今回はジオラマベースの制作です。キャラクターと地面とで映像や絵のシーンの一部を切り取って再構成した気の利いたビネット風ではなく、ジオラマ(情景模型)のような比較的大きな物を今回は作りたいと思います。最終的には、背景を実際の写真と合成するまでを目指します。ジオラマ「のような」と書いたのは、いわゆる立体物だけで作品として完成させるのではなく、あくまで撮影の為の小道具として作るという意味です。「絵」を作るのが目的なので、画郭の外にある物や、回り込まなければ見えない裏側などは一切作りません。 映画のセットをイメージしていただけると、いいと思います。

まず、「絵」のイメージを固めたり、考察する為に、また、自分以外の人が撮影などと関わる時に自分の意思を伝える為に、スケッチを描きます。これを「コンテ」と呼ぶこともあるそうですが、簡単に描かれることが多い為「イメージラフ」、「ラフ」とも呼ばれます。この時点で描き込みをして、本当に絵にしてしまう方もいるそうです。今回はまあ、こんな感じです。

このイメージでベースを制作します

ここからキャラクターとの対比を出しつつ、現物合わせで大きさを決めます。まず、CATMANが立っているビルを適度に薄いコンパネで作ります。それほど大きくないので強度は必要なく、薄い方が加工や扱いが楽だからです。今回はコンパネ(耐水ラワンベニヤ)の上に水性の粘土を貼り付けるので、あまり薄すぎると湿気で沿ってしまう恐れがあるので1cm弱の厚みの物を使いました。切ったコンパネを瞬間接着剤で貼り合わせます。釘や木工ボンドより強度は出ないですが、何より作業が速く進められるのが利点です手順は下の画像をご覧ください。。

接合部に瞬間接着剤をたっぷり垂らします

間髪いれずに硬化促進剤をこれもたっぷり吹き付けます。補強材を入れれば、かなりガッチリ組みあがります

こんな感じでビルの外観ができました

隣のビルも同様に制作します

次にビルの壁面の制作です。レンガ造りに見立てるために「クレイド」という商品名の粘土を使います。この素材の主成分は土なので、レンガの色とよく似ています。後で基本色を塗らなくて済むのも利点です。結果、伸びもよく、コンパネへの食いつきも良く、使いやすいものでした。

板などで平らにクレイドを伸ばします。あまり真っ平らにしないで、多少の凹を残すと、後でディテールの足しになります

粘土に平行線を入れて、それを基準に1枚1枚それっぽく丁寧にモールドを刻みます

ここまでの作業を、乾燥する前の柔らかいうちにやってしまいます。そして、一晩放置して乾燥させます。板に粘土を貼ったので、粘土が縮んで割れましたが、これも狙いのうちです。いい感じに古くて、崩れかけた壁面になりました。

自然に出来たひび割れも良い感じ

安藤賢司
バンダイ『S.I.C』シリーズなど、多数のハイエンドな玩具の原型を担当。「原型師がマスプロダクツ製品のパッケージに名前を刻まれる」という偉業を成し遂げ、「玩具原型」の認識を「作品」のレベルまで高めた。現在は『S.I.C』シリーズ最新作の原型を製作中。某ゲームのキャラクターデザインもやってます

ビルの壁が完成。次回もジオラマベース制作を進めていく