35歳以上の結婚・出産が増えています。人生の持ち時間は長くなったけれど、生涯収入の手取りは減少傾向、社会の変化も激しい時代です。常識にとらわれ過ぎないお金との向き合い方を考えます。

ふるさと納税が人気、「税金が安くなる」というフレーズに反応

ふるさと納税が人気を集めています。自分のお金を出すことで地方自治体を応援しながら、お礼として特産品をもらえる、しかも自分の税金が安くなる! というのが理由のよう。普段、税金について意識していない人も、「税金が安くなる」というフレーズには反応してしまうのではないでしょうか?

ふるさと納税は、確定申告をすることで、すでに払った所得税が還付されるというもの。確定申告をちゃんとしなければ、税金は1円も戻ってこないことに注意が必要です。また住宅ローンを利用している人が、ローンの残高に応じて最長10年間税金を還付してもらえる住宅ローン控除も、初年度に確定申告をしなければなりません。

つまり、どんな優遇があるかを知り、「よさそう」と思うだけでなく、それを実行するマメさがある人こそ、税金を取り戻したり、安くできたりするということです。

期間限定ですが、親から子や孫への住宅資金や教育資金の贈与が一定額まで非課税で行える優遇もあります。

アラフォー結婚の2人が利用できる優遇としては、ふるさと納税はもちろんありですし、住宅を買うことを検討しているなら親から資金の贈与を受けることと住宅ローン控除が挙げられるでしょう。

  • ふるさと納税…総務省のサイトに制度の説明があり、控除額計算のシミュレーションもできる。ただし、平成27年度税制改正大綱において、元々確定申告をする必要がない給与所得者が5箇所以内に寄附を行う場合に確定申告が不要となる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」(平成27年4月1日以後に行われる寄附について適用)が盛り込まれましたが、この制度については平成27年分確定申告からの適用となりますのでご注意ください。

  • 住宅取得等資金の贈与の非課税と、住宅ローン控除…国税庁のタックスアンサーで調べることができ、ハウスメーカーのサイトなどにも説明がある。

一方、「本来ならかかる税金をかけない」という優遇もあります。例えば2014年に始まったNISA(少額投資非課税制度)です。銀行や証券会社にNISA専用口座を開いて取引をすれば、株式や投資信託などの保有や売買で得た利益にかかる税金が非課税になります。

そもそも自分が払っている税金の額、知ってる?

「給与明細を見ると、税金の高さにびっくりするからあまり見ないようにしている」という人にときどき出会います。気持ちはわかります。40歳前後にもなれば、そこそこの給与をもらっていますから、特に扶養家族がいない人はけっこうな所得税、住民税、そして社会保険料を引かれます。額面と手取りの差に、がっかりしてしまいますよね。

しかし、自分がいくらの税金を払っているか、アラフォーで結婚した2人なら2人の合計を、ぜひ一度、確認してほしいのです。収入だけではなく、税額もオープンにしておきましょう。

年末に勤務先からもらう源泉徴収票や、毎月の給与明細をもとに、1年間で2人で支払っている所得税、住民税の合計を計算してください。

払っている税金の計算をしても、1円の得にもならない? いえいえ、今後の働き方や住宅の購入、期間限定の優遇策などを活用するためには、まず自分たちのことを知る必要があります。また日本の税制は、個人が基本ですが、世帯を単位とした控除もあるからです。

  • どちらかが、何らかの理由で仕事を辞めたとき…収入がない方は扶養対象配偶者となり、所得控除により税金が安くなります。

  • 住宅ローンを組むとき…夫婦で住宅ローンを組めば、それぞれが住宅ローン控除を受けられます。ただし、安くなる税額はそれぞれが払っている所得税・住民税の範囲内。そもそも払っている税額を把握しておかないと上手に活用できません。

覚えておきたい自分の税率

もうひとつ、自分の税額を把握することのメリットは、節税などを考えたときに、その効果を概算できることです。

  • 住民税は、一律10%なので誰でも一緒です。

  • 所得税は、課税所得金額に応じて、一番低い人が5%、所得が増えるにつれて10%、20%、23%と上がっていき、最高税率は45%です。

(課税所得金額は、合計収入から給与所得控除や社会保険料などを引いて計算します)

税率は一般的な会社員なら10%、給与が高めの人は20%といったところです。

所得税率10%の人が、医療費がたくさんかかったので医療費控除を申告しようと思った場合、安くなる税金は、所得税、住民税ともに医療費控除額の10%程度です。

所得税率20%の人なら、所得税は医療費控除額の20%程度、住民税は10%程度です。

払っている税額を知れば、税金で運営されている公共サービスに対しても敏感になりますね。子どもを持ったら、義務教育の費用は税金から出してもらえますし、図書館や、自治体が保有する公園やスポーツ施設の運営費も税金から出ているわけです。

手取り収入だけでお金の使い方を判断するのではなく、税金も含めて家計管理を考えたいものです。

<著者プロフィール>

ファイナンシャルプランナー 坂本綾子

20年を超える取材記者としての経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師を行っている。著書『お金の教科書』全7巻(学研教育出版)、セミナー『子育て力のあるお金の貯め方、使い方』『小さな消費者へのお金の教育』など。