テクニカル分析とは「価格・出来高」に重点を置く分析手法です。株価には、良い材料も悪い材料も全て、その時点で適正に織り込まれているとの前提で分析します。そして、その銘柄のこれまでの株価動向や出来高の推移を分析して、その銘柄の株価の習性(パターン)を見つけようとするのです。つまり、株価の習性を分析・利用して、今後の展開を想定することがテクニカル分析なのです。

「ローソク足」って?

まず日本で最もポピュラーな「ローソク足」についてご紹介します。ローソク足は、株式はもちろん、FXチャートでも共通の考え方で、4本値(始値・高値・安値・終値)を使用しローソクの形に表したチャートです。 始値よりも終値の方が高いものを陽線といい、始値よりも終値の方が安いものを陰線といいまして陽線は白塗り、陰線は黒塗りで表します。

陽線が陰線より強いのはいうまでもありません。上昇相場では陽線が多くなり、下降相場では陰線が多くなります。 また重要なローソク足の一つに寄引同時線があります。終値と始値が同値で実体部分のない足で、下落局面や上昇局面でこのローソク足が示現すると相場の転換を迎えたと判断することができます。

このほか、上下にヒゲを残したローソク足も重要視されます。上ヒゲは上昇したものの失速したケース、下ヒゲは売り優勢となったものの下げ幅を一気に縮小したケースでそれぞれ示現します。安値圏で下ヒゲを残すということは下げ一巡を意味します。一方、高値圏で上ヒゲを残すと売り圧力が強いということが読み取れます。

このように、1本のローソクは1日あるいは1週間といった期間の中でどういう値動きをしたのかを表しています。ローソク足という名称はこれに由来しています。また ローソク足は期間により呼び名も変わります。期間が1日なら日足(ひあし)、1週間なら週足(しゅうあし)、1ヵ月なら月足(つきあし)と呼ばれます。1年の四本値で構成される年足(ねんあし)、分単位の四本値で構成される分足(ふんあし)といったローソク足もあります。

月足のローソクは1ヵ月の「始値」「終値」「高値」「安値」の4つの値段しか示されていませんから、日々どんな値動きをしたのかという細かい情報は得られませんが長いスパンでの方向性を読み取ることができます。一方、日足をみると毎日どんな値動きが展開されたのかを知ることができます。そのためローソク足が理解できれば、この1本のローソクの色や形を見るだけで、その日その週の値動きを把握することができるわけです。

「移動平均線」って?

次に移動平均線をご紹介します。移動平均線は一定期間の株価の終値平均値を割り出してグラフ化したものでこちらもとってもポピュラー。計算方法は非常に単純です。

25日移動平均線の場合、直近の25日間の終値を合計し、25で割ったものが第1日目の移動平均値となります。2日目以降は、前日までの合計値に新しい終値を加えて、25日前の終値を除外して25で割っていきます。このように計算する日から一定期間遡り、その計算された平均値を線で結んでグラフ化すれば、25日移動平均線になります。

移動平均線が上昇中であれば、相場のトレンドも上向き、と判断出来ます。

三井智映子さん

「フィボナッチ数列」って?

最後に以前世界中で大ヒットした映画「ダ・ヴィンチ・コード」のなかでも取り上げられたフィボナッチ数列についてもご紹介したいと思います。イタリアの数学者フィボナッチが紹介したフィボナッチ数列は、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233という数字の流れです。

フィボナッチ数列はヒマワリの花びらの数など身の回りで多く見つけることができます。3以降の数字は、前の数字に対する増加率が1.618に無限に近づいて行き、連続する3つの数字の比率は「0.618対0.382」、または「1対0.618、1.618対1」となるのです。このフィボナッチ数列の比率は黄金比率とほぼ同じ割合となっており、ピラミッド、クモの巣、宇宙の渦巻き星雲の形、十字架、トランプなど数多く見られます。おもに西洋で用いられたのですが、自然界の本来あるべき美しい姿を支配しているとの黄金比率の考えは、実はテクニカル分析にも用いられています。

波動理論として有名なエリオット波動にはフィボナッチ数列(黄金比率)が多数用いられています。エリオット波動は、上昇相場においては、上昇(推進)5波、下降(修正)3波の計8波が基本の形で、8つの波動をもって株価変動のサイクルが完了すると定義付けています。

  • 上昇5波 5波→3波→5波→3波→5波 合計 : 21波

  • 下降3波 5波→3波→5波      合計 : 13波

ここに出てきた3、5、 8という数字全てがフィボナッチ数列。次の細分化では、上昇21波動、下降13波動 合計34波動。その次に細分化した、上昇89波動、下降55波動の合計144波動。これら13、21、34と55、89、144もフィボナッチ数列です。ここで紹介したのほんの一部で、エリオット波動を詳細に読み解きますと上記のほかにも多数フィボナッチ数列が用いられています。

基本的な指標の見方を押さえて自分のものにし、なおかつ気に入った指標に集中しすぎないことが重要です。必ず何通りかシグナルをチェックしましょう。

もっと詳しく知りたい方は、講談社から発売中の著書「最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資」の第三章を読んでみてくださいね。

http://news.mynavi.jp/news/2013/10/25/026/

執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 三井 智映子

共立女子中学校・高校を経て、早稲田大学政治経済学部へ。2001年から芸能活動を開始し、現在テレビ、CM、舞台などに出演。また、いち消費者とアナリストの中間的な存在であるフィスコのリサーチレポーターとしても、株式やFXの現場を取材レポートしています。