株価の変動は基本的に各企業の業績によって動きますが、企業単独の業績だけでなく経済全般の各数値も大きく株価に影響を与えます。テレビのニュースや新聞の見出しで時折見かける下記で紹介するキーワードは、特に重要ですので覚えておきましょう。


ニュースで報じられるような経済指標も重要ですが、短期的に即株価の変動に直結する数値があります。 それはニューヨークダウ、NASDAQ、為替(円ドル)、CME日経先物、NYダウ先物、原油先物です。これらはデイトレードを行う時には重要でしょう。

アメリカの雇用統計

経済界では特に、毎月発表されるアメリカの雇用統計が重視されます。原則毎月第1金曜日に発表され、これは日本の時間に直すと夏時間では日本時間午後9時半、冬時間では日本時間午後10時半に発表されることになります。

米雇用統計はアメリカの労働省が毎月発表する、米国の雇用情勢を調べた景気関連の経済指標のことです。1:失業率、2:非農業部門雇用者数、3:広義の失業率、4:長期失業、5:労働参加率、6:入職率、7:解雇率、8:退職率、9:求人率、この9つをイエレンFRB議長は注視する雇用関連指標として上げています。余談ですがこの方、FRB初の女性議長です!

非農業部門雇用者数は、非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計されたもので全米の約1/3を網羅していると言われています。失業率は失業者を労働力人口(失業者と就業者の合計)で割ったもので約6万の世帯が調査対象となっています。非農業部門雇用者数が下振れした場合、米国の雇用情勢や経済の健全性への不透明感から、リスクオフの株売り、円買いが優勢になる可能性もあります。統計が上振れ、良い数字が出れば改善基調が継続していると見なされ、もう一段買い戻しが入ることが考えられますが、米経済の先行き不安が払拭されるかは疑問で、積極的に上値は追いにくい傾向にあります。

雇用統計前はそれを見極めたいとの考えから様子見ムードになることも多いわけです。ちなみに3月の米小売売上高は市場予想の0.8%増を上回り前月比1.1%増加し、2012年9月以来1年半ぶりの大幅な伸びを記録しました。異例の寒波による影響で昨年末から年初にかけて足踏みしていた米経済の復調が鮮明となっています。

三井智映子さん

GDP(国内総生産)

GDPとは日本国内で一定期間内に生み出された付加価値の総額を指します。付加価値とは1000円の原材料で2000円の商品を売ったならば、商品価格から原材費を引いた1000円が付加価値になります。この付加価値の伸びが大きければ経済は好景気であると判断されます。GDPの実質経済成長率は株価に影響を与え、日本の株式市場では日本国内のGDPだけでなく、米国のGDP成長率の影響も大きいです。

鉱工業生産指数

鉱工業生産指数とは基準年の鉱工業製品の生産量を100と基準にして指数化したものを指します。 景気が良くなればモノも良く売れるようになるので、鉱工業製品の出荷量も増え鉱工業生産指数も上向きます。景気が悪くなればモノは売れなくなり、鉱工業製品の出荷量も減り鉱工業生産指数も悪化することから、鉱工業生産指数は景気を判断する1つの材料となります。

消費者物価指数

消費者物価指数とは一般消費者が購入する商品やサービスの価格を調査し、平均的な物価水準の動きを時系列的に 指数化したものを指します。消費者物価指数は指数に使われる商品を選び、基準となる年の物価を100とします。基準年より指数が上昇していればインフレ傾向、下落していればデフレ傾向ということになります。 消費者物価指数が下落しているデフレ状態は商品の価格が下がり企業の収益も悪化するという理由から 、経済を低迷させる要因となるので消費者物価指数が下落すると株価も下落傾向に傾きます。

日銀短観

日銀短観とは「主要(全国)企業短期経済観測調査」の略称で、日本銀行が四半期ごとに各企業に対して、製品需給、在庫水準、売上高や経済の先行きなどを調査するアンケートをまとめたものです。多くの調査内容の中でも注目される項目は業況判断指数(DI)です。DIは企業の業況感を表したもので、大企業のDIの良し悪しは株価に大きく影響を与えます。日銀短観の調査は、サンプル数の多さや厳密性や信頼性の高いので経済指標の中でも特に重要視されています。

機械受注

機械受注とは内閣府経済社会総合研究所が毎月発表している、主要な機械製造業者が受注した額を表す指標です。 機械受注は企業の設備投資の動向を知る上で重要な指標です。

PMI(購買担当者指数)

景気の先行きを示す指標のひとつであり、製造業の業況を示す指数です。製造業やサービス業の購買担当者を対象にアンケート調査を行い、新規受注・生産高・雇用などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数のことを指します。それは生産高指数、新規受注数指数、新規受注指数(輸出のみ)、受注残指数、完成品在庫指数、雇用指数、製品価格指数、購買価格指数、サプライヤー納期指数、購買数量指数、 購買品在庫指数の11項目に及び、アンケートして指数化したものです。

製造業の工場が、どのような生産計画を立て、どのくらいの資材を必要としているか、ということに基づいた指数となります。PMIは世界の多くの国で用いられている経済指標で、マーケットにおいては、ISM製造業景気指数やISM非製造業景気指数(米国)、中国製造業購買担当者景気指数(中国)、ユーロ圏製造業購買担当者景気指数(ユーロ圏)などが注目されています。

ちなみに一般に本指数は景況感の改善と悪化の分岐点となるのが50です。これは覚えておいて欲しいところ。通常、50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を示唆すると言われているんです。PMIが50を超えると景気拡大を示し、50未満だと景気後退を示しているわけですね。PMIは購買担当者だけでなく、原材料メーカーや金融機関、投資家にとっても、景気動向を見極める上で重要な指標となっているため要チェックですよ。

執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 三井 智映子

共立女子中学校・高校を経て、早稲田大学政治経済学部へ。2001年から芸能活動を開始し、現在テレビ、CM、舞台などに出演。また、いち消費者とアナリストの中間的な存在であるフィスコのリサーチレポーターとしても、株式やFXの現場を取材レポートしています。