今回の選書

人生をリセットする150時間勉強法――デキない人は一人もいない(加納邦広) フォレスト出版

人生をリセットする150時間勉強法――デキない人は一人もいない(加納邦広) フォレスト出版

選書サマリー

仕事ができる人が少ないのは、社会人になってから勉強する人間が少ないからだ。しかし、社会人には「何をどれだけ勉強すればいいのか」を誰も教えてくれない。問題も答えも用意されていない。

そこで紹介したいのが150時間勉強法だ。早い人なら150時間で人並み以上のレベルに到達できる。出世や転職によって年収1000万円以上を得ることだってできるはずだ。

現在は格差社会だ。収入格差は昔よりも大きくなっている。しかし、人間の能力自体には、格差はないはずだ。カリスマ経営者も、最初から天才的な能力を発揮していたわけではない。

現在の収入やスキルは、未来の成功とはまったく関係ない。あなたが、落ちこぼれと言われているとしても超えられない壁はないのだ。今すぐ、人生を変える勉強をスタートさせて欲しい。

最初の関門は「いかに勉強時間を確保すべきか?」だ。一般的には、「仕事を効率化して空いた時間を勉強に回す」と考えるのが普通だ。しかし、それができていれば、そもそも落ちこぼれていないはずだ。

まず、はじめから上司のアドバイスに従おうとしないことだ。上司のアドバイスは、今のあなたの役に立っていない可能性があるからだ。

ただ、落ちこぼれているときのスキルや経験・知識だけで解決策を見つけだすことが困難なのも事実だ。自分のスキルを上げるには、時間を作るしかないのだ。

コツは、いきなり一日の30%以上、8時間以上の時間を占める「仕事の時間管理」から着手しないことだ。一日たった数%の「勉強の時間管理」から着手するべきだ。

これなら、今まで時間管理を敬遠してきた人でも取り組みやすく、成功しやすいはずだ。「勉強の時間管理」を工夫して勉強を継続し、自分で問題解決できるスキルを身につけていくのだ。

勉強は、一日5分で十分だ。予定のない休日の土曜日からスタートさせるとよい。張り切って2時間も、3時間も勉強しようとしないことだ。絶対、続かないからだ。

翌日の日曜日も、同じように5分間だけ勉強することだ。そして、いつもより少し早めに寝ることだ。

さらに翌朝、すぐ勉強できるように、あらかじめ勉強道具を机の上にセットしておくことだ。また、着替えも用意する。もちろん、深酒もしない。これで翌日の月曜日も勉強できるはずだ。

ここまでで、一週間のうち、すでに三日は勉強できた。残り二日間だけ勉強すれば、週間目標は達成だ。次いで翌週は10分間勉強する。翌週もノルマを達成できれば、その翌週はさらに15分にする。

これを繰り返すことで、12週目、3カ月後には毎日1時間勉強できるようになる。このように「一日5分」の勉強から、徐々に増やしていけば、難なく勉強時間を確保できるようになるはずだ。

「勉強の時間管理」ができるようになってきたら、次は「仕事の時間管理」だ。ここでも、いきなり「プラン」を立てようとしにことだ。

もちろん、アポイントメントくらいは入っているかもしれない。たとえば「○月○日にA社を訪問します」というものだ。だが、これは「プラン」でなく「スケジュール」だ。

プランとは「この得意先との商談を30日までに成功させる。そのために今月15日までにプレゼン資料を仕上げ、20日にプレゼンし、28日に見積書を出す。所要時間はおよそ20時間」というものだ。

できない人とできる人の最大の違いは、目標設定にある。月間目標を明確に設定していれば、その目標達成のためにはどうすればいいかを、考えるようになる。

明確な目標がないと「重要でないが、緊急度の高い仕事」ばかりこなすようになってしまう。できる人とは「緊急度は低いが、重要度は高い仕事」に時間を割く人なのだ。

選書コメント

ビジネスパーソンのための勉強法の本です。効果的に勉強することで落ちこぼれ社員から脱却し、人生を切り開くことを目指します。

かつて、沸きに沸いた社会人の勉強ブームですが、最近は落ち着きました。とはいえ、勉強の重要性は、今も昔もまったく変わっていないはずです。

本書は、落ちこぼれ社員歴12年の著者が、一念発起して2年間勉強、外資系に転職し、当初の目標年収一千万円を達成したというご自身の実経験をもとに、勉強の仕方を詳しく教えてくれます。

本書が語る勉強の目的は、ズバリ「出世と年収アップ、そしてエリート社員になること」です。「勉強さえすれば、すべてうまくいく」という、目的が不明確な勉強本とは一線を画しています。

目的がはっきりしている分、アドバイスも明確です。各章ごとに、時間捻出法、専門分野習得法など、テーマを絞り、実例を織り込み、具体的に解説してくれます。

たとえば、専門分野の習得については「専門分野に関する本を60冊以上、一年くらいかけて読むこと、しかも入門編から手を付けるべきこと」などと教えてくれます。

欄外では、著者自身が読んで、参考になった本を、表紙画像と推薦フレーズ入りで紹介してくれます。このように、全体的に、きめ細かく、丁寧に書かれています。

今の職場で出世や年収アップをしたい人はもちろん、いずれ転職したい人、専門分野を極めて、いつの日か独立したいと考える人で、勉強をいとわない人にお勧めします。

選者紹介

藤井孝一

経営コンサルタント。週末起業フォーラム代表。株式会社アンテレクト代表取締役

1966年千葉県生まれ。株式会社アンテレクト代表取締役。経営者や起業家という枠にとどまらず、ビジネスパーソン全般の知識武装のお手伝いを行うべく、著作やメールマガジン、講演会、DVDなど数々の媒体を活用した情報発信を続けている。著書にベストセラーとなった『週末起業』(筑摩書房)はじめ、『かき氷の魔法』(幻冬舎)、『情報起業』(フォレスト出版)など。

この記事は藤井孝一氏が運営するビジネス書を読みこなすビジネスパーソンの情報サイト「ビジネス選書&サマリー」」の過去記事を抜粋し、適宜加筆・修正を行って転載しています。