今回の選書

「「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!」(池田千恵) マガジンハウス

「「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!」(池田千恵) マガジンハウス

選書サマリー

一生懸命やっているのに、うまくいかない。頑張っているのに認めてもらえない。それは、行き当たりばったりで、目先の問題にエネルギーを注ぎ込むことで、疲れてしまっているからかもしれない。

これを防ぐには「ひとり時間」を作ることだ。そして、自分の頭と心の棚卸しを行うことだ。そうすれば、自分の性質を客観的に見つめ、他者の目で自分を見つめる術を身につけることができる。

そして、日々少しずつ間違った方向に行きそうな自分の軌道を修正しながら、前に進んでいくことができる。

これができるかどうかは、才能ではない。人が決めた道でなく、自分で決めた道を進む覚悟の有無だ。「ひとり時間」が活用できるようになれば、頑張りが成果を連れてくるようになるはずだ。

現代社会においては、洪水のように情報が流れてくる。しかし、情報は、それ自体には何の意味もない。得た情報をどのように受け止め、判断し、行動していくかが大事なのだ。

あなたの「行動基準」まで、洪水のように流れてくる情報に流されてはいけない。流されないためには、自分の頭の中をいったん整理して、落ち着いて、自分の判断で行動を起こすことだ。

もし、あなたが「自分はダメな人間だ」と考えているなら、ぜひ「ひとり時間」を作るべきだ。この時間を使って一呼吸おくことで、気持ちが落ち着き「今、自分は何をすればいいのか」が見えてくる。

さらに「ひとり時間」を大事にすれば、本来あなたが持ち合わせている、優しさ、温かさ、思いやり、強さなどが現れてくるはずだ。

仲間に囲まれている時間は楽しい。しかし、長い人生、いつも誰かと一緒にいられるわけではない。取り巻く環境によって一緒にいる相手はどんどん変わっていくものだ。

だから、周囲に何を言われても、ブレない軸を持たないと、一緒にいる相手によって考えがころころ変わってしまう。結果、自分にとって本意ではない判断を下してしまうことにもなりかねない。

もちろん、周囲に相談する相手がいることが大事だ。しかし、最終的に決断を下すのは、他でもないあなた自身だ。人生の責任は、あなた自身にあるのだ。

自分の人生に責任を持つためにも「ひとり時間」を持つべきだ。「ひとり時間」を持って、自分と向き合うようにすることで「心のひだ」が増え「心の基礎体力」が強化できる。

「ひとり時間」を大切にすることは、人と過ごす「みんな時間」を粗略にすることではない。「ひとり時間」を持つことで、人と一緒にいることの楽しさをありがたく感じられるようになる。

さらに、周囲に見守られ、助けられて生きている「みんな時間」の大切が分かるようになる。

「ひとり時間」を大事にするということは、毎日、人と関わることなく、引きこもることではない。むしろ、人との時間を有意義にすることだ。

「アクティブレスト」という言葉がある。週末、家でごろごろするより、外に出て活動的に過ごしたほうが、リフレッシュできるということだ。同じように「ひとり時間」は「アクティブ孤独」だ。

人は一人では生きていけない。「みんな時間」も大切だ。だからこそ、ゆるく外とつながりながら、時おり自分の心の中に「ひとり」の状態を持ち歩くのだ。

そうすれば「みんな時間」に依存しすぎることがなくなり、より「みんな時間」を楽しく、有意義に過ごすことができるようになる。「ひとり時間」は「みんな時間」を大切にするためにも必要なのだ。

「ひとり時間」でじっくり自分と向き合い、考えをまとめて外に出る準備をすることだ。一人の時間があるからこそ、外に向かって効果的に自分の考えを発信し、仲間と行動することができるのだ。

選書コメント

どんなに忙しくても、ひとりで過ごす「ひとり時間」を確保して、自分の頭を整理したり、自分の客観的に見ることを勧め、その具体的なやり方を教えてくれる本です。

「ひとり時間」を確保すれば、日常に忙殺されず、周囲に踊らされず、自分のペースで仕事をすることができるようになります。その結果、夢を実現し、毎日を楽しむことができるようになります。

著者の池田千恵さんは、朝活の達人として知られる方で、昨今の「朝活」ブームの仕掛け人の一人です。本書は「早起きをした朝に何をすべきか」のヒントにもなっています。

一人でいることは、不安なものです。だから、昼も夜も同僚や友人たちと過ごしてしまいがちです。気が付けば、毎日、朝から晩まで誰かとつるんで、安心しようとしがちです。

しかし、会って何をするかというと、人の噂話や愚痴など、後ろ向きなことになりがちです。それもそのはずで、年がら年中一緒に居れば、話の仕入れができず、話すことがなくなってしまうからです。

だから、勇気を出して、一人で過ごす時間を確保します。誘いを断り、時には一人で食事をし、週末に一人で過ごします。一人になると、そういう人が結構いることに気づかされます。

もちろん、大切なことは、その時間をどう使うかです。本書は、その使い方も教えてくれます。「妄想を書く」「頭を整理する」「不安を洗い出す」「プレゼンの練習をする」など具体的です。

最近は、残業が減ったり、休暇がシフト制になったりで、ひとり時間が取りやすくなっています。その分、人によって差がついてきそうです。今から「ひとり時間」を習慣にしましょう。

選者紹介

藤井孝一

経営コンサルタント。週末起業フォーラム代表。株式会社アンテレクト代表取締役

1966年千葉県生まれ。株式会社アンテレクト代表取締役。経営者や起業家という枠にとどまらず、ビジネスパーソン全般の知識武装のお手伝いを行うべく、著作やメールマガジン、講演会、DVDなど数々の媒体を活用した情報発信を続けている。著書にベストセラーとなった『週末起業』(筑摩書房)はじめ、『かき氷の魔法』(幻冬舎)、『情報起業』(フォレスト出版)など。

この記事は藤井孝一氏が運営するビジネス書を読みこなすビジネスパーソンの情報サイト「ビジネス選書&サマリー」」の過去記事を抜粋し、適宜加筆・修正を行って転載しています。