると、表面に汚れがにじみ出るからである。

また、メンテナンスでは整備とともに状態の確認もしておきたい。特にチェックすべきポイントは以下である。

・タイヤが割れていないか、もしくはタイヤの表面に異物が刺さっていないか
・空気の量は適切か
・ブレーキシューが磨耗していないか
・チェーンが伸びていないか
・ワイヤーがさびていないか、もしくはカバーが痛んでいないか
・スポークも含めてホイールに不具合がないか
・ハンドルやサドルは真っすぐ取り付けてあるか、また、他のパーツにもガタや歪みはないか

自転車の状態にもよるが、簡易的なセルフメンテナンスは10分くらいでできる。愛車と長く安全に付き合っていくに、週末はちょっとだけ手を黒くして、自転車と向き合うことも大切である。

もし、自分で判断・交換できない場合は、自転車屋さんに持って行ってメンテナンスをしてもらおう。状態確認などのメンテナンスであれば、~1時間くらい・~数千円で見てくれる(交換の値段はそのものによる)。または、パーツをばらして、洗浄・注油・セッティングなどの「オーバーフォール」を、自転車屋さんにお願いするという選択もある(数万円程度)。

企画協力 : 高田 真督(たかだ しんすけ)

ショップやメカニック業務を経た元メッセンジャーで、現在はスポーツバイク専門店「bike room sin」のオーナー。同店は、自転車協会が設定しているスポーツバイクのトータルアドバイザー「スポーツBAA PLUSマーク」認定店。東急田園都市線「二子新地駅」から徒歩5分のところにあり、多摩川サイクリングロードからもすぐアクセスできる。ショップではロードバイクやMTBなどのスポーツバイクを取り扱い、メンテナンス講習会やツーリング、レースなどのイベントも随時行っている。
「bike room sin」