こんにちは。ファイナンシャルプランナーの中山浩明です。近年、結婚や出産時の年齢が高くなる傾向にあります。連載『晩婚者のためのマネー術』では、そうした"晩婚化時代"に応じる形で、晩婚の方々を対象にした"マネー術"について解説したいと思います。


冒頭で述べたように、初婚の平均年齢は年々上昇しており、2013年では男性30.9歳、女性29.3歳となっています。また、女性が第1子を出産する年齢は平均で30.4歳となっています。

結婚年齢や出産年齢が高くなると、マネープランにどんな影響があるでしょうか? 20代後半で結婚した夫婦、30代前半で結婚した夫婦のモデルケースで、年間収支と貯蓄額の推移を比較してみましょう。

ケース(1) 20代で結婚した夫婦の場合

次の図は、20代で結婚した夫婦の年間収支と貯蓄額の推移です。35歳で3000万円の住宅を取得し、子供を2人国公立大学に進学させています。

収入(青の棒グラフ)と支出(赤の棒グラフ)との差額をみてください。青のほうが高い年は年間収支が黒字、赤のほうが高い年は赤字です。この図から、「将来のお金の貯め時期」を把握することができます。(1)の期間(結婚~住宅購入まで)、(2)の期間(住宅購入~大学入学まで)、(3)の期間(末子が大学卒業~定年退職まで)が、「お金の貯め時期」となります。

次に、貯蓄残高(折れ線グラフ)をみてください。(1)の期間で貯めたお金を住宅購入費にまわし、(2)の期間で貯めたお金を学資にまわしています。住宅購入時と第1子が大学入学後は貯蓄が減っていきますが、残高が底をつくことはありません。老後資金についても(3)の期間で十分に貯めていけそうです。

ケース(2) 30代で結婚した夫婦の場合

次に、30代で結婚した夫婦の年間収支と貯蓄残高の推移をみてみましょう。

住宅購入費と学資についてはちゃんと貯めることができますが、(3)の期間が短いため、退職時の貯蓄残高が低くなっています。なお、40代で結婚した夫婦でシミュレーションすると、(3)の期間がほとんどなくなってしまいます。

このように、結婚年齢や出産年齢が高くなるにつれ、住宅資金費、学費、老後資金をバランス良く貯めていく必要があります。老後資金の不足を回避するには、独身時代にしっかり貯蓄をしておくことが重要です。もし、独身時代に十分な貯蓄ができていなかった場合は、慎重にマネープランを考えなければなりません。

ライフプラン表を作成してみよう!

そこで、皆様にお勧めしたいのは、「ライフプラン表」を作成することです。ライフプラン表の目的は、将来の課題をいちはやく認識することです。課題をはやく認識できれば、毎月少しずつ準備を始めていくことができます。

ライフプラン表を作成するには、まずライフイベント表を作成します(上記図の黄色い部分)。ライフイベント表とは、将来の予定表のようなもので、住宅購入や学資など将来達成したいイベントの時期を記入していきます。次にキャッシュフロー表を作成します。これは将来の資金繰り計画のようなもので、年間収支や貯蓄残高の推移を把握することができます。もし、子が大学進学時に貯蓄残高が底をつくことになれば、新たに教育ローンなどを利用しなければなりません。すると、老後資金にも影響がでてしまいます。そうした課題をいちはやく把握できれば、住宅購入予算を下げる、進学プランの再検討、家計を見直し毎年の貯蓄額を増やす…といった対策が立てられます。

課題と対策を書き出してみる

最近では、いくつかの銀行や保険会社が、インターネットから入力できるライフプランアプリを無料提供しています。エクセルが得意な方であれば、ご自身でライフプランソフトを作成することも可能でしょう。それらを利用すれば、簡単にライフプラン表を作成することができます。しかし、あえて私は「手書き」をお薦めします。夫婦で話し合いながらライフプラン表を自分達で手書きしたほうが、より多くの課題を発見することができます。気づいたことや発見した課題は、その都度書き出してみましょう。課題を書き出したら、対策もあわせて検討してみましょう。

課題の発見が目的なので、あまり厳密に書こうとせず、まずは気軽に書いてみましょう。手書きで課題と対策の整理ができたら、アプリやソフトを使って本格的なライフプラン表を作成してもよいでしょう。また、当社のような保険ショップでは、ライフプラン作成のお手伝いも無料でしていますので、活用されてみてはいかがでしょうか。

次回は、お金が貯まる家計体質づくりについてです。

執筆者プロフィール : 中山 浩明(なかやま ひろあき)

株式会社アイリックコーポレーション『保険クリニック』ファイナンシャルプランナー(CFP認定者/DCプランナー) マネー関係 セミナー講師。大学卒業後、ゴルフクラブの職人、パン屋経営と異色の経歴を持つ。2000年にファイナンシャルプランナーとして活動開始、マネー関係のセミナー講師として活躍、これまで500回以上のセミナーを開催。現在『保険クリニック』教育部に所属、保険コンサルタント指導とマネーセミナーの講師担当。専門分野は年金、保険、資産運用、ライフプラン。セミナーでは、お客様の立場で「お金の使い方を知ること」の重要性を唱える。

セミナーHP→http://www.hoken-clinic.com/seminar/

『保険クリニック』HP→http://www.hoken-clinic.com/