ビジネスコンサルティングの最大手であるアクセンチュアは先頃、ITに関するプレゼンテーIT as a Consultant - the view from Accentureションを動画とポッドキャストで公開しました。このプレゼンテーションでは、CIOであるアンドリュー・ウィルソン(Andrew Wilson)氏とマネージングディレクタであるジョー・チェン(Joe Cheung)氏が、アクセンチュア社内で起こっているCIOの役割の変化について解説しています。このプレゼンテーションで興味深いのは、コンサルティングのトップ企業自身が、ITへのアプローチの変化を認めている点です。

ITプロフェッショナルがアーカイブ、コンプライアンス、eディスカバリなどデータ重視のプロジェクトを行う場合、企業全体としてのより包括的な情報ガバナンス/情報管理との関連性を考慮せざるを得ないため、ITプロフェッショナルがコンサルティングという役割も担うケースが増えています。

もはや単なる「御用聞き」やサービスプロバイダではない

これまでのIT組織は、業務推進に必要なテクノロジニーズを満たすことにフォーカスしてきました。アクセンチュアも、このような分野のコンサルティングによって十億ドル規模の収益を上げてきました。しかし、今日のデジタル時代では、「課題を異なる方法で捉える必要がある」と考えています。

つまりITは、プロジェクトを推進してさまざまな事業部門のニーズに対応し、別の新たなテクノロジを導入する、といったテクノロジストとしての役割を果たすだけでは十分でなくなったのです。その理由をひと言でいうとすれば、「テクノロジが増えすぎた」からです。市場はさまざまな選択肢、オプション、ソリューションで溢れています。この状況からアクセンチュアのCIOは、「革新的な方法で課題に取り組むには、自社のHR機能とHRの課題を理解することが不可欠だ」ということに気付きます。

実際、市場で提供されているオプションやソリューションがあまりに多岐にわたり、HR部門の認識や知識のレベルを超えていました。このような状況の中、HRのビジネス要件とクリエイティブなソリューションをまとめたのが、IT組織でした。

ITの責務は「ITエコシステム」に乗り遅れないこと

テクノロジがますます速いペースで変化を続けている今、IT部門以外の人がクラウドコンピューティングなどの新しいテクノロジを見ると、そのテクノロジを利用するために必要になる諸条件を考えずに、「これならば柔軟性やコスト削減を実現できる」と感じてしまいます。

進化を続ける最新テクノロジに追いつき、その相互関係、課題、他社のソリューションを理解するためには、「ITブログエコシステム」を使用する方法が最も簡単だとアクセンチュアは考えています。ブログは、テクノロジプロバイダには収集が難しい情報の宝庫です。アクセンチュアは、ユーザに直接つながり、ユーザエクスペリエンスに関する情報を収集し、そこから得た知識を戦略に活用しました。また、ベンダの発表をすべて読み、ウェビナーに参加し、学習を続けていきました。

垂直方向の思考に注意する

アクセンチュアは、ビジネスで起こっている変化を水平方向に考える能力と顧客にフォーカスする姿勢が、状況を的確に捉え、革新的なソリューションを提供することにつながることに気付きました。また、ITスタッフが新しいテクノロジに常に触れる方法についても検討しました。

その結果、既存のソリューションに満足しているユーザや顧客が多いのと同様に、自分で構築した情報/テクノロジサイロに満足しているITプロフェッショナルが多いこともわかりました。しかし、このような思考には非常に厳しい限界があります。変化を続けるプラットフォームや課題への対策として、サイロをつぎはぎして「抵抗が最も小さい」方法を採用していては、本当の問題解決にはなりません。

破壊的変化は中小企業により大きな価値をもたらす

アクセンチュアの顧客は業界大手企業なので、小規模なIT組織しか持たない中小企業には同じ理論が当てはまらないのではないでしょうか。ところが実際には、中小企業のIT組織の方が大企業よりも積極的に変化を推進し、破壊的テクノロジを活用しています。

中小企業のITプロフェッショナルを集めたセミナーで、あるCIO/ディレクタが印象的な発言をしています。「COOはサーバの統合ばかりに熱心で、仮想マシンの概念を理解していません。私はこれからもすべてを仮想化することに取り組むつもりです。なぜなら、仮想化がコスト削減や業務の簡素化にどう役立つかをCOOに示すことができるからです。私の戦略は、コミュニティの他の場所でも成功を収めているのですから」。

ビジネスのコンサルタントとしての役割を担うIT

中小企業では、テクノロジコンサルタントの役割を果たす担当者はIT部門以外に存在しませConsulting ん。テクノロジの利点と課題、導入方法、企業に最適な選択肢を理解できる人材は、社内にほとんど存在しないからです。

ITがこのような役割を果たすようになると、他のステークホルダはおのずとITを頼るようになります。そして、これまでは要求や課題をそのまま受け取る「御用聞き」だったサービスプロバイダとしてのITは、ストラテジスト、ビジョナリ(先見性を持つITプロフェッショナル)、イノベータへと変貌します。このように、アクセンチュアが得た教訓は、どの企業にも当てはまるのです。

情報管理プロジェクトのコンサルティング的な特徴

ITプロフェッショナルは、アーカイブやコンプライアンスなどデータ重視のプロジェクトを行う場合、全社的なより大きな目標(つまり情報管理)に照らし合わせることによって、コンサルティングの役割を担います。

たとえば、「法規制へのコンプライアンスを目的にドキュメントを保管する場合、法的な要請にも対応できる検索機能が備わっているのか」、また、「アーカイブについて法規制で定められた保管期間が、アーカイブルールとして設定されているか」といった点を考慮する必要があります。ビジネス推進力を考えた場合、データプロジェクトにはまったく異なる側面が存在し、この部分に対応することが終的にはより良い結果につながります。アクセンチュアが指摘しているように、ITはもはやサービスプロバイダではありません。ビジネス戦略と課題において重要な役割を果たしているのです。

※本内容はBarracuda Product Blog 2014年11月7日IT as a consultantを翻訳したものです。

Rich Turner

本稿は、バラクーダネットワークスのWebサイトに掲載されている『バラクーダラボ』12月11日付の記事の転載です。